1440.最深部へ
「進め進め! 早くしないと、崩落と溶岩に巻き込まれるぞ!」
「急ぐぽよ―っ!」
クイーンの部屋から続く道を、大急ぎで駆け降りていくメイたち。
「迷子ちゃん……お前のことは忘れないっ!」
「あいつの分も、俺たちがやるんだ!」
「悔しいよな、離脱時の決めゼリフ考えてただろうに……っ!」
まさかというほどではないが、迷子の離脱に受ける衝撃。
掲示板組は決めゼリフを言えなかったことの方に、共感しながら駆ける。
予想はされたことだが、やはり離脱者が出ると緊張感は自然と高まっていく。
「もういつ即死になっても、おかしくないわね」
崩れ落ちる岩石や降り注ぐ溶岩は、直撃で即死もあり得るギミックだ。
「【かばう】! 【不動】【地壁の盾】!」
身体が勝手に反応した。
掲示板組の中間部隊を押し潰しにきたのは、真上から落ちてきた大きな岩塊。
とっさの防御は見事に岩を受け止めるが、問題はこの直後。
そのまま岩が落ちることが変わらない以上、それは一瞬の時間稼ぎに過ぎない。
「メイさん! 【可変】ぽよっ!」
「りょうかいですっ! 【ゴリラアーム】!」
しかし高速で駆けてきたメイが、一度受け止めた岩が再びまもりたちに圧し掛かる前に、棒状になったスライムをつかんで特攻。
破城槌による城門突破を思わせる突き出しで、岩塊を砕いてみせた。
「助かったーっ!」
「メイちゃんありがとう!」
「スライムちゃんも、凄い連携だな!」
見事な一撃で、岩塊を破壊してみせたメイたち。
しかしまもりが位置を変えたことで、ツバメとレンの目前に降り注いだ溶岩への対応が遅れる。
「【白氷花】!」
放たれたのは、つぼみを思わせる氷砲弾。
炸裂した瞬間に白刃の花びらを展開させ、花のように広がったところに即座にレンも続く。
「【フリーズストライク】!」
ぶつかり合い、広がる無数の氷片。
「【投擲】!」
さらにツバメが【風ブレード】を投じれば、一瞬だけ溶岩の速度が緩やかになる。
その隙を突き、駆け抜けるレンとツバメ。
「ありがとうございます!」
「いい連携になったわね! 助かったわ!」
「……当然のことをしたまで」
ツバメとレンの言葉に、にやけを必死に抑える樹氷の魔女。
「っ!」
ここで先行して道を作る前衛組と、少し遅れて続く後衛組の間に落ちてきた岩石が、道を塞ぐ形になった。
「僕が行きましょう……っ!」
前に出たのは、爆発系スキルが多いために使用を控えていた計算君。
「【フレイムマイン】!」
いくつもの地雷型アイテムを投じて、一気に爆発を巻き起こす。
「走れ!」
そして一気に、後衛組が疾走。
直後、さっきまでいた場所に大量の溶岩が降り注いだ。
数秒遅れていたら、多くの犠牲者が生まれていただろう。
「……マウント氏を助けたことあるけど、質問ありますか?」
「計算君、なんで一思いにやらなかったの?」
「こら! なんてことを言うんだ!」
結果としてマウント氏が助かったことを、掲示板組はネタにしながら全力疾走。
「この先、穴になってるよーっ!」
「飛び込みましょう!」
「了解ぽよっ!」
「「「そらああああ―――っ!」」」
最前にいるメイたちが飛び込んだ穴に、全員で続く。
この選択が間違いなら、全員まとめて即死も考えられる事態だ。
「うわわわわわーっ!」
急な角度の穴は、狭くて長い。
メイたちはゴロゴロと転がり続けて、そのまま落下。
慌てて上方を見上げるが、溶岩が落ちてくる様子はなさそうだ。
「……それにしても、真っ暗ですね」
どうにか駆け抜けた先にあったのは、またも暗闇に包まれた空間。
「松明、つけるぞ」
ここでもメイたちが両手を使える状態にするため、掲示板組の後衛が率先して松明を付ける。
「これは……っ!」
そして、驚きの声をあげた。
わずかな炎も、数本続けて灯されると視界が開けていく。
「「「おおおおおお……っ」」」
そこにあったのは、またも街のように広がる特徴的な建物の並び。
岩だらけの地下世界に広がるまだ見ぬ文明に、思わず感嘆の声を上げる。
「ここは他の場所と違って、安定してるね」
メイは辺りを見回してみるが、今のところ崩落の気配や溶岩の姿は見えていない。
「ですが、怪しい気配です」
「モ、モグラたちの文明に似ているけど、どこか作りが物々しいです……っ」
「まずは、進んでみる?」
「おまかせくださいっ」
さっそく耳を澄まし、目を凝らして進むメイ。
後ろから武器を持ったツバメたちが続き、その後方の掲示板組が松明を掲げる。
石造りの建物に刻まれた紋様は、どこか良からぬ信仰を感じさせる。
「向こうから、何かが近づいてくるかも」
「一度火を落としても大丈夫?」
「大丈夫だよ。音が近づいてきたら合図するね」
火があればすぐに見つかってしまいそうだが、消せば視界はなくなる。
一気に多くの敵が押し寄せる可能性もある状況下。
ここでメイたちは、消灯を選択した。
冷や冷やする展開。
各自が武器を手に息をひそめていると、明らかに今、自分たちの横の通りを何かが通り過ぎていくのが分かる。
「十分、離れたと思う」
この暗闇の中に棲む何者かは、やはり目が悪いようだ。
距離が開いてしまうと、再び松明を頼りに闇の道を進むメイたちに気づけない。
この町の造りの良いところは、ド真ん中に作られた空間に向けて建物が造られているため、進むべき道が分かりやすいところだろう。
「「「っ!」」」
建物の影からのぞき込んだ、大きな謎の空間。
そこには儀式でも行っていそうな紋様入りの祭壇と、巨大な魔法石。
そしてひざまずく地底人らしき者たちの姿が、大量に並んでいた。
新作『メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚~』始まりました!
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