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213.大サソリvs獣人軍団

 新ピラミッドの呪いによって、獣人姿になってしまったメイたち。

 アルトリッテたちと共にたどり着いたのは、なんてことのない普通の大部屋。しかし。


「今度はまた少し雰囲気の違うサソリがいますね」


 青銅のような鈍い青みを帯びた大型のサソリは、ツバメに向けて一直線。


「【加速】」


 叩きつけにきた硬質な尾を横への高速移動で回避する。


「【リブースト】!」


 続く振り回しも【リブースト】で連続回避。


「良い動きだな! 【ペガサス】!」


 大きな振り回しを、アルトリッテも【天馬靴】による滑るような動きでかわす。

 すると青銅サソリは、さらに力強く一回転。


「尻尾が」

「伸びただと!?」


 思わず叫ぶツバメとアルトリッテ。

 凶悪な針の付いた尾で、直接レンとマリーカの後衛組を狙いに行く。


「ッ!!」


 とっさに横っ飛びで回避するレン。

 マリーカも無表情のまま、その場にすっとかがんで難を逃れる。


「【連続魔法】【ファイアボルト】!」

「【霊鳥乱舞】」


 そしてすぐに魔法による反撃を開始。

 大サソリが炎弾をかわしたところに、時間差で追ってきた光の鳥が炸裂した。


「……良き」


 見事なコンビネーションとなったレンとの攻撃に、つぶやくマリーカ。

 しかしその硬そうな体表は、魔法防御高め。

 ダメージは芳しくない。


「プレイヤー側が魔法主軸になることが分かってるからこそ、付けられた性能って感じね」


 武器が持てないという呪いの仕様。

 そうなれば当然それ以外での攻撃がメインになるが、魔法には耐性あり。

 そんないやらしい性能の青銅サソリは、ここで狙いをアルトリッテに。


「アルトちゃん!」

「むはは! この程度問題ないっ! 【セイントシールド】!」


 攻撃を金の中盾で防ごうとするが、獣人状態では持つことができない。


「ぬはーっ!」

「アルトちゃーん!」


 サソリの突撃に弾き飛ばされるアルトリッテ。


「【加速】【リブースト】【紫電】」


 フォローするようにV字の移動を使い、大サソリの脇に入り込んだツバメが放つ雷光。

 追撃にくる大サソリを引き止めたところで、メイが飛び込んでくる。


「【装備変更】」


 メイはここで頭装備を【狐耳】に変更。


「いくよー! 燃える【キャットパンチ】だー!」


 早く軽い連打が売りのキャットパンチ。

 しかしまとう青い炎によって、その勢いは上昇。


「パンチパンチパンチパンチパンチだー!」


 尾による連続突きをかわしつつ、しっかりと青銅サソリのHPを3割ほど削ってみせる。


「どっちも本来弱い技だろうに、とんでもないな」

「いえいえー」

「やはりその正体は……野生の――」

「普通の女の子ですっ! 【キャットパンチ】!」


 普通といった次の瞬間、犬の獣人が放つ猫パンチ。

 ついにサソリの方が、後方への跳躍でメイの前から退避する。


「ならば私も続くぞ! 【ペガサス】! 【ハードコンタクト】!」


 アルトリッテは衝撃波をまとったタックルで、青銅サソリを大きく弾き飛ばす。


「こんなスキル使ったのは何年ぶりだろうな!!」


 自分で使って驚くアルトリッテ。


「【霊鳥乱舞】」


 サソリが転がったところに、一斉に飛んでくる光の鳥たち。

 直撃し、わずかずつ確かにHPを削る。


「【フレアストライク】!」


 最後は炎の砲弾が直撃し、二人で2割ほど削り取った。

 炎砲弾の爆発によって吹き飛ばされた青銅サソリは、起き上がると同時に尾を地面に突き刺した。

 すると、アルトリッテの足元から針が突き上がってくる。


「ッ!!」


 これを後方への跳躍でかわす。

 それを見たサソリは、そのままアルトリッテ目がけて突進していく。


「今度こそ! 【ホーリーライト】だ!」


 これに真正面からぶつかりにいくアルトリッテ。

 手を掲げると、足元から聖なる光の柱が突き上がり青銅サソリを焼く。


「勝負をつける! 【ペガサス】!」


 地表を滑るような軌道での高速移動。

 慌てて聖なる光から逃げ出したサソリ目がけて、一気に距離を詰める。


「ゆくぞ! 聖騎士の一撃で終わらせるっ! ……あっ」


 アルトリッテ、ここでも『武器が使えない』ことを忘れて先走る。

 だが、今さら止まるわけにもいかない。

 すでに全員の視線が自分に集まっている状況なのも、当然気づいている。


「せ、聖騎士パンチだー!」


 出したのは、やぶれかぶれの一撃。

 それでも残りHPが数ドット状態だった青銅サソリは、無事アルトリッテの拳に倒れた。


「な、なかなかの難敵だったな!」

「……武器なしはつらい」


 打倒できたことに安堵の息をつくアルトリッテを見ながら、つぶやくマリーカ。

 三人の前衛がいるものの、メイのキャットパンチがなければ前衛の攻撃は威力が低く、敵は魔法防御が高い。

 ちょっとした中ボスも一苦労だ。


「でも、意外とコンビネーション取れてますね」


 しかしそれはそれとして即席獣人チームの意外としっかりとした戦いに、ツバメは楽しそうにほほ笑むのだった。

誤字脱字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

動物化とうっかりでほほ笑ましいアルトリッテでございます!

猫又化も面白いですねぇ。現国王が非モフ派だとしたら……アサシン教団に付きます!


お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] サソリの尻尾に見える部分って実は[お腹]なんだよなぁ……紛らわしい じゃあ本当の尻尾はどこかって? 毒針が付いた一つの節だけです
[一言] で……ボス撃破と同時に戦闘シーンが街などに配信され獣姿が晒されてしまう訳だね 因みにレンちゃんの黒猫姿は魔女帽に腰までの短マントに片眼鏡が合いそうだね(厨二的になりそうだけど)
[一言] アルトリッテちゃんはかわいいなぁwww
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