表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

752/1476

752.状態異常の覆し方

「【視野狭窄】は、少しやっかいですね……」


 ツバメは即時の回復ができない状態異常に、短く息をつく。

 さらに【猛毒】も、早い速度でHPを奪っていっている。

【猛毒針】は毒針が効果を発揮している間、【毒消し】を使っても毒を再発させてしまう。

 やはり戦闘が始まる前に【劇毒】を浄化しておいたのは、正解だったようだ。


「【獅子爪拳】【転歩】」


 勢いに乗り、迫る黒仮面。


「っ!」


 放たれる輝く爪の振り降ろし、振り上げ、そして突きという三連撃を必死にかわす。


「【電光石火】!」


 三発目の直後に放った斬り抜けは、見事に黒仮面の腕にヒットするがダメージは僅少。


「防御スキルとは違うのですか……!」


 ツバメは【包身チャクラ】対策に武器を変更。

 防御スキル無視の【デッドライン】に持ち替えたが、HPの減りは変わらない。

 どうやら単純に【耐久】自体を上げるスキルのようだ。

 ツバメは仕方なく武器を戻す。


「ハッ!!」


 黒仮面はツバメより火力も低く速度も遅いが、やはり視野の減少は厳しい異常。

 これまでより、注意しながら回避を行う。


「【ダッキングスウェー】」


 そして黒仮面が、視界から消えた瞬間。


「【アクアエッジ】【瞬剣殺】!」


 引き付け放つ、水刃の嵐。


「くっ!」


 攻撃を『魔法型』の範囲技にすることで対応し、黒仮面のHPを見事に削る。


「このまま一気に! 【加速】!」


 上手な切り返しを決めたツバメは走り出す。

 このまま一気に高火力のスキルを叩き込み、倒してしまうのが得策と踏んだ形だ。


「っ!?」


 しかし足の裏に妙な感覚。

 何かを『踏んだ』と察知した次の瞬間、足元の小型魔法陣から飛沫がまき上がる。


「ッ!?」


 狭い視野のせいで、足元が見えなかったツバメ。

 慌てて右に跳び退くも、左手に飛沫がかかった。

 すると、左手の【アクアエッジ】が地面に落ちた。


「痺れで握力が……」


【部位痺れ】はツバメの左手から握力を失くし、二刀流を奪い去る。


「【獅子爪拳】【転歩】」


 右の短剣一本。

 火力の低下まで背負わされたツバメは、迫る黒仮面にまたも回避の時間を迫られる。


「【鮮烈脚】!」

「ッ!!」


 一瞬体勢が低くなったことで、視界から消えた後の回転蹴り。

 ツバメの肩をかすめてHPを削る。

 同時に【猛毒】による減少もあるため、直撃を受けたかのような減り具合だ。

【視野狭窄】に加えて【猛毒】、さらに【部位痺れ】までをも負わされたツバメ。

 それでも必死に距離を取ることで、狭い視界に黒仮面を入れようと動く。


「【ダッキングスウェー】」

「ッ!!」


 視界からの完全な消失。

 しかしこの動きは、身体を低くして距離を詰めるもの。

 すなわち、接近からの攻撃に入る合図だ。


「【瞬剣殺】!」


 ツバメは空刃を放つことで対応するが、手ごたえ無し。

 黒仮面はただ横移動に使用しただけだった。


「【タイガークロー】」

「ッ!?」


 慌ててサイドステップも、腹部をかすめた一撃がHPを削っていく。


「【電光石火】!」


 幸い、回避後にまだ硬直が解けたばかりの黒仮面を捉えることができた。

 ツバメは即座に攻撃に入るが――。


「【当て身投げ】」

「なっ!?」


 相手の攻撃を手甲で受け、つかみ、そのまま投げる。

 そんなカウンタースキルを受けてHPはすでに7割減少、ツバメは地面をバウンドした。


「これ、アサシンちゃんヤバいんじゃないか?」

「マズいですよね」


 一刀流で火力の低下。

 視野狭窄で回避低下。

 さらに【猛毒】で常時HP減少。

 最悪の状況に、掲示板組も息を飲む。しかし。


「……時は来ました」


 ツバメは静かにそう言った。

【当て身投げ】によって距離が離れたことで、仕切り直し。


「【疾風迅雷】……【加速】」


 走り出す。

 早い一撃は、黒仮面の爪に弾かれる。

 しかし本番はここからだ。


「【加速】【加速】【加速】」


 黒仮面の周りを駆けて斬り、駆けて斬り、駆けて斬る。


「【リブースト】」


 そして振り返り、さらなる超高速移動で斬り抜ける。


「【電光石火】」


 黒仮面がこちらを向いたところに放つ斬り抜け。


「【反転】【電光石火】!」


 身体を回転させて、再びの斬り抜け。

 そして、互いが向き合った瞬間。


「【スライディング】」


 今度は足元をすり抜け、再び背後へ。

 この時点ですでに、きりきり舞い状態の黒仮面。

 慌てて振り返ると、そこには――。


「【分身】」


 四人のツバメ。

 恐ろしい状況に、さすがに硬直する黒仮面。


「「「【電光石火】」」」

「【当て身投げ】!」


 一体目をかわし、二体目も続けてかわす。

 そして三体目に合わせて発動した、賭けの当て身は不発に終わる。

 本物のツバメは、二体目だ。

 そして『当て身』というスキルはカウンターが取りやすい分、失敗した際の隙が非常に大きい。


「【雷光閃火】」


 突き刺した短剣が火花を散らし、爆発。


「があああああああ――――っ!!」


 クルクルと舞い戻ってきた愛剣を、無事な右手で受け止める。

 嵐のような攻撃は、触れるだけで高ダメージ。

 ツバメの攻撃は全て『物理攻撃』にもかかわらず、黒仮面が一連の攻撃で受けたダメージは、なんと7割を超えていた。


「実は【猛毒】、嫌いではありません」


【耐久】を高く上げていた黒仮面。

 しかしツバメの手にした【境界死線】は、HPが減るほど威力を上げる武器。

 今この瞬間も上がり続けている攻撃力はすでに、【包身チャクラ】の防御力向上値を上回っている。


「――――いきます」

「――――来い」


 迎えた最後の一騎打ち。

【猛毒】の状態で『火力を上げていく』という不思議なアサシン、ツバメは走り出す。


「【加速】【リブースト】」


 超加速。

 真正面から、黒仮面に向けて右手の【境界死線】を突き刺しにいく。


「【獅子爪拳】【タイガークロー】!」


 しかしカウンターで放たれる三本の空刃は、そんなツバメにピッタリ合わせる形で繰り出された。


「ッ!?」


 直撃。

 しかし斬り裂かれたのは、ツバメを模した【残像】


「【スライディング】【反転】!」


 黒仮面の背後に回り込み、即座に振り返る。


「――――【アサシンピアス】」


 背中からの一突きでトドメ。

【境界死線】による一撃は、黒仮面の残りHPをまとめて消し飛ばした。


「バカな……」


 最後の一撃が静かに刺さるのは、アサシンらしい締め。

 黒仮面は、ゆっくりと崩れ落ちた。


「カッコいい……」

「あの怒涛の攻勢から、最後は冷静な一刺しか」

「痺れますね」


 そのすさまじさに、呆然とする掲示板組。


「ツバメ! やったわね!」

「……さ、さすがツバメさんです」


 そこに戦いを終えたレンとまもりが駆けつけてきた。

【猛毒針】が消え、すでに強制毒は解消されている。

 しかしカッコよく決めた直後のツバメは、毒消しを使って一息。


「スライディング後に、敵が振り返ったら巨大ヒヨコちゃんというのもやりたいです」

「……それは驚くわね。間違いなく」


 残りHPを大きく減らす緊張戦いを終え、向けられる羨望の眼差しの中でもマイペースなツバメ。

 これにはまもりも笑ってしまうのだった。

誤字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[一言] あったらある意味微妙な装備 防御力が999とふざけた性能をしているが、見た目もふざけており鼻ヒゲメガネになっており、付けるのはいろんな意味でハードルが高い。
[一言] 最後に巨大ヒヨコか、シュールなことになりそうですね、そう言えばフェアリーテイルクロニクルで第一章の最終決戦で爆発する巨大野菜で敵の攻撃を防いで、シリアスブレイクしてたなぁ、後はお風呂のアヒル…
[一言] ツバメの新スキルに 食い縛りなんてどうでしょう HPが必ず1残り、10秒間無敵になる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ