表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

221/1390

221.野生児vs聖騎士

「さあメイ! 勝負だ!」

「はいっ!」


 胸を張り、ビシッとメイを指さすアルトリッテ。

 メイは元気に手を上げて応える。


「アルトリッテとメイちゃんの対決とか、見ものだなぁ!」

「いやー、ここに残って良かった!」


 観戦者たちも、その戦いの始まりを今か今かと待ち焦がれている。

 向けられる期待に応えるように、アルトリッテが動き出す。


「いくぞ! 【ホーリーロール】!」


 一回二回と続く聖なる光の横なぎを、しゃがんでかわすメイ。


「おっと!」


 踏み込もうとしたところで、もう一回転。

 これをかわして、今度こそ。


「ッ!!」


 まさかの四回転目は、縦の剣撃。

 メイは身体を一回転半させて、駆け抜けていく光の軌跡に背を向けるようにして回避する。


「さすがだ!」


 うれしそうに笑うアルトリッテは、さらに踏み込んでくる。


「【シールドブラスト】!」


 振るった盾が放つ爆風。


「うわっとと!」

「そして【ハードコンタクト】だーっ!」

「【アクロバット】!」


 衝撃波をともなうタックルが、柱を折り砕いた。


「よーし!」


 するとメイは倒れた柱を手に取り、そのまま叩きつけにいく。


「な、なんだその攻撃はっ!?」

「【フルスイング】!」


 メイも負けじと二回転して、上段からの叩きつけへとつなぐ。


「【ハードコンタクト】!」


 これをアルトリッテがタックルで砕くと、メイは空中へ。


「【ラビットジャンプ】【アクロバット】!」


 そのまま大きく一回転。


「ジャンピング【ソードバッシュ】だああああ――――っ!!」

「【セイントシールド】!」


 それはMPを消費し、タイミングを合わせることで近接武器による攻撃と、派生スキルまでもカットする『お宝級』の盾スキル。


「くっ!」


 しかし剣を受けた後に続く衝撃波は持続が長く、アルトリッテは地面を転がった。

 急いで起き上がり、体勢を整える。


「この黄金盾でも守り切れぬとは! さすがメイだな!」


 これまで攻撃スキルで守りを抜かれたことのなかったアルトリッテは、驚きに思わず笑う。


「だが、飛ばされはしてもダメージはなし!」

「そういうことならっ! 【装備変更】からの【ソードバッシュ】だー!」

「衝撃波だけなら受けられるはずだっ! 【セイントシールド】!」


 今度はしっかりと、駆け抜けてくる衝撃波だけを受け止めにいくアルトリッテ。しかし。


「――――エクスプロード!」

「ぬはーっ!」


 衝撃波の後を追うように燃え上がる【狐火】

 アルトリッテは、青い炎の爆発に再び吹き飛ばされた。


「なんと器用な攻撃か!」

「まだまだいきますっ!」


 裏をかく攻撃に驚くアルトリッテを前にして、メイは剣を掲げる。


「大きくなーれ!」


 その言葉に応えるように【蒼樹の白剣】が伸長。


「からの【フルスイング】だーっ!」


 育ちゆく剣を使った、強烈な薙ぎ払い。

 あまりに変質的な技に、観戦者たちは言葉も出ない。


「【ペガサス】!」


 これを側方宙返りでかわしたアルトリッテを、返す刃で追うメイ。


「まだまだ【フルスイング】っ!」


 これも身を低くすることで回避する。


「からの…………【フルスイング】っ!」

「ぬ、ぬはーっ! ちょっとタイミングを遅らせるなーっ!」


 振ると思ったところで一旦停止。

【フルスイング】は『ため』て放つことが可能なため、連続攻撃の最後を遅らせることも可能だ。

 この時間差に思いっきり引っかかったアルトリッテは、【天馬靴】による決死の回避行動で直撃を防いだ。

 それでも、ダメージは2割ほど受けてしまう。


「そんなスキルもあるとは、本当に面白いな!」

「ありがとうございます!」

「ならばこちらも、剣の一撃にて返そうではないかっ!」


 笑うアルトリッテは宣言して、両手持ちした黄金の大剣を大きく振りかぶる。


「きたーっ! アルトリッテの大技だ!」


 聖剣から立ち昇る巨大な光の柱。

 その壮観なエフェクトに、観戦者たちが歓喜の声を上げる。


「いくぞおおおおーっ! 【エクスクルセイド】ォォォォーッ!!」


 キラキラと輝く黄金の輝きをまといながら、聖なる光の刃が迫りくる。


「【バンビステップ】!」


 駆け抜けていく荒々しい聖光。

 メイは速い動きで、見事に攻撃範囲外へと抜け出したが――。


「あっ!」


 ここで気づく。

 このスキルは聖なる光を叩きつけた後に、もう一度大きな爆発を起こすこともできるタイプの攻撃なのだと。


「わああああ――っ!」


 直撃。聖なる光が地面から突き上がり、メイを吹き飛ばす。

 その威力はすさまじく、HPを3割も減らしてみせた。


「さすがアルトリッテだ……」

「威力、範囲共に反則レベルだな」

「す、すごーい……!」


 マリーカに勝るとも劣らないド派手な光の演出と勢いに、メイも感嘆の息をもらす。


「むはははは! かっこいいだろう!」

「かっこいい!」


 メイの早い賛同に、うれしそうに胸を張るアルトリッテ。


「このエクスブレードとエクスカリバーの二刀流、もしくは武器を交換しながら戦うのが聖騎士アルトリッテの理想なのだ!」

「おおーっ! それはすごいかも!」

「むはははは! そうだろう?」


 広範囲かつ高威力。

 多人数でも少人数でも、圧倒的なパワーでねじ伏せる。

 そんな攻撃を怒涛の勢いで振るい、トップの座に就いたのが聖騎士アルトリッテだ。


「さあ次はメイの技を見せてくれ! まだ見せていないスキルもあるのだろう?」

「はいっ! それでは……」

「それでは?」

「少々お待ちください」


 そう言ってメイは付近に視線を走らせると、小走りで柱の陰に隠れる。


「何をしているのだ……?」


 戦闘中に、柱の陰に隠れて時間を取る。

 初めて見る光景に、不思議そうにするアルトリッテ。

 観戦者たちも「なんだなんだ?」と、興味深そうにメイの背を見つめる。

 そして当のメイは、人目からしっかり隠れる位置を取った後。


「【蓄食】」


 そっと【筋力】上げのバナナを取り出した。

誤字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

今回はご感想欄にて!


お読みいただきありがとうございました。

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] バナナ10個食べて柱を振り回したらキングコングスタイル完成やな
[一言] あっ(察し) こ、この試合ははやくも終了ですね……(震え声)
[良い点] 盾で耐えたの凄い! [気になる点] だから筋力ドーピングx10! [一言] つまり10倍吹き飛ぶ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ