表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

730/1476

730.フローリスの危機

「この街が崩壊した時には、何者かとの『争い』があったはず! その相手がこいつらなんだわ!」


 動き出した、四人の黒き者たち。


「まもりはビルダ老人をお願い!」

「ははははひっ!」


 リーダーの指示で動き出した敵三人の動きの鋭さを見て、レンは即座に防衛をまもりに任せる。

 正確には黒というより、濃いグレーに赤。

 仮面をかぶった二人の先行者は両手に短剣を握り、メイのもとに駆け込んできた。


「ッ!!」


 振り出しが早かったことに気づき、メイは即座にしゃがむ。

 その動きが、【アクアエッジ】使用時のツバメと似ていたからだ。

 すると振るわれた短剣は、斬撃のエフェクトを空中に描き出す。

 予想通り、攻撃範囲を伸ばすスキルを使っているようだ。


「それっ」


 一撃目をしゃがんでかわしたメイは、続く振り降ろしも身体の回転一つでかわす。

 すると二人目が、一人目を跳び越える形で接近。

 振り降ろす剣にはやはり、嫌な輝きが灯っている。


「当たりませんっ」


 メイはこれをバックステップでかわし、ついた足に力を籠め反撃に向かおうとするが――。


「ッ!?」


 攻撃はまさかの二段階。

 炸裂した光がメイに当たり、その視界を大幅にぼやけさせた。


「うわわわわっ! なにこれーっ!?」

「こいつらも、状態異常攻撃を使うんだわ!」


【視覚異常】はメイを恐ろしいほどの【近視】にしてしまう。

 こうなれば敵との距離感はもちろん、投擲系の武器などの回避も一気に難しくなってしまう。

 初めての異常事態に、抱く困惑。


「カエル!?」


 一方ツバメとレンは、三人目の仮面が繰り出した二匹のカエルと相対する。

 身体は1メートル50ほど。

 黒色のカエルは、鋭い紫眼をこちらに向けてくる。


「速いです!」


 二匹のカエルは低空の速い跳躍を続け、ツバメとレンを前にして突然軌道を変える。

 一匹目はやや高いジャンプで宙へ舞うと、そのまま舌を横の軌道で振り回す。


「っ!」


 これを前に進むことでかわすツバメ。

 すると二匹目のカエルが刺突の軌道で舌を伸ばしてきた。

 続けざまの回避は横移動で。

 すると着地した一匹目のカエルが、大きくその頬をふくらませる。


「「ッ!!」」


 レーザーのような形態で吐き出される液体。

 身体のサイズに合わない豪快な一撃は払うような軌道を描き、レンとツバメをかすめていく。

 ツバメは右腕、レンは左脚。

 受けた箇所が石化し、二人は同時にバランスを崩した。

 そして二人が【石化】という最悪な状態異常に気を取られれば、当然三人目の仮面の手が空く。


「【疾空刃】」


 軽快な走りから放つのは、サーベルによる速い一撃。


「き、ききききましたっ!! 【天雲の盾】っ!」


 これを大慌てのまもりがいつものように右手の盾で守ると、仮面は一気に距離を詰めてきた。


「【回転四連撃】!」

「ククク【クイックガード】【地壁の盾】! 盾、盾、盾ーっ!」

「【麻痺三連突き】!」

「盾、盾、盾っ!」

「【火炎砲】!」

「【コンティニューガード】! 【天雲の盾】っ!」


 速い四連の斬撃からタイミングをずらした刺突の三連撃、そして左手から放つ火炎放射。

 まもりはその慌てぶりから予想もできない完璧な防御で、全ての攻撃を弾き返す。


「い、いきます! 【シールドバッシュ】!」


 そして連続攻撃の硬直で動きが止まった瞬間に、叩き込む盾で黒仮面を弾き飛ばした。


「うわわ! うわわわわっ!」


 一方メイは、全てがぼやけて見える中でも回避に意識を集中。

 どう戦うかを悩んでいると――。


「そうだ!」


 黒仮面が跳躍し、空中で動いたのを見て軸をズラす。

 すると予想通り【痺れ針】が足元に刺さったところで走り出す。


「【裸足の女神】! からの【ゴリラアーム】!」


 一直線の高速移動で敵の着地際に潜り込み、仮面の者をつかんで耳を澄ます。


「そっちだ! せーの、それええええーっ!」

「「ぐああああっ!?」」


 音でもう一人の黒仮面の位置を特定して投擲。

 ぶつかり合って、倒れ込む仮面の二人。

 ダメージは衝突ゆえに多くないが、二人が同じ場所にもつれているだけで十分だ。


「いきますっ! おおざっぱ【ソードバッシュ】だ――っ!!」


 メイがだいたいの方向に放つ衝撃波。

 その範囲は広く、倒れ込んだままの二人は回避し切れない。


「「ぐああああああ――――っ!」」


 メイの一撃に吹き飛ばされて、仮面の者たちはそのまま倒れ伏した。


「【連続魔法】【誘導弾】【ファイアボルト】!」


 レンの魔法を、カエルは速い動きでかわす。


「【投擲】!」


 そこに続くのはツバメの【雷ブレード】だが、これも続け様の回避を決める。

 しかし連続の回避は、バランスを崩させた。


「石化で歩きにくいのなら! 【低空高速飛行】っ!」


 それを見たレンは一気に距離を詰め、【魔剣の御柄】を振り下ろす。


「【解放】!」


 そしてそのまま【フリーズブラスト】を放ち、一匹目のカエルを消し飛ばした。

 すぐさま二匹目に視線を向ける。

 放たれる、跳躍からの舌攻撃。

 回避からの攻撃を叩き込もうと狙うツバメとレン。しかし。

 カエルは地面に毒液を吐きつけた。


「スプラッシュ攻撃! 本当にやっかいね!」


 広がる毒飛沫は二人を同時に【猛毒】化し、始まる急速のHP減少。


「ですが……着地際はいただきます!」


 ここは攻め時と踏んだツバメは回復を捨て、【猛毒】状態のまま突き進む。


「【加速】【リブースト】!」


 超加速で左手の短剣を振るい、斬り抜けへ。


「【電光石火】!」


 確かなダメージはしかし、打倒にはまだまだ及ばない。


「腕一本しか使えないなら、二度斬ればいいだけです! 【反転】【雷光閃火】!」


 ここでツバメは勝負をかけ、振り返り際の払い舌を繰り出そうとするカエルに短剣を突き刺した。

 直後、火花を散らす短剣が爆発を起こし宙を舞う。


「まもり、魔法防御をお願い!」

「は、はははひっ!」

「【斬煌剣】」


 迫る黒仮面の剣士は跳躍し、黒のエフェクト共に豪快に剣を振り下ろす。


「【地壁の盾】!」


 これを右手の盾で防御しつつ、視線はレンの方へ。

 レンは小さく一度うなずくと――。


「【フレアバースト】!」

「【天雲の盾】!」


 まもりを巻き込む形で、そのまま爆炎を炸裂させた。


「ぐああああああ――――っ!」


 しかし左手の盾は、レンの放った炎からしっかり身を護る。

 こうして狙い通り、黒仮面だけを焼き払うことに成功。

 メイたちは見事、謎の黒仮面たちを打倒してみせた。

 しかし状態異常攻撃を挟んだ攻勢は、時間を稼ぐには十分。

 敵リーダーは低空を浮遊し、石灰石で作った球体のような『兵器』のもとへ。


「……やはり、再び使うことができる。使用後は自動で装填されるのだな。これがあれば我らは大陸を、いや、世界を掌握することも可能」


 紋様の刻まれた兵器の表面に触れると、仮面のリーダーは魔力を注ぎ込む。


「――――『兵器』の実験を続ける」


 そう言って再起動すると『兵器』は地面に根を伸ばし、紋様の隙間からドクドクと毒液を滴らせ始めた。


「や、やめろ……」


 その光景を前に、震え出すビルダ老人。

 それはフローリスを崩壊に追い込んだ悪夢の再現だ。


「やめろぉぉぉぉぉぉぉ――――ッ!!」

「素晴らしい……」


 悲鳴のような叫びをあげるビルダ老人。

 しかしリーダー格の黒づくめは止まらない。

 感心するようにそう言って、恍惚の息をついた。


「『兵器』はなんとしても、我らのがものとせねばならない。そして……新たな扉を開くのだ」


 リーダーは耐毒の装備をまとっているのか、滴る毒液も気にしていなかった。

 しかし『兵器』の勢いが強まると、さすがに大きく距離を取る。


「再び観察が必要だ【転瞬の宝珠】」


 この場に留まれば、状態異常の嵐に飲み込まれる。

 リーダーが手持ちの宝珠を起動すると魔法陣が広がり、黒仮面の者たちを包み込んでいく。


「ここは退がる。後に時間の経過を待ち火力と被害を確認、その後あらためて回収にあたるものとする。『兵器』は……我らのものだ」


 そう言ってメイたちを一瞥すると、【転瞬の宝珠】で引き上げていく黒づくめたち。


「おい、こっちだ! まずはテントの下に! また毒の雨が降り出すぞ!」

「いきましょう!」

「りょうかいですっ!」


 駆けてつけきたエンリケがあげる、慌てた声。

 ツバメとレンは毒消しを使用し先行。

 メイは老人を抱え上げ、二人の後を追う形で走り出す。


「ダ、ダメだ! 待ってくれ! あれを止めないと街が! 街がああああ……っ!」

「死んじまったら終わりだぞ! 生きてりゃまた、街を立て直すことはできる!」

「フローリスが……わしらのフローリスが、また……っ!


 エンリケの言葉に、ビルダ老人は最後まで『兵器』を止めようともがく。

 しかしメイたちはそのまま、帆布テントの下に逃げ込んだ。

 すると直後、噴き上がった毒素が雨となって降り始めた。

誤字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[一言] これ根本から何とかしないとおわらなそう
[一言] 論理クイズは4人も正解ですね、あともう一息なので頑張ってくださいね
[良い点] 毒竜にはならなかったかぁ…。 いや…そうか!この毒々兵器が『報酬』なんですね! そしてそれを攻撃力に欠けるまもりに持たせる流れ! それにより【毒性雨】【麻痺噴煙】【劇毒ノ沼】などを放てる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ