699.メイちゃんにインタビュー
「色々話を聞くだけって、お客さん来てくれるのかな……?」
今回メイが頼まれた企画は『メイちゃんにインタビュー』というもの。
星屑を始めた日から、ここに至る経緯をメイに話を聞きながら振り返るものらしい。
今回は戦いを皆に見せるというわけではなく、単純にメイの話を聞こうという形だ。
「メイさん! 準備できました! よろしくお願いしますっ!」
「はひっ!」
一人だけということでさすがに不安を感じながら、控室を出る。
運営の案内に従って、会場の裏手へ。
緊張しながら舞台へ上がると、そこにはすでにたくさんの観客が待ち構えていた。
メイは小走りで、舞台の中央へ。
「メ、メメメメイですっ! よろしくお願いいたしますっ! あたっ!?」
そして今時なかなか見られない、あいさつでマイクを額にぶつけるやつを披露。
しかし、ここで起きたのは笑いだけではなく驚きも同時だった。
なんとメイが緊張で全力のお辞儀をした結果、ぶつかったマイクが弾け飛んでしまった。
「さすがメイちゃん……!」
「アハハハハ! 規格外のパワーだな!」
転がるマイクに、早くも笑い交じりの歓声があがる。
「てへへ……」
メイは恥ずかしそうにちょっと顔を赤くしながら、案内された舞台上の席に着く。
広いスペースを取っていたため、席の用意や誘導などに時間を取り、予定時刻を遅れてのスタートとなった。
「いまではすっかり有名になったメイちゃんですが、星屑を始めたきっかけはなんだったのでしょうか」
「きれいな世界を見て回れる! それを知ったら我慢できませんでしたっ!」
「なるほど、確かに星屑の世界には美しい光景がたくさんあります。これは背景班歓喜ですね」
「そしてメイさんと言えば桁違いの戦闘能力をお持ちですが、これは一体どうやって身に着けたのでしょうか」
「討伐を終える度に村のお姉さんが『また出ました!』って言ってたから、戦い続けちゃって……それからは7年ずっとジャングル住まいで、気が付いたらこんな感じに」
「「「…………どういうこと?」」」
感嘆する観客たち。
するとここで、運営司会者が手を高く上げた。
「ここで発表がございます。実は、当時の貴重な映像を見つけることに成功いたしました!」
「「「おおおおーっ!!」」」
空中に現れた画面に映ったのは、星屑を始めたばかりの10歳のメイ。
スライム相手に剣を振る姿だ。
いかにも初心者然とした『剣に振られる』動きのメイに、皆が「可愛い」と笑う。
「そしてこちらが、7年後のメイさんですっ!」
あがる驚きの声。
ボロボロの初期装備に、ドロップで得たボロボロのマント姿のメイ。
すでに熟年ハンターのごとき風格を漂わせている。
ゴールデンリザードに追われピンチだったお姉さんの前に立つと、そのまま瞬殺。
見事、危機から助け出した。
「すげー……」
「き、金トカゲって、あんな瞬殺できるもんなのか……」
「もう目線が金トカゲの方見てなかったんだが」
「ノールック打倒はさすがにすごいな」
その凄まじいビフォーアフターに、感嘆の息をつく観客たち。
「惚れ惚れするような身のこなしですねぇ……ですが一体どうして、このクエストを受け続けていたのでしょうか」
「ええと、その……何度倒しても同じクエストが出てきたから……全部倒し切らないと村を守れないんだと思って……」
「「「…………ッ!?」」」
メイのまさかの勘違いに、ここでも驚きの声が上がる。
「この時はもう、街でお散歩しているワンちゃんを見ても『このまま駆けてきたら、足への喰らいつきに注意』とか考えてました……」
そしてそんな話に、またもや笑いが起きる。
「ちなみに、どう対応するんでしょうか?」
「ええと、小型犬は前足での攻撃は怖くないから喰らいつきだけ要注意です! それも足に噛みつくには首をひねって近寄らないといけないから、顔を寄せてきた時点でカウンターを入れるか、後退かジャンプで普通に避けられます。その後に反撃を狙いましょう!」
「なるほど……皆さんも現実で『暴れチワワ』に襲われた際は、ぜひお試しください」
「どんなチワワだ!」
当然入る観客からのツッコミに、また笑いが起こる。
「この頃は村を守るという使命のために戦っていたメイさん、今は何を求めてプレイされているのでしょうか?」
「目指すは、素敵なお姉さんですっ!」
メイはハッキリそう言った後――。
「でも、一番はレンちゃんやツバメちゃんと遊べるこの世界が大好きだから! 最高の友達がいるからですっ」
うれしそうに笑う。
「闇の使徒長と呼ばれる聖城レン・ナイトメアさん。そしてその存在を突然消すことでも知られる暗殺者、ツバメさんですね」
「はいっ! それにグラムちゃんやアルトちゃんや、たくさんのプレイヤーの人たち……」
そして客席に並んだプレイヤーへ。
「一緒に戦ってくれた皆さんも、ありがとうございますっ!」
いつものように元気に頭を下げると、観客席が大きく盛り上がる。
「……メイさん」
その中でポツリとつぶやいたのは、今回のカフェにも来ていた盾少女。
運営司会者は、ひとしきり盛り上がったところで次のコーナーへ。
「さて、それではここからは皆さんからメイちゃんに質問を――」
「「「はいっ!!」」」
わき立つ観客たちは、我先にと挙手する。
皆ブンブンと手を大きく振ってアピールを開始。
運営の司会者が、マイクを持って移動を始める中――。
「……あっ」
メイはとても大事なことに気づく。
メイの話や運営の問い、そして観客のリアクションも良かったため、一つ一つのやりとりが伸長。
その分だけ予定が押し、進行も遅くなってしまっている。
そもそもこのインタビュー自体が、思った以上の客入りで開始が遅れている。
「最後のクエスト、もう始まる時間だ……」
約束のクエスト、そして待ち合わせ。
今から走って向かっても、すでにギリギリ間に合うか否かという状況。
それでもメイは、一つ一つの問いにしっかり回答する。
質問者の多さ、メイがしている約束を知らない運営。
当然インタビューの時間は、ドンドン押していくのだった。
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