1434.火山遺跡の中で
火山の地下へと突き進む、アイアスラントの名物クエスト。
「こんな遺跡があったのか」
「このクエストで、まだ一度も聞いたことのない要素だぞ」
「ヤバい、ワクワクして来た……っ!」
ある程度の情報を知っている掲示板組も、予想外の展開に驚く。
バザールブンガ火山に隠された遺跡の存在は、もちろん初出だ。
暗い空間に隠された謎に、自然と高ぶってしまう。
「古い遺跡の中に隠された宝を、持って帰れってことか?」
「ここからは宝さがしぽよ?」
掲示板組がドキドキしながら首を傾げていると、レンが不意につぶやく。
「火山前にいた協会員が、変な影の目撃談に触れていたのが気になるのよね」
「あっ、確かに言ってたかもっ!」
思い出したメイが、耳と尻尾をピンと立てた。
「何かが棲んでる可能性に気を付けながら、付近を見てみましょうか」
「そうですね」
「暗いから特に、迷子ちゃんは気をつけないとな」
「大丈夫ぽよ、しっかり見張るぽよ」
迷子ちゃん防衛陣で、掲示板組も並んで暗い遺跡を進む。
ここからは、離れ過ぎない位置を取りながらの別行動。
レンが後方から松明を持ち、気になる建物がないかを見て回る。
星明りもない地下は容赦のない暗さで、思わず四人ぎゅっと集まって進む。
そんな中。
「誰!?」
何かの影が一瞬、建物の隙間を通り抜けた。
普通であればここからは、闇の中を逃げる何者かとの、難しい追いかけっこが始まる流れ。
一度見逃してしまえばタイムロスが大きなりそうな状況のため、緊張が走る。しかし。
「【バンビステップ】!」
松明の光があれば、【夜目】を持つメイにはかなりの距離が見渡せる。
さらに柔軟で速い足の運びは、逃げる影をしっかりと把握。
「【ラビットジャンプ】【アクロバット】!」
影が建物を介してどちらに逃げたかを、高い位置で把握して着地。
「【裸足の女神】! それええええ――っ!!」
「っ!?」
急加速で一気に距離を詰めると、そのまま飛び掛かる。
ちょうど振り返り際だった影は驚きに跳び上がり、狂うメイの目算。
「うわっ!」
ぶつかり合って、両者は別々に転がった。
「【加速】!」
ここでフォローに付いてきていたツバメが活きる。
急いで松明を掲げると、そこにいたのは――。
「モグラ……ですか?」
高さ1メートルほどの、モグラのような生物だった。
レンとまもりが追いついてくると、さらに掲示板組も慌ただしい動きを察してやって来る。
「なんだ、こいつ」
謎の影の正体を取り囲むと、モグラは静かに語り出す。
「……ワタシは、この地下に住むアング族の族長」
「アング族……?」
「この広い地下世界の一角を担う――――地底人ですな」
「地底人ですか!」
「また楽しそうなのが出てきたわね」
「ちょ、ちょっと可愛いですっ」
ずんぐりとした姿のモグラは、松明の光をまぶしそうにしながら語る。
「アナタたちは一体、こんなところまで何をしに来たのですかな?」
「冒険ですっ!」
「あとはまあ、魔物を倒したりね」
「そういうことですか……ボウケンシャ。なるほど特別な力を持っているようですな。では地上に戻った際は早々に、この地からお逃げ下さい」
「なぜですか?」
「ワタシたちと袂を分かったダグラン族は、地上を攻撃するつもりなのですな」
「地上を攻撃って、どういうこと?」
「大規模噴火によって地上に深刻なダメージを与え、混乱に乗じて土地を奪いに行く。ヤツらはすでに動き出しているのですな」
「ええええーっ!?」
まさかの事件に、驚くメイ。
「繰り返す多くの噴火は、やがて来る大噴火への練習なのですな……」
「そういうこと……このクエスト自体に背景が隠されていたのね」
「マジかよ……」
「名物クエストの噴火は全て、そのダグラン族が起こす大噴火への練習みたいなものだったんだな」
「これが予想されてた、未知のクエストか!」
アイアスラントの定番クエストということで、これには掲示板組も驚きを隠せない。
「……やはり悪の地底人は、サングラスで大きなシャベルを持っているのでしょうか」
「ふふっ、それしか思い浮かばないわね」
一方そんなツバメのモグラ地底人像に、笑ってしまうレン。
「もしかしてこれって、ミッションではないですか?」
そんな疑問を口にしたのは迷子ちゃん。
「だとすると、噴火と溶岩の件は継続なの?」
「クエスト自体は継続、あくまでミッションとしての提示といったところでしょうか」
どうやら噴火からの溶岩即死というルール自体は、変わらなさそうだ。
このまま宝を探して持ち帰っても良し、そのついでにダグラン族のたくらみを阻止するも良し。
「くれぐれもダグラン族には、気をつけて帰るのですな。ワタシたちでは戦力がなく、やつらを止めることはできないのです」
掲示板組の松明で、モグラはさらにまぶしそうに目を細める。
「なるほどね。ダグラン族の何かが見つけられればそっちに進んでみる。そんな形でいいかしら」
「いいと思いますっ!」
そんなおおまかな目標に、メイが大きくうなずく。
「単純に運の要素もあるって聞くし、ドキドキするな」
「どういうことぽよ?」
「噴火のタイミングはいくつかあって、不運だとかなり早いこともある感じらしい」
「だとすると、せっかく面白そうな展開になってきたのに、容赦なく噴火の可能性もあるのでしょうか」
運の要素という言葉に、白目をむくツバメ。
「「「うおおっ!?」」」
その瞬間、再び起きた地響きに全員が息を飲む。
ツバメがピックアップされた瞬間に起きた、突然の地震に思わず震える。
「狙ってみる……?」
しかし、だからこそワクワクしてしまう。
「そうだね! とにかく進んでみようよっ!」
「ド、ドキドキしますね」
見つけた大きなミッション。
しかし見えない制限時間は、確かに迫っている。
そんな状況にまた高ぶりながら、メイたち一行は先を急ぐことにした。
◆近々新作を発表する予定です! その際は何卒……よろしくお願い申し上げますっ!
誤字脱字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!
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