1436.一撃死に要注意!
「どんどん進むぽよーっ!」
跳ね飛びながら、火山を駆け降りていくメイ御一行。
「じゃまぽよっ!」
速い体当たりでアリの体勢を崩せば、そこにすぐさまツバメが続く。
「【稲妻】!」
すると斬り飛ばされたアリが、後続を巻き込んでもつれる。
この隙を突いたレンたち後衛組が魔法と矢でトドメを差すと、さらに洞窟を先へ。
メイの早い察知で敵の多い場所を避ければ、アリが集合してしまうことも防げるため、進攻はスムーズだ。
一団はさらに縦穴を飛び降り、地下深くへと潜り込んでいく。すると。
「キノコが生えていますね」
一つ数十センチから、1メートルを超えるようなキノコが壁や天井に見られるようになってきた。
「綺麗ですねぇ」
迷子ちゃんがつぶやく。
模様部分の素材が宝石のようになっているキノコは、光苔の輝きを反射して不思議と綺麗だ。
「アリが壁や天井を駆け回りにくくなって助かるけど、痺れ粉には注意して!」
レンが杖で叩くと、白い胞子がふわっと舞う。
「はいぽよっ!」
「了解っ!」
「あばばばば!」
「だから注意しろって」
状態異常は、アリが常にうろついているこの場では要注意。
自然と緊張感が走り出すが、変化は同時に『進んでいる』ことの証左でもある。
メイたちは自信を持って、キノコの道を突き進む。
「いきますっ!」
見えたのは長い道の先に見えた、複数のアリ。
メイの掛け声に合わせて、探索組全体が停止する。
それから三体のアリがこちらに寄ってきたところで、メイが一歩前に出た。
キノコによって壁や天井を進むことができないため、接敵は正面からとなった。
「がおおおおおお――――っ!!」
【雄叫び】が敵をまとめて硬直させると、そこに迫るのは迷子。
「【ジェット・ナックル】!」
まずは一体、吹き飛ばして片付ける。
「【オクタブレード】!」
続いてマウント氏の連続斬りが、アリを斬り飛ばす。
「問題ないですよ、僕の計算では崩落しない確率が――――60%」
「いきますっ! 【エクスプロード・ランス】!」
最後はまもりの巻き起こした爆破が敵を吹き飛ばし、同時に崩落が起きないか全員で辺りを見回す。
「い、勢いのままに攻撃しましたが、60%って結構危険でしたね」
思わず安堵の息をつくまもり。
だが、ここに幸運。
迷子ちゃんとまもりが敵を吹き飛ばしたアリがキノコとぶつかり、舞った胞子が別の個体を麻痺に追い込んでいた。
「一気に進みましょう!」
動けずにいる個体は無視して、メイたちはさらに洞窟の深部へと突き進む。
「来たっ!」
穴を降り、着いた広めのホールに道は一つ。
そしてキノコがまだ残っている。
そこに待っていたのは、新手のアリ。しかし。
「なんだあいつ……?」
どうも様子が違う。
慌ただしい、明らかに狂った挙動でこちらに特攻してくる。さらに。
「甲殻が、妙な光沢を……! 【フリーズストライク】!」
放つ魔法は、その甲殻に弾かれた。
「ダメだ! 矢も効かない!」
怒り狂っているかのような凄まじい勢いで迫り来るアリに、前衛組も覚える嫌な予感。
探索組が左右に割れてもアリは誰かを追うことなく、全員がその異様な突撃を見送る。
するとそのまま、アリは壁に激突した。
その硬質なハサミが岩壁にぶつかり、走るヒビ。
「ちょっと待ってください……」
ツバメが息を飲む。
走るヒビは天井に向かい、ボロボロと崩落を見せ始める。
その規模は大きくはないが、そこに見えるのは目を奪うほどの赤熱。
「溶岩だよこれーっ!」
メイの声に、全員の意識が切り替わる。
噴き出し始めた溶岩はそのまま突撃アリを飲み込み、一瞬で粒子に変えた。
これはプレイヤーが飲み込まれても、当然即死の危機となる。
「規模はそこまで大きくないってことは、本格的な噴火の前の溶岩チュートリアルか!?」
「とにかく先に進みましょう!」
「うおおっ!?」
「ちょっと待て! 飛び跳ねた溶岩を受けただけで、4割近いダメージになったぞ!」
「止まるな! 直で受けたら終わりだぞ!」
溶岩噴出の範囲は、このホール内で止まってくれそうだ。
全員で走り出し、危険区域からの脱出を試みるが――。
「っ!」
一人の魔導士が転んで遅れた。
その天井からは、重たい溶岩がずるりと落ちてくる。
「【縮地】!」
そこに駆けつけたのは、掲示板組の武闘家。
すぐに魔導士の手を強く引き、そのまま後方に投げ出した。
だが武闘家が体勢を返し、駆け出すにはもう足りない。
「……俺はいい。先に行け」
ここぞとばかりに、最高に切ない笑顔を残してみせる武闘家。
上から降り注いだ溶岩は容赦なく、その武闘家の真横に落ちた。
「……あれ?」
大して飛沫が跳ねることもなく、無事ノーダメージ。
「やだ! めちゃくちゃ恥ずかしいっ!」
溶岩のように顔を赤くしながら、すぐさま走り出す。
しかし進んだ崩落は、一気に武闘家を追いかけてきた。
走る武闘家の速度では、このホールから逃げ出すことはできそうにない。
だから、今度こそ。
「俺のことはいい! 先に行けぇぇぇぇ――――っ!」
悲痛な叫びと共に、完璧な『終わりの笑顔』を見せる武闘家。
「【ターザンロープ】! それええええーっ!」
しかしメイの投じたロープが身体に巻きつき、そのまま崩落と溶岩に巻き込まれたホールから無事脱出。
「……ちょっとやだー! もっと恥ずかしいんだけどォォォォ!」
「あはははは! さっきの顔、完璧に決まったと思ってたよな?」
顔を真っ赤にしている武闘家に、手を叩いて笑う一同。
「くすくす。でもやっぱり今の溶岩は、時間制限のものではなくてギミックだったみたいね」
さすがに笑ってしまったレンは、同時に思う。
溶岩が出てきたという事は、それだけ深いところまで来ているという証拠だろう。
そしてその予想は、確かなものとなる。
潰れたホールを後にして進むと、各所に見える糸。
それはいくつもの繭のようなものとつながっている。
そして進むほど、繭の数が増えてくる。
「これって……」
「卵でしょうか」
妙な静けさの中、一同は繭の道を進んで行く。
そこにあったのは、白い糸だらけの大きなホール。
並んだ無数の繭。
その中心には、これまでとは明らかにサイズの違う大型のアリの姿があった。
背中には、大きな羽。
「「「女王だー!!」」」
掲示板組が、思わず上げる声。
獰猛なアリたちの女王は羽を広げ、舞い込んで来たエサに歓喜の様相を見せた。
◆近々新作発表ございます! 何卒よろしくお願いいたしますっ!
脱字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました! 返信はご感想欄にてっ!
少しでも「いいね」と思っていただけましたら。
【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!




