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1468.守れ重鎮石!

「石材を守るのですな! スワローちゃん!」


 指示を出すのは、錬金術師なーにゃ。

 するとツバメを模して作られたドールである、スワローが先行する。

 敵は巨大な棍棒を振り回す、翼を持った二足の魔物ドラグニア。

 悪魔のような体型に竜の顔と尾を持つ、異世界に生きる魔物だ。

 3メートル近い体高を持つこの敵は、レンたちの予想通り石材置き場に目を付けた。


「回避ですなっ!」


 ドラグニアは大きな棍棒を軽々と、盛大に振り払う。

 スワローが【大回転】をしゃがんでかわすと、すぐさま【逆回転】による連続攻撃を放つ。


「【宙返り】ですな!」


 今度は戻りの一撃を、飛び越えることでかわす。

 強風が吹くほどの威力に、思わず身体をフラつかせるスワロー。

 そこに続くのは【棍棒叩きつけ】だ。


「っ!!」

「【クイック・サイドステップ】!」


 棍棒が地面に深く潜り込み、生まれた大きなヒビから土塊が弾け散るほどのパワーを持った一撃。

 なーにゃのドールは、スレスレで回避に成功。


「シンプルな火力バカだねっ」

「その分、パワーが圧倒的ですな……!」


 ローチェの苦笑いに、なーにゃが安堵の息で応える。


「ですが! 【加速】!」


 それでも、もちろん視線は切っていない。

 大技の直後に生まれる隙を突き、急いでスワローを走らせる。

 ドラグニアは長い尾をわずかに動かすと、【尾撃】の体勢に入った。


「今ですな! 【急加速】【宙返り】!」


 ここで敵の攻撃の間を狂わす緩急。

 ツバメの【リブースト】を真似た動きで一気に距離を詰め、空中へ。


「【二連空閃】!」


 剣閃まばゆい二連撃を叩き込みながら、敵の後方に着地する。


「【アサシンダンス】!」


 ツバメを思わせる高速回避から、敵を翻弄する攻撃。

 短剣による三連の斬撃を叩き込んだところで、わずかに距離を取っていたシオールが飛び込んでいく。


「続くよ! 【打撃強化】【振り降ろし】!」


 腕力系スキルの次撃威力を向上させる補助スキルをかけ、そこから基礎スキルの一つであるシンプルな叩きつけへとつなぐ。

 豪快なメイスの振り降ろしが決まり、大きなエフェクトが炸裂しても、基礎スキルゆえにほぼ五分の状況。


「【聖刃乱舞】!」


 そんな状況で先手を打つなら、飛び道具に限る。

 手にしたメイスが輝きを灯し、放たれる7連の光輪の刃が次々にドラグニアを斬り裂いた。


「最後はローチェちゃんの出番だねっ!」


 大きく体勢を崩した敵に対し、やや離れた位置からあざといポーズで攻撃モーションに入るのはローチェ。


「【双死竜】ちゃん! やっちゃって!」


 その呼び声に答えて敵の背後から現れたのは、二頭の骸骨竜。

 四足歩行型の骨竜は猛然と飛び掛かり、喰らい付き、尾の振り回しを叩き込む。


「さあさ悪い子には、お仕置きのムチが飛んじゃうぞーっ! 【サンダーウィップ・スプレッド】!」


 続くローチェの攻撃。

 振り降ろしたムチが盛大な雷を帯び、激しい雷光と雷鳴を響かせながら打ちつけられる。

 直後、豪快な閃光が辺りを駆け抜けていった。


「ローチェちゃん、かんっぺき!」


 作ったピースを横向きにして決め。

 三人は見事な連携で、石材を狙ってやって来た魔物ドラグニアを打倒した。

 敵はその場に腕を突いたまま、粒子の広がりと共に身体が崩れ去っていく。


「さすがトップだ……」

「あんな腕力自慢を、普通に倒したな」


 見ごたえのある戦闘に、感嘆するハウジング勢。


「ダメダメっ。そんなんじゃローチェちゃんは止められないぞっ」


 褒められたローチェが、サービスとばかりにポーズを決める。

 その瞬間だった。


「お、おいッ!!」


 ハウジング勢が叫んだ。

 腕を突いたまま、ボロボロと崩れ去っていたドラグニア。

 身体の半分を骨格のようにしたゾンビ状態で、突然開いた口から【怪光線】を放った。


「「「っ!!」」」


 異世界の魔物の『死んだふり』戦略がハマり、巻き起こる爆発が三人を吹き飛ばした。

 思わぬ大ダメージに、慌てて立ち上がるシオール達。


「回避ですなっ!」


 なーにゃはすぐさまスワローを先頭に出し、敵の視線を奪いつつ回避を指示。


「【クイック・サイドステップ】!」


【連続怪光線弾】を、風にあおられながらどうにか回避。


「【宙返り】ですな!」


 続く【振り払い怪光線】を、綺麗なバク宙で避けさせた。

 そこに放たれるのは、シンプルな【怪光線】


「もう一回【宙返り】ですな!」


 これも直撃をかわすが、地面にぶつかり巻き起こる盛大な爆発も十二分に高火力。


「スワローちゃんっ! ぬあああっ!」


 なーにゃとスワローが再び高いダメージを受け、弾き飛ばされたことによって生まれた距離。

 不死ドラグニアは咆哮と共に、狙いをローチェに決めて進行。


「そうはさせないよっ! 【ファイアウィップ】! 【エクスプロード】!」


 炎を宿したムチを叩き込み、さらに爆発を巻き起こす。


「【ファイアウィップ・ストーム】!」


 さらに高速の乱舞が描く炎の軌跡は、隙間をうかがうことすら許さない。


「なんで止まらないのよーっ!?」


 しかし敵は止まらない。

 見ればその身体には魔力の輝き。

【アンデッドアーマー】を発動した不死ドラグニアは、アーマー状態で突進。


「うそ……」


 そのままローチェの前にたどり着くと、手にした棍棒を全力で叩きつける。

【豪腕叩きつけ】は容赦なく、地面を割った。


「きゃああああ――――っ!!」


 どうにか防御こそ成立させたが、ローチェは圧倒的な火力に弾かれ地を跳ね転がる。


「これ以上はダメッ! 【聖刃】っ!」


 ローチェへの追撃を止めるため、飛び出したシオール。

 掲げたメイスから広がる3本の光輪を叩き込み、その狙いを自分に向かせる。

 これによってターゲットを奪うが、攻撃は砂煙を上げる尾の払い。


「っ!」


 どうにか垂直ジャンプでかわすことに成功したが、着地したばかりのシオール。

 不死ドラグニアが選んだ攻撃は【怪光線】

 最悪の事態にハウジング勢が頭を抱える中、なーにゃとローチェだけが構えを取る。


「でもその攻撃……!」

「シオールちゃんならっ!」


 まばゆい光線が、真っすぐにシオールに向けて飛ぶ。


「――――【聖転鏡】!」


 発動したのは、無形攻撃をそのまま跳ね返すバリアスキル。

 見事なタイミングで張られた聖なる輝きが、【怪光線】を跳ね返す。

 反射し、直撃し、巻き起こる爆発が不死ドラグニアの体勢を大きく崩した。


「――――おいで、【死魂霊弾】」


 現れた巨大な霊魂には、無数の悪鬼魍魎の顔。

 怨嗟の声をあげながら迫る死霊の球が、たくさんの霊魂に分離し特攻すると、不死ドラグニアは全身がありえない方に曲がって大ダメージ。


「【ホムンクルス】コピー生成!」


 なーにゃはローチェの新スキルが炸裂するのと同時に、スワローのコピー体を生成。


「スワローちゃんズ! ゴーですな!」


 二体のスワローを同時に駆けさせる。

 左右を入れ替わるように速い疾走を見せたスワーロたちは、その手に魔法石の剣を取り出す。


「【氷刃刺槍】ですな!」


 伸びる長い氷槍が二本、クロスする形で不死ドラグニアを貫いた。

 それはツバメの【水月】を模した攻撃。

 こうしてなーにゃの新スキルまで決まったところで、ローチェと共に振り返る。


「シオールちゃん!」

「出番ですな!」

「【セットチェンジ】!」


 シオールは装備品一つ一つの変更はできないが、セットとして登録しておいた装備にまとめて交換できるスキルを発動。


「――――全部、ぶっ潰しちゃうからね!」


 ボロボロに破れた血まみれの黒胴着を腰に巻いた、鬼のような武闘家に姿を変える。


「【悪鬼羅刹】!」


 そして【知力】を全て捨てて【腕力】に振る、変わり種を発動。


「【爆震脚】!」


 地面を爆発させる勢いで踏みつけ、円形に広がる衝撃波と共に跳びかかる移動スキルで、爆風を起こしながら跳び込んでいく。


「【アトミックメイス】!」


 放たれる、シオールの新スキル。

 とにかく全ての力を乗せて振り下ろす『力任せ系』の最大級を地でいくこのスキルは、使用後の隙もすごく大きいが、岩山すら打ち砕く一撃必殺だ。

 メイスは不死ドラグニアに深く深くめり込んだ後、そのまま骨格を砕いて吹き飛ばす。

 ド派手に地面を跳ね転がった敵は、残りHP1ドット。


「あっ!」


 だがここは異世界。

 なんとここで、不死ドラグニアは翼を広げてそのまま空へ。

 詰めが甘くなると、逃げるという選択肢を取るようだ。


「ちょっと待ちなさいよーっ! 経験値すら落とさず逃げるとかありえないんだけどーっ!」


 頬をふくらませて怒るローチェ。

 しかしこの三人に、離れた空中の敵に効果的なスキルはない。

 なーにゃが残念そうに、ため息をついたその瞬間。


「【魔砲術】【誘導弾】【フレアバースト】!」


 その手に遠距離魔法の攻撃力を上げる【ワンド・オブ・ブラックシャーマン】を持ったレンが、爆炎を発射。

 通常ではありえない距離を飛んでいった一撃は、見事に直撃して異世界の空を花火で彩る。

 こうして崩壊して散った不死ドラグニアは、無事打倒されることになったのだった。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
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三人の二度の連携が華麗に決まったけど決めきれてなくて、どこぞの使徒長さんがいいとこ持ってったw
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