表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

717/1479

717.エルフを探せ

 エルフは街に出てくることがほとんどなく、北部の深い森の中に住んでいる。

 メイたちは一度接触したことがあるが、探そうと思うとなかなか見つからないというのが基本設定だ。

 ポータルを使って移動した後、たどり着いた静かな森。


「静かだねぇ」

「本当ですね」


 穏やかな森の中を進む四人。

 聞こえてくるのは、鳥のさえずりと草を踏む音くらい。

 エルフを見つけるのに苦労するというのは、やはり星屑では常識だ。


「……聞こえないなぁ」


 メイは耳をすますが、音での判断は難しいようだ。


「でも、そういうことならっ!」


 続けざまに【呼び寄せの号令】を使用する。

 集まってきたのは、リスや鳥といったこの森に似合う動物たち。


「すごい……」


 メイの肩や手に留まるリスや、尻尾に乗る鳥を見て感嘆するまもり。

 その姿に思わず見とれてしまう。


「エルフさんがどこにいるか分かりますか?」


 問いかけると、リスたちが木々を伝って動き出す。


「向こうだって!」


 当然、エルフは動物たちと仲が良い。

 そして動物たちと、どうかしているほど仲が良いメイ。

 こうなればエルフの発見は難しくない。


「いきましょうか」


 動物たちと一緒に仲良く森を進むメイに目を奪われながら、まもりも歩き出す。

 方向感覚もままならないほどに深い森の中、やがてリスたちが視線を上げる。

 するとそこには、美しいエルフの少女が木の実を摘んでいた。


「こんにちわーっ」

「……おや、何かご用でしょうか」


 実は動物値や普段の行動によって、その態度が変わってくるエルフたち。

 メイたちはもちろん、まもりも猫や犬を見つけては時間を忘れて戯れるタイプなので動物値は高い。


「【清地薬】を探してやってきました!」

「そうですか……今は少し難しいですね」

「何か必要な素材が足りてないとか?」


 レンの問いに、エルフは静かに首を振る。


「【清地薬】の精製には特別なスキルが必要となるのですが、今そのスキルを持つ者が戦いに備えて出ているので」

「戦い? 一体何と?」

「ドワーフです。実は先日見つかった『ミスリル鉱玉』の近くにドワーフたちが陣取っているのが発見されました。さらに危険な毒ガスを使って近づけないようにして、鉱玉を独占しようとしているらしいのです。そのため我々エルフの一部は戦いに向かう準備の真っ最中。この件が解決するまでは、【清地薬】の精製は不可能でしょう」

「なるほど、その問題を解決することが求められるのね」

「毒を用い、ミスリル鉱玉を独占しようとするドワーフたち。なんとかしていただければ、あるいは」

「その話、受けるわ」

「ありがとうございます。ミスリル鉱玉は北部山脈の西側『レムルの穴』にあり、すでにエルフたちはその近くに布陣しています。一方ドワーフたちは山脈の北東部。レクタル山の洞穴に住んでいるのですが、今は穴の周りを取り囲んでいるようです」


 エルフは現状の説明と、立地をそれぞれ説明。


「よろしくお願いします」

「これでクエストの受注ができたわけね」

「今にも戦いが始まりそうって言っていたね! さっそく、その鉱山に向かおうよっ!」


 エルフに見送られ、すぐさま動き出すメイにツバメも続く。


「エルフ発見が早かったおかげで、良いペースで進みますね」


 まもりもこくこくとうなずく。

 そのまま四人は森を進み、鉱山に踏み込もうとしたところでレンが足を止めた。


「……ちょっと、待って」

「どうしたのー?」

「なんか引っかかるのよね……」

「引っかかる? 気になるポイントがありましたか?」

「ええと、そう。どうしてエルフはドワーフたちの住処まで口にしたのかしら」

「それは、もしかして……!」


 言われてツバメも歩みを止めた。


「ふ、二つの選択肢が出ているような……」


 自信なさげなまもりの言葉に、レンがうなずく。


「どーいうこと?」

「このままレムルの穴に向かうのが基本的な形だと思うんだけど、一応レクタル山にも向かえる。これは要するに、ドワーフ側の話も聞けるってことじゃないかしら」

「レムルの穴に向かうとそのまま戦いが始まって、ドワーフに勝ってクエスト達成。ですがドワーフの話を聞くと、何か別の視点の状況が見える可能性があるということですね」


 ツバメの言葉に、レンは大きくうなずく。


「今のままだと片方の話だけ聞いて、それを鵜呑みにしてるって状況なのよね」

「なるほどー! 戦いになる前に、両方から話を聞くんだねっ」


 そこは他ゲームの経験がないメイ、手をパチンと鳴らして納得。

 見知らぬ二つの勢力の諍い。

 両方から話を聞くというのは、とても理にかなった行動だ。


「行き先はレクタル山のドワーフ集落。どうかしら、行けそう?」

「おまかせくださいっ!」


 メイの視界には、【帰巣本能】によって方向を示す印あり。

 四人はレムルの穴ではなく、先にレクタル山北東部に向けて進むことにした。

 森の中を進むことしばし。

 森から岩山へ進むと、今度は洞窟を発見。

 内部には明かりが灯っている。

 ここがドワーフの居住地で間違いないようだ。


「なんだ、お前らは?」


 そこに現れたのは、長い白ひげの老ドワーフ。


「お話を聞きに来ましたっ」

「レムルの穴にドワーフたちが詰めているのはどうして?」

「あの穴では毒ガスの噴霧が続いていてな。高い引火性を持っているから、毒が抜けるまであの場所を守らぬと、山火事になる可能性があるからだ」

「やっぱり。言われるままにクエストを受けた場合と、両者に話を聞いた場合で背景が全然違うわ」

「鉱玉はどうするつもりなの?」

「そんなことまで知ってんのか。あれはかつて結んだ条約の通り、エルフ共と半分ずつに割って使うことになるだろうな」

「……ちなみにエルフって、ドワーフにとってどんな存在なの?」

「お高く留まった気に喰わない存在、そんな感じだな」

「これってマズいのでは……っ!?」


 メイは猫耳をピンと張り、尻尾をあわあわ左右に振り回す。


「不運な形で始まる戦いを、止めるのがこのクエストのベストエンドなのね」


 考えながら挑まなければ、たどり着かない展開がある。

 どうやらなかなか考えられたクエストのようだ。


「とにかくレムルの穴に向かいましょう! 戦いの行方次第では最悪の事態になりかねないわ!」

「りょうかいですっ!」

「急ぎましょう!」

「は、はひっ!」


 こうしてメイたちは、大急ぎでレムルの穴へと向かうのだった。

誤字脱字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[一言] 喧嘩を物理的に止める方法はいくらでありそう
[一言] 論理クイズはもう少し踏み込んで答えてほしかったのですが一応あってるので正解とします 模範解答と模範解法は 正解 アリスが有利 解説 重要なこと 一見すると確率問題のようにも思えますが、複…
[一言] 戦争の仲裁がゴールか。 誰かソレスタル・ビーイング呼んできてーーー 「俺が!俺たちが!   ガン◯ムだ!!!!」 レンちゃん「………帰れ」 ツバメちゃん「レンさんがかつて見たこ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ