818.攻略者たち……
突然現れた攻略組の少女たち。
その見事な戦いぶりに、感嘆するレン。
すると白いバニースーツに、光沢感のある白のスリットスカート。
二本の刺身包丁を手にしたバニーと名乗る少女が、ポーズを決める。
「才色兼備の白ウサギ! バニー・ラビッツ!」
すると隣に、太刀使いの華奢な白髪少女が並ぶ。
薄青色の羽織を払い、凛々しい瞳をチラリと向ける。
「天衣無縫の大太刀使い、朔月夜琉だ」
続けて悪魔の角に黒のワンピースをまとった、黒髪ボブの無表情少女。
「祓魔の黒悪魔、灰猫」
そして最後に、金の騎士兜のバイザー部分のような冠に淡い金色の長い髪を結んだ、白い軽鎧の少女。
戦乙女が恥ずかしそうにしながら並ぶ。
「て、天を舞う戦乙女、アーリィです……」
横並びに陣取った四人。
先頭に立ったバニーが、最後に右手を高く掲げる。
「一騎当千、勇猛果敢! 最強無敗の白ウサギとはー、バニーちゃんの事だーっ!」
「かっこいいーっ!」
「すばらしいです」
恥ずかしそうなアーリィ以外、ちゃんとやっている決めポーズに目を輝かせるメイ。
ツバメと一緒に仲良く拍手する。
すると赤面のアーリィが、バニーに問いかける。
「最後のヤツ、新しく付け足したの?」
「むふーふ! そのとーり!」
「メイちゃんの『強い、可愛い、野生的』を聞いて羨ましくなったんでしょ? さすがに公式さんの前でやるのは恥ずかしいよ……!」
「こ、公式ではありませーん!」
「違っていたのか? すまない。強い、美少女、野生的だったな」
「無敵、可愛い、野生的だったはず」
「や、野生のところだけは絶対に直らないの……っ!?」
何度訂正されても『野生』の部分だけはしっかり残されていて、メイは戦慄する。
野生はしっかりメイの背中に張り付き、さらに存在感を拡大しているようだ。
「あなたが闇の使徒長、聖城レン・ナイトメアさんですね」
「ちがいます」
アーリィの問いかけに、レンもすぐさま否定する。
「ごめんなさい。どこが間違っていたのかしら」
「聖城レン以外の全てよ」
まさかの返答に、首を傾げるアーリィ。
「……ん?」
そんな中、メイの耳が異変を捉えた。
どうやら付近にいた帝国熊が、こちらに気づいて走ってきたようだ。
「おーっと、どうやら無粋な新手が登場したようだねぇ。ここはバニーちゃんが、身の程をってーやつを教えてあげちゃうよっ!」
続けてバニーが、新たな敵の速い接近に気づいて動き出す。
「いっくよー! 【早換え】! ……あれ?」
しかしすでに白バニースーツだということを忘れて変身した結果。
元の普段着スタイルに逆戻り。
「あっ、やばっ!」
慌ててもう一度『変身』しようとするが、今度は敵への対応が間に合いそうにない。
「あっごめ! ちょっ待っ早換ぎゃああああ――――っす!!」
帝国熊の突撃を受けて転がり、大きな窪みに落ちていく。
「もう! だから毎回の変身はやめた方がいいよって言ったのに! 【リトルウィング】【エアステップ】!」
アーリィはフォローのために空を駆け、敵に向かって一直線。
華麗に剣を取り出し、帝国熊に斬りかかろうとしたところで――。
「……えっ」
木陰から出てきた、大型のクモ型のモンスターに顔をひきつらせた。
「きゃああああああ――――っ!」
よほどクモ型が苦手なのか、手を「ムリムリムリ」と振りながら敵を跳び越え、無理な体勢になったことでそのまま肩から地に落ちた。
するとクモ型モンスターは、アーリィを追いかけていく。
「来ないでっ! 来ないで―っ!」
これに気づいた戦乙女は、後ろに向けて剣を振りながら走るというスタイルで逃走。
「任せろ!」
ここで威勢の良い声を上げたのは、長い白髪の大太刀使い、朔月夜琉。
「【爆歩】!」
強烈な踏み込みから、速く大きな低空跳躍で敵に迫る。
「【月穿ち】!」
そして大きな太刀を空中で豪快に振り回し、見事クモ型モンスターを一刀両断。
「……しまった!」
しかしクモの上を通るような形の飛び込みとなったこともあり、砲弾のような低空跳躍スキルの推進力は収まらず、そのまま特攻。
「きゃあっ!!」
安堵の息をついていたアーリィに、豪速で突撃した。
それでも、『スーパーアーマー』ゆえの突進力があるため止まらない。
「うああああああ――――っ!」
「きゃあああああ――――っ!」
二人は重なるようにして転がり、そのままバニーと同じ窪みに落ちていった。
「それなら」
残った帝国熊の前に出たのは灰猫。
黒のふんわりショートボブに、悪魔の角。
構えた十字の杖から、白い炎弾を発射する。
「【浄炎】」
帝国熊は、運良くかすめる程度に抑えて突撃。
これをやり過ごす形で回避した灰猫は振り返り、一撃での確実な打倒を選択する。
「【十字光弾】」
放たれた十字の輝きは、目前まで迫っていた帝国熊に直撃。
その火力は、やはりすさまじい。
十字型の炸裂によって帝国熊を一撃で消し飛ばし、巻き起こった爆発に灰猫も吹き飛ばされた。
そのままゴロゴロと転がって、窪みのフチにギリギリで手をかける。
「うわわわわ! えらいこっちゃーっ!」
そこまで深くもない窪みだが、メイは大急ぎで駆けつける。
「これならなんとか……あっ」
灰猫はどうにか這い上がろうと手を伸ばすが、フチが崩れてそのまま窪みの底へ。
「ふぎゅっ」
先に落ちた三人の上に落下して、奇妙な悲鳴を上げた。
「だいじょうぶですかーっ?」
駆けつけたメイがのぞき込んでみると、四人全員が穴の底でもみくちゃになっていた。
あっという間に敵を打倒し、自らも壊滅した四人の少女にレンは、思わずゴクリと息を飲む。
「これが……攻略組?」
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