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840.遺跡探検を始めます!

「エルラト神域の隠された遺跡。もし攻略残存組がこの島にいるのなら、この光景を見て動かないはずがないよね」

「あーんだけ苦労して、見逃すはずがないもんねー」

「ああ、それは間違いない」

「何か別口で先んじていたとしても、この中で会えるはずにゃん」


 部族に捕らえられていなかったとなれば、天空遺跡は消えた攻略組との再会の場になる可能性が高い。

 そう踏んで、歩を進めるアーリィ。

 世界の終焉に関わるとされる遺跡に、一体何があるのか。

 期待とドキドキにちょっとした高揚を覚え、自然と足が速くなる。


「本当に綺麗だねー!」

「こーんな風景、なかなか見られないな!」


 わずかに先行しながら、石畳の道を進むメイ。

 青い空にまばゆい陽光。

 バニーと一緒にあっちへこっちへと駆け回る姿は、とても微笑ましい。


「まず向かうべきは遺跡の内部でしょうね。いくつかルートがありそうだけど、基本的には内部に入っていくのが正規ルートな気がする」

「まずは外周部分で、中に入るための何かを見つける感じかな」


 レンとアーリィの意見は一致。


「あっ! あれは何かな?」


 そんな中メイが指さしたのは、こちらに向かって歩いてくる小型のロボットたち。

 その姿は、皇帝ペンギンの子供のようだ。

 灰色の身体に白の顔。

 黒の目と頭部。

 程よい年季の入った五体のロボットたちが、縦に並んで小走りで駆けていく。

 こちらを攻撃する様子はなく、そのまま並んで進む。


「可愛いーっ」

「あっははは! なになにこの子たちーっ」


 さっそくそばに駆け寄るメイとバニー。


「メイ、先頭に立ってみて」

「りょうかいですっ!」


 バニーのリクエストに応えてメイが先頭に出ると、途端にペンギンの一団がメイの後を追いかけているように見える。


「なにこれー! めっちゃくちゃ可愛いじゃーん!」


 そう言って列の最後尾に並ぶバニー。

 その走り方を即座にペンギンロボット風にしている辺りに、アーリィたちも笑う。


「運営さん……!」


 この冒険早くも二度目の「ここ、お願いします!」状態のツバメ。

 まもりもこくこくとうなづく。

 ペンギン行進をそのまま追従すると、たどり着いたのは一本の樹が立つ緑の中。

 その足元には栄養素を与えるための管が走っており、そこには穴が開いている。

 飛び出す栄養剤は、木の根元に。

 ペンギンたちはそのまま、栄養剤の供給を止めるバルブを閉めに向かうが――。


「わあっ!」


 低木の枝が一斉に伸び始めた。

 すると先陣を切ったペンギンロボ1が枝につかまり、飲み込まれていく。

 これを見たペンギンロボ2が、見事な変形機構で手の先をハサミ型にして近寄るが――。


「いやそれ無理でしょ!」


 思わず叫ぶレン。

 盆栽などに使う剪定ハサミでは一本ずつしか枝を切れず、案の定ペンギンロボ2も枝につかまる。


「ロボットちゃんたちを助けながら樹をカットしていって、バルブを閉める。そういうことみたいだね!」


 アーリィがこのクエストの流れを言葉にしたことで、自然と動き出す八人。


「【因幡ステップ】【三枚おろし】!」


 今まさに身体の半分を飲み込まれたペンギンロボの周りの枝を、バニーがカット。


「【四連剣舞】!」


 ツバメがさらに枝の数を減らしたところで、アーリィが飛び込んできた。

 そして枝から解放されつつあるペンギンロボ1を抱きかかえて下がる。


「よいしょっ!」


 一方メイはスキルを使わずとも、剣の振り一つで枝々を払いペンギンロボ2を救出。


「よいしょ」と抱きかかえて距離を取る。


 これでとりあえずペンギンロボの救出は成功。

 前衛四人組は、さらに成長速度を上げていく低木の枝の伐採に向かう。


「ちょっと、動かないで!」


 しかしペンギンたちは言うことを聞かない子供のように、再びバルブの方へ動き出す。


「【低空高速飛行】!」


 レンは一気に距離を詰め飛び掛かる。


「ちょっ、待って……!」


 しかしペンギンロボはなかなか移動力が高く、【腕力】のないレンはギリギリで引っ張られる形になる。


「力強いにゃん……」


 これは灰猫も同様で、すでに地面を引きずられていた。

 真っ黒装備の二人がペンギンロボに引きずられるというシュールな絵面の中、まもりは残り三体のペンギンを捕まえることに注力する。しかし。


「な、なんて動きをするんですかーっ!」


 一体のペンギンが『8』の字型の移動をすることで、完全に振り回されることに。

 その隙を突き、一体のペンギンロボットが低木の方へ回り込むような動きで駆けていく。


「ここは任せるがいい! 【爆歩】!」


 そこに飛び込んで行くのは夜琉。

 その高い【腕力】でペンギンロボを抱え、見事に脱出。しかし。


「うおおおおっ!?」


 そこは低木の右手前。

 今度は代わりに、夜琉が背中を捉えらえた。

 凄まじい勢いで伸びてくる枝に全身をつかまれた夜琉は、涙目で枝を千切るが間に合わない。

 抱えたペンギンロボごと、飲み込まれていく。


「【フリーズボルト】!」

「【十字光弓】!」


 レンは左手でロボの手をつかみ、引きずられながら右手で魔法を発射。

 灰猫に至っては弓を引く動作が必要なため、両足をロボの胴体に絡めた状態で、光矢を放つ。

 これが見事に炸裂し、ギリギリ夜琉はペンギンロボを抱えての脱出に成功。


「すまない……っ!」

「一気に勝負を掛けちゃって! このままじゃペンギンロボを抑えきれない!」

「頼むにゃん!」


 可愛いペンギンロボにすがりつき、引きずられながら告げるレン。

 両足でロボを挟み込んだまま頼む灰猫。

 ここでメイたちはうなずき合い、低木の真下にあるバルブ目がけて攻勢に出る。


「【千切り】!」


 バニーが一気に枝を斬り飛ばす。


「【白鳥乱舞】」


 アーリィがバニーを跳び越え連撃。

 一気に掘り進む。


「【スライディング】!」


 そんな戦乙女のスカートの中から飛び出す形で現れたのはツバメ。


「【十二連剣舞】!」


 怒涛の攻勢で道を切り開き、バルブがその姿を現した。

 しかし木々の伸びは、とにかく速い。

 できた穴も、すぐさま塞がれていく。


「【裸足の女神】【アクロバット】!」


 ここでメイがさらに三人を低空跳躍で跳び越えて、そのままバルブに向けて手を伸ばす。


「えいっ!」


 強く締めると、栄養剤の放出が停止。

 低木の異常な伸びも、すぐに止まった。


「やったー!」

「ないっすー!」

「良い連携でした」

「上手くいったね」


 見事な連携で、クエストを成功させた前衛組。

 ハイタッチしながら振り返ると――。


「わー、待ってくださーい!」


 ロボを抱えたまま『8』の字移動のペンギンを追いかけて駆け続けるまもり。

 涙目のままペンギンロボットを抱きしめている夜琉。


「もう好きにして……」


 そして力尽き、ただペンギンロボットに引きずられるだけの黒づくめ二人の姿。

 激闘の方向性の違いに、メイたちはつい笑ってしまうのだった。

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