239.洞窟へ向かいます!
「快晴ですね」
隠されていた要素であるオーロラを楽しんだ三人は、翌日に再開。
ウェーデンの山中は、どこまでも続く雪と青空の光景に戻っていた。
「昨日のオーロラ、きれいだったねぇ」
「なんだか、空気が違い過ぎて夢みたいだわ」
ロッジの白い大型犬に頭を預けてのんびりするメイと、その横に並んで座るツバメ。
レンはその光景を眺めつつ、暖炉前の椅子にもたれていた。
もう当分このままでもいいんじゃないかというくらい、穏やかな光景だ。
もちろん三人は今日も、待ち合わせ時間の前に到着。
特にツバメは白犬と戯れようと、かなり早くにやって来ていた。
「そろそろ行きましょうか。何気にこの暖炉、しばらく温まっていると時間限定の【耐寒】が付くのよね」
氷結効果を持つ攻撃への耐性がわずかに上がる【耐寒】
きっちりと特殊効果をもらってから、レンは動き出す。
「やっぱり雪原に関する情報に『オーロラ』『吹雪の中の何か』についての情報はなかったわね」
少女を助けて共に帰り、オーロラを一緒に見た時点でもたらされる情報。
そのうえ広大な雪山の中から洞窟を見つけるというのは、かなり難しいのだろう。
「ありがとうございました!」
そう言って手を振るNPC少女。
「こちらこそ、オーロラが見られて良かったです!」
メイも白犬の頭をポンポンした後、少女にブンブン手を振りながらロッジを出る。
「どう? 洞窟の位置は分かる?」
「はい、問題ありません」
NPC少女からもらった地図。
ここにツバメの【地図の知識】を用いることで、位置は問題なし。
メイたちは穏やかな雪渓の中を、足取りも元気に進んで行く。
たどり着いた先は、岩肌がむき出しになった崖の一点。
「どこかしら……」
「あっ、少し登ったところに縦穴が見えるよ!」
メイがビッと指を差す。
「よほどのことがないと、あれを偶然見つけてって形にはならないわねぇ」
「【モンキークライム】」
スルスルと崖を登っていくメイに続いて、ツバメとレンも崖の出っ張りまで上がる。
そこにあったのは、暗い洞穴。
「ごめんなさい、松明持って来るの忘れてたわ」
「私も確認しませんでした」
「それでは、私の肩に手を乗せてくださいっ」
二人がそう言うと、メイは両手を腰に当てて背を向けた。
「失礼します」
ツバメが少し恥ずかしそうにしながら、メイの肩に手を乗せる。
「これでいいかしら」
そしてツバメの肩に、レンが手を乗せる。
「出発します!」
そしてそのまま三人縦に並んで、洞窟へ。
もちろん【夜目】の効果で、メイには内部が問題なく見えている。
「「ッ!!」」
聞こえた音に、モンスターの気配を感じ取る。
しかし、正面から突撃してきたコウモリの変種たちは――。
「よっ! それっ!」
メイが難なく斬り払う。
すると突然、フラッシュのように複数のコウモリが光を放った。
容赦なく飛んで来る複数の光弾。
「【装備変更】」
メイはここで【魔断の棍棒】を装備。
「それっ! それそれそれっ!」
飛来する魔力の光弾を、全て弾き返してみせた。
粒子となって消えていく魔法コウモリたち。
三人は見事、ノーダメージでこの場を切り抜ける。
「わあ、いっぱいいる……」
しかし大部屋に踏み入る直前、天井に止まった多数の魔法コウモリを見てメイがつぶやいた。
「メイ、一応崩落にも気をつけてね」
「あっ、そうだね。そういうことならっ!」
【ソードバッシュ】は、場合によって崩落を起こす可能性もある。
そこでメイは、レンのもとにやってきた。
「レンちゃん、杖をこっちに向けて」
「こう?」
「もう少し上かな」
「こう?」
「もう少し下ですっ」
「こう?」
「あとちょっとだけ右かなぁ……ちょっと待っててね」
そう言ってメイは、後ろからレンに抱き着くようにして方向を定め始める。
「……っ」
「何が起こっているのですか?」
思わず息を飲んだレンに、ツバメが問いかける。
「照準を合わせておりますっ」
メイはレンの腕に手を添えて、魔法コウモリたちが集まっているところに【銀閃の杖】を向ける。
このモンスターは、どう考えても大部屋に入った時点で一斉に動き出す仕掛け。
メイたちはちょうど、その空間の一歩手前に構えている形だ。
「この感じ、少し懐かしいね」
レンと出会った時に落ちた洞窟のことを思い出しながら、照準をセットするメイ。
「ここで大丈夫! それでは『まほうじゅつ』でお願いします。せーのっ!」
「【魔砲術】【フリーズブラスト】!」
「……やったー! 完璧ですっ!」
吹き付ける猛烈な氷嵐に、一気に消えていく魔法コウモリ。
ギュッと強く抱きしめて歓喜するメイに、照れるレン。
「そ、それじゃ先に進みましょうか」
そう言って先に歩き出し――。
「うわっ!」
足を取られて転びかける。
うっかり暗闇の中だということを忘れていたレンは、大人しく一歩下がる。
「……何が起きているのですか?」
そんな姿に、首を傾げるツバメ。そして。
「な、なんでもないわ。それよりここで一応連携・ステータスの確認をしておきましょう」
そんなツバメの肩に手を乗せながら、しらを切るレンなのだった。
【名前:メイ】
【クラス:野生児】
Lv:234
HP:18915/18915
MP:396/396
腕力:902(+58)
耐久:603(+78)
敏捷:450(+30)
技量:415(+20)
知力:10
幸運:10
武器:【蒼樹の白剣】43(【大蜥蜴の剣】)(【魔断の棍棒】)
防具:【白花の鎧】耐久30 腕力15
:【白花のブーツ】耐久20 敏捷10
:【王者のマント】耐久25
:【白いフード】耐久3
装飾:【猫耳・尻尾】敏捷20 技量20(【鹿角・尻尾】)(【狐耳・尻尾】)
:【召喚の指輪Ⅲ】
スキル:【ソードバッシュ】【投石】【装備変更】【キャットパンチ】【フルスイングⅢ】
:【ラビットジャンプ】【バンビステップ】【モンキークライム】【四足歩行】【裸足の女神】【野生回帰】
:(【アクロバット】)(【突撃】)(【狐火】)(【幻影】)(【トカゲの尻尾切り】)(【魔弾リフレクト】)
:【アメンボステップ】【ドルフィンスイム】
:【遠視】【聴覚向上】【嗅覚向上】【夜目】【雄たけび】
:【自然の友達】【密林の巫女】【蓄食】【帰巣本能】
:【クマ召喚】【クジラ召喚】【ケツァール召喚】
【名前:聖城レン・ナイトメア】
【クラス:魔導師】
Lv:83
HP:2423/2423
MP:895/895
腕力:10(+8)
耐久:10(+66)
敏捷:130(+12)
技量:104(+15)
知力:596(+30)
幸運:10(+1)
武器:【銀閃の杖】攻撃8 知力15(【ワンド・オブ・ダークシャーマン】)(【魔剣の御柄】)
防具:【夜空の冠】防御5 知力10
:【夜空の黒衣】防御30 知力5
:【夜空のブーツ】防御15 敏捷12
装飾:【銀の腕】防御15 技量15
:【真っ赤なリボン】防御1 幸運1
スキル:【スタッフストライク】【吸魔】【浮遊】
:【ファイアボルト】【フリーズボルト】【ファイアウォール】【ブリザード】
:【フレアアロー】【フレアストライク】【フリーズストライク】【フレアバースト】【フリーズブラスト】
:【ダークフレア】
:【魔眼開放】【連続魔法Ⅲ】【連続魔法Ⅳ】【魔力剣】(【魔力剣・改】)【魔砲術】【コンセントレイトⅠ】【誘導弾】【設置魔法】【魔法速度変化】
:【クイックキャストⅠ】【クールタイム減少Ⅰ】【MP向上】
【名前:ツバメ】
【クラス:アサシン】
Lv:71
HP:3581/3581
MP:130/130
腕力:124(+49)(+45)
耐久:10(+48)
敏捷:493(+38)
技量:83(+10)
知力:10
幸運:10
武器:【グランブルー】攻撃50(【デッドライン】)
:【ダインシュテル】攻撃45
防具:【ミスリルベスト】防御15 敏捷5
:【紺碧のローブ】防御16 敏捷18
:【天駆のブーツ】防御18 敏捷20(【暗転のブーツ】)
装飾:【シルクグローブ】防御5 技量10(【強奪のグローブ】)
スキル:【加速】【跳躍】【隠密】(【スティール】)【壁走り】(【天井走り】)【残像】【罠解除】【地図の知識】(【暗転】)
:【スラッシュ】【投擲】【電光石火】【雷光閃火】【アサシンピアス】【紫電】
:【ヴェノム・エンチャント】【四連剣舞】
:【二刀流】【ダブルアタック】【サクリファイス】
:【アクアエッジ】
脱字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!
天候と寒さ。この辺りに気を取られなくていいというのはVR世界の武器ですね! 大型犬と暖炉の前で戯れるメイはとても絵になりそうで、運営も目を光らせているに違いありませんっ。
お読みいただきありがとうございました!
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