1465.資材を持ち帰ります!
無事に二身一体の黒猿を打倒し、帰途に就いたメイたち。
やはり変わり種の敵が多い異世界。
帰り道は辺りの敵に、よく注意しながら馬車を走らせる。
【重鎮石】と『未知の石』をたくさん積んだ荷車は狭く、ツバメは馬に乗るメイの後ろに腰を下ろしている状態だ。
「本当に大変ねぇ……この世界は」
パラス・アテネの様子を見ながら言うレンは、それでも楽しそう。
「く、癖のある敵や自然というのは、新鮮ですね」
まもりも荷車に腰かけたまま笑う。
そのまま四人がサツキタウンに戻ってくると、さっそくマーちゃんが駆け寄って来る。
「おかえりなさーい!」
「ただいま戻りましたーっ!」
帰りを待っていたハウジング部隊の一部も含め、チームはそこそこの人数になっていた。
「これで足りなかった分の【重鎮石】がそろいましたね!」
荷車に積まれた石の山を見て、うれしそうにするマーちゃん。
「これは……?」
一緒に盛られた別種の石に、首を傾げる。
「同じ銀の湖を叩いて出てきたものなんだけど、メイが力いっぱい叩いたらこれになったの」
「そうなんですか、初めて見ます」
「メイが叩くと出てくるけど、ツバメだと出なかったから、【腕力】からなる攻撃力が一定以上必要なんだと思うわ」
「分かりました、さっそく調べてみることにします!」
どうやら、まだ未発見だった法則を見つけてしまったようだ。
「この石も、使えそうなら使っていきましょう!」
マーちゃんはさっそく新たな石材をより分けて、ハウジング勢の一部に鑑定を任せる。
「これで資材自体はそろった形ですね。メイさんたちのおかげで、異例の速度で再回収できました」
「やっぱメイちゃんたちがいると違うな! かつてない早さだ!」
うれしそうにするハウジング勢。
やはり異世界の厳しい情勢には、皆苦しんでいたようだ。
「私たちは先にメインとなる【重鎮石】を建築現場に運び、【不腐鉄】でコーティングした資材の到着を待ちましょう」
さっそく控えていた、十台ほどの荷車がやって来る。
これで必要な分の【重鎮石】は、すべてそろった形だ。
「それでは、行きましょう」
「いきましょうー!」
崩壊した橋目指して、荷車部隊は進んでいく。
なかなか見られない光景に、思わずワクワクしてしまうメイ。
「こんな挑戦、初めてだね!」
「……皆で橋を作る。確かにドキドキしますね」
またもメイの背中に抱き着く形で乗馬しているツバメは、ドキドキしながらうなずく。
やがてたどり着いた、急流の谷。
大きな岩の裏手に荷車を並べると、積んでいた石材を降ろしていく。
メイの速い作業で、こちらも早々に完了。
「少し遅れて【不腐鉄】によってコーティングされた鉄材も届くでしょう。集まったところで、四度目の挑戦といきましょう!」
「「「「おうっ!」」」」
石材の準備は無事完了。
あとはサツキタウンを一歩出たところにある池で行われている【不腐鉄】の作業が終わり、鉄材が持ち込まれれば、いよいよ建築開始だ。
「……遅いですね」
しかし、なかなかその姿が見られない。
「【不腐鉄】によるコーティングが終わったら持ってくる手はずになっているのですが……何かあったのかもしれません。裏の池はギリギリ魔物の行動範囲内ではあるので……」
「ちょっと見に行ってみる?」
「そうですね」
「――――それでは。おいでくださいませ、狼さんっ!」
メイは白狼を召喚すると、マーちゃんを含めた五人で乗り込み、サツキタウンへと引き返す。
街の北部にある世界樹。
そこから西へわずかに進んだところにある池で、【不腐鉄】によるコーティング作業が行われている。
担当チームが魔物に襲われている可能性もあるため、急ぎたいところだ。
しかしサツキタウンに踏み込んで少ししたところで、マーちゃんが顔を上げた。
「……あれは!」
見ればその視線の先には、空を飛ぶ一体の竜型モンスター。
「あの方向、さっき【重鎮石】を運んだ先です……!」
不運にも『行動範囲が自由』なタイプの魔物が、建築用の資材置き場に向かっていることに気づく。さらに。
「マーちゃんさん……!」
そこにやって来たのは、一人のハウジング勢。
「どうしたんですか!?」
「池の近くをずっと魔物がうろついてて、搬送ができずにいるんです。このままだと危ないかもしれません……っ!」
なんと【重鎮石】にも【不腐鉄】にも、魔物の影がチラつくという最悪の事態に見舞われてしまった。
「すでに【重鎮石】は運搬済みで、ハウジング勢も集まってる。そこを狙われると厳しいわね」
「ですが【不腐鉄】の方も、いつ襲われてもおかしくない……」
悩むレンとツバメ。
異世界の敵は何かとやっかいだ。
できればパーティで動きたいが、背に腹は代えられない。
二手に分かれる選択を、提案しようとしたその瞬間だった。
「あれ、あそこにいるのって……」
メイがサツキタウンを進む、一つのパーティに気づいた。
「シオールさんたちじゃないかな?」
やや白地の多いシスター服をまとった知的な雰囲気の女性は、メガネがよく似合う長い黒髪のプリースト。
素敵なお姉さんを地でいく、トッププレイヤーだ。
そこにはドール使いの錬金術師なーにゃと、ムチを使う死霊術師のローチェも一緒だ。
「……頼んでみましょうか」
「ど、どちらかの救援に行ってもらうということですか?」
まもりの問いに、うなずくレン。
するとメイがさっそく、大きく手を振り始める。
「シオールさーん!」
「……メイちゃん!?」
シオールたちも、メイを見つけてこちらに駆け寄って来た。
「実は今、急流に橋を架けるために動いているんです! 少し手を貸してもらえないでしょうかっ!」
そんなメイの言葉に、変わらぬ素敵な笑顔で応えるシオール。
「もちろん構いませんよ」
「シオールはちょうど仕事明けで、ストレス発散に来てるからちょうどいいんじゃない?」
イタズラな笑みを浮かべるのはローチェ。
長く淡い白金の髪を水色レースのリボンでとめ、紺色の【魔法学院の制服】の裾を短く改造、目立つくらいに太ももを出したお姉さんだ。
「私も一向に構わないのですな」
そう言いながら、ここぞとばかりに大好物のツバメを凝視するなーにゃ。
背は小さく、子供と間違われそうな外見をした長い桃髪の少女は、金の紋様が入った黒マント姿。
「橋の建築予定地にはハウジング勢が待っていて、そこに魔物が向かったみたいなの。だから様子を見に行ってもらいたいんだけど……」
レンが言うと、なーにゃはこくりとうなずいた。
こうして二つのトップチームが、分かれて動き出すことになった。
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