1482.異世界スライムとの戦い
「動き出したっ!」
ハウジング素材を盗むスライムたちは全て、一匹の生みだした分身体だった。
その全てを濃密に凝縮した透明のスライムが、攻撃に入る。
「きゃあっ!?」
速い接近から放つ【猛烈弾丸】は、まさに目にも留まらぬ速度。
防御が間に合わないほどの勢いで突撃して、シオールを跳ね飛ばした。
着地した凝縮スライムは、すぐさま狙いをメイに換えて接近。
猛烈な速度で一直線に飛んでくると――。
「あれっ!?」
「なっ!?」
なぜかレシーブの姿勢を取ったメイから、大きく軌道をスライド。
【爆裂スライダー】がメイの隣にいたツバメに激突し、そのまま弾いて転がした。
そして再び突き進んだ凝縮スライムは、その狙いをハウジング勢につけた。
砲弾のように、勢いよく飛び出して攻撃に入る。
「【かばう】【地壁の盾】!」
そこに割って入ったまもりが、すぐさま防御態勢に入る。
さらにレンが【魔力剣】を構え、左へスライドした時への対応を準備する。
「うおおおおっ!?」
「「っ!?」」
しかし【爆裂カッター】は右にスライドし、そのままハウジング勢の一人を弾き飛ばした。
「逆にも曲がってくるの!?」
「この移動の速さで、しかも軌道が読めねえのか……っ!」
「ここだ! 【グラビトン・ハンマー】!」
そんな中で、戦闘にも立てる鍛冶師が大きなハンマーを叩きつける。
だが打ったのは、すでにスライムが通り過ぎた後の地面。
「まだまだっ! 【ヘパイストスの炎】!」
さらに掲示板組の鍛冶師も、近距離に灼熱の炎を噴き出すスキルで続く。
「っ!?」
しかし炎を放つ鍛冶士の、股の間を抜けての回避。
スライムはハウジング勢と、掲示板組の攻撃を自慢の速度で避けまくって高速跳躍。
放つ【跳弾アタック】は、付近のプレイヤーの間をピンボールのように跳ね返り、複数人に連続攻撃を叩き込む一撃だ。
「「「「うわああああ――――っ!!」」」」
見事に四人の間で跳ねて全員にダメージ与え、転倒に追い込む。
「でも……!」
高速で駆けるスライムは、次々に狙いを変えて爆走。
「範囲魔法なら避けようがないでしょう! 【フレアバースト】発動っ!」
レンは二面張りしておいた【設置魔法】の上に、凝縮スライムが飛び込んできた瞬間に魔法を発動。
爆炎が一気に、地面から噴き上がった。
「やったか!?」
うっかりフラグを立てる掲示板組。
「まだだよっ!」
なんとスライムは【大跳躍】で天高く跳び上がり、爆炎の攻撃範囲を抜け出していた。
「【加速】【リブースト】!」
「【加速】【急加速】!」
追いかけるのはツバメと、よく似たドールのスワロー。
いかに速いスライムと言えど、やはり大きな跳躍後の硬直からは逃れられない。
「【稲妻】! 【反転】【電光石火】!」
刀から短剣に持ち替えつつ、行って戻る連携で時間を稼ぐ。
「スワローちゃん! 【アサシンダンス】!」
わずかに遅れてきたドールの回転攻撃が炸裂。
見事な連携によって、高速スライムにダメージを与えることに成功した。
「【誘導弾】【連続魔法】【フレアアロー】!」
「追いかけろ! 【サンダーバード】!」
「【隼狩りの矢】!」
さらに遠距離スキルによる追撃が決まり、ダメージを加算。
そこで、異変に気づく。
「なんだか、大きくなっているようですな……」
「確かに、先ほどより三倍近く大きくなっています」
もともとは横幅40センチ、高さ25センチほどだった凝縮スライム。
弾かれるようにして転がった後は、その姿を家庭用デスク並みの大きさに変わっていた。
わずかな困惑の中、様子を見守る街づくりチーム。
すると凝縮スライムは、攻撃方法を変えてきた。
猛烈な煙を上げる、高速回転で突進。
複数人のハウジング勢がいる方に向かって一直線。
「「「うおおおお――っ!!」」」
【ひき逃げストライク】は一人ずつではなく、ハウジング勢をまとめて弾き飛ばす。
「きゃっ!」
これに後方組だったレンも、巻き込まれて転倒。
「完全にひき逃げね……っ!」
濃縮スライムはまさに暴走車のように、止まらずツバメとスワローのもとに一直線。
二人は回避のタイミングを計るため、しっかりと引き付けたところで――。
「「っ!?」」
【スライム砲弾】によって、突然の飛来。
「ですがこの程度なら!」
「回避は可能ですな!」
急な攻撃方法の変化に、それでも腰を落として回避のタイミングを見計らう二人。
「なっ!?」
しかし突然凝縮スライムの砲弾が、栗の外皮のような棘をまとった形に変化。
「これは、予想外ですなあっ!!」
防御をするのが精いっぱい。
盾を持たない通常防御では、ダメージのカット率は低めとなる攻撃。
高いダメージと共に、二人は大きく体勢を崩された。
「ですが……っ!」
ともすれば大人数に高いダメージをまとめて与えられる変形は、硬直も長い。
「スワローちゃん、道を空けるのですな!」
ツバメの動きにスワローも同調するよう、なーにゃが慌てて指示を出す。
二人は『攻撃の通り道』を開けるように、わざと横に倒れ込んだ。
「そういうことっ! 二人ともよく気づいたねっ!」
こちらは『トップ』に数えられるプレイヤーを、複数抱えたチーム。
常に一手先を考えて、動いている者がいる。
大きくなった上に動きを止めた状態は、これまでに比べて圧倒的に攻撃が当てやすい。
「おっきくなったおかげで狙いやすいよっ! 【サンダーウィップ・スプレッド】!」
振り降ろしたムチが雷を帯び、豪快な雷光が凝縮スライムの身体を打ち付ける。
「まもりちゃん!」
「は、はひっ!」
普段から強敵と戦う者たちの連携は、ここで終わらない。
アイコンタクトを送ったメイが、走り出した。
「【装備変更】【蛮族流】【フルスイング】!」
メイはまず、左手の剣を振り下ろして一発。
地面にぶつかり跳ね上がった凝縮スライムが落ちてきたところに、右手の【ダイナボーン】を振り抜いていく。
「続けて【ダイナブラスト】だああああ――――っ!!」
激しいエフェクト共に、スライムが冗談のようにひしゃげて吹き飛んだ。
豪速で向かう先は、まもりの盾だ。
「【不動】【光竜爪の盾】!」
構えた盾から突き出す光の刃が、スライムに突き刺さる。さらに。
「【シールドバッシュ】!」
ここで、先回の連携が活きる。
合図は笑顔一つで完成。
まもりの起こした衝撃波によって飛ばされた先にいるのは、腰を落として待つシオールだ。
「【ゴッドハンド】【爆炎正拳突き】! 右ぃぃぃぃ!!」
深く深く突き刺さる右の拳から、巻き起こる爆炎。
「【爆炎正拳突き】! 左ぃぃぃぃ!!」
そこに繰り出された二発目の拳が生み出す爆発が、凝縮スライムを吹き飛ばした。
派手に地面を転がり、街の外に転がり出ると、水たまりのように広がったスライム。
見事な連携を決めた四人は、笑顔で合図を送り合う。そして。
「……あら?」
「こ、これは……」
「ええええええ――っ!? すごーい!!」
同時に驚きの声をあげた。
メイたちの攻撃を一身に受けた濃縮スライムは、さらに巨大化。
なんとメイたちの通う学校の、体育館ほどの大きさになっていた。
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