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1367/1385

1367.始まる降臨の儀

 スキアとクルデリス、そしてまもりの連携によって悪魔騎士を打倒。

 こうしてパレードは滞りなく、終了を迎えた。


「お見事でした」

「これでパレードは、完全な形で達成ね」

「三人ともカッコ良かった……!」


 一仕事終えて、喜び合う六人。

 パレードが終われば次は、いよいよ降臨の儀だ。

 一時的に現れて、聖教都市アルティシアを祝福する天使の降臨。

 これを守り抜けば、『闇を継ぐ者』のクエストもクリアとなる。


「まずは大通りを見に行ってみようよ!」


 足取りも軽く、先導するメイ。

 アルティシアの大通り、中央広場に造られた会場は荘厳。

 半円形の石積みの舞台。そして並ぶ石柱。

 夕暮れに輝く明かりが、とても美しい。


「……厳重ね」

「やはり、大きなクエストになるのですね」


 舞台の前には司祭や教徒が並び、降臨祭を成功させるためのクエストを受けた光の使徒が、目を光らせている。

 その緊張感は、先日から続く闇の使徒の動きのためだ。

 白夜も今は、見回りに力を入れているのだろう。

 これだけの警備なら、単純に接近して討つというのは不可能。

 無尽蔵に配置された聖教騎士たちに、押しつぶされてしまうのが精々といったところだ。


「お客さんもいっぱいだね」

「んっふふ。こういう雰囲気は悪くないねェ」


 集まった、たくさんのプレイヤー。

 人波をかき分けて、メイたちは大教会へ。

 辺りを見回せるよう、裏手から高い屋根へと登る。

 するとしばらくして、大教会の鐘が鳴り始めた。

 それは降臨の儀が始まる合図だ。

 舞台に張られた聖水は、鏡面のように輝いている。

 司祭を始めとした聖教都市の偉い人たちが立ち上がり、その瞬間に備え出す。


「さあいよいよ、降臨の儀の始まりですね」

「こ、降臨の邪魔を防ぐのですねっ」

「……ねえ、やっぱり着替えないとダメなの?」


 レンは『闇を継ぐ者』装備に着替えるツバメたちを見て、ため息。


「やっぱり、カッコいい……!」


 一方で黒のショートマントをまとい、ストールで鼻までを隠した猫耳少女。

 ワイルドは、久しぶりの黒づくめ装備に尻尾をブンブンしながら喜ぶ。

 こうして闇を継ぐ者たちは、教会の上から静かに様子をうかがうことにした。

 多くの司祭たちが、あげる祝詞。

 それに合わせて、舞台の水面目がけて光の柱が何本も降りてくる。

 闇を継ぐ者たちがパレードのクエストをクリアした効果で、呪具による攻撃はなし。

 一切の滞りなしだ。


「こりゃ神々しいなぁ」

「すげー、降臨祭ってこんな規模なのか」


 道行くプレイヤーたちは、その光景に思わず感嘆する。しかし。


「「「っ!?」」」


 そんな中で、発動し始めた魔法陣。

 妖しい紫光が凄まじい速度で街を走り出し、破邪ならぬ『破聖』の紋様を描いていく。


「な、なんだこれは!?」

「降臨の流れが、止まったぞ!?」


 まさかの事態に、慌て出す司祭たち。

 駆ける紫光に抑えられるかのように、『天使の階段』が停滞した。


「闇の者たちによる反撃が、動いたという事か!?」


 先日の件で生まれた確執を知る者が、そんな予想を口にする。


「いや待て! 陣の効果も止まったぞ!?」


 ここでメイたちが、【魔法石】を破壊しておいたことが活きる。

 魔法陣の一箇所が起動していないため、聖邪の力が拮抗を始めたようだ。


「動き出した頃かしら」


 このままでは他の【魔法石】の魔力が切れ、魔法陣の方が先に消えていってしまう。

 そうなれば当然、闇の使徒たちは動き出す。


「……さあ、行きましょうぞ」

「ぶふっ!」


 闇を継ぐ者モードになったワイルドの言葉遣いに、さっそく口を噴き出すスキア。

 六人はさっそく、【魔宝石】の補充地点目指して屋根上を移動。

 ここで補充を止めることに成功すれば、それだけでもう降臨の邪魔はできない。

 クエスト達成だ。

 今も広がっている不穏なオーラに、慌てる光の使徒たち。

 その頭上を、黒づくめの六人は飛び越えていく。


「やっぱり本番の瞬間まで、闇の使徒側は陣の一か所が止まっていることに気づけないのね」

「これで欠けさせた陣のポイントに、対クエスト受注者たちがやってくる。あとは【魔宝石】を起動させなければ勝ちということだ」

「が、がんばりますっ」


 六人は屋根から屋根へ跳び、聖教都市の南部教会の方へ。

 すると、一際高いところにある十字架の上には――。


「ルナ……!」


 気だるそうに座り、足をプラプラさせている維月刹那・ルナティックの姿。


「なるほどね。ナイトメアたちがそっちにいたわけか。通りで手際がいいわけだ」


 そう言って、妖しい笑みを浮かべる。


「貴方も動いていたのね」

「まあね。悪魔の召喚となれば一枚噛んでおかない理由はないからさ。でも結果はあのザマだよ。だから今度は……」

「復讐ってこと?」


 刹那は「まさか」と首を振る。そして。


「面白半分だよ」


 邪な笑みを浮かべてみせた。

 相変わらずのキャラ付けぶりに、白目をむくベリアル。


「だからね、ここで邪魔されちゃあ面白くない。ボクとしても……闇の使徒たちも」

「「「っ!?」」」


 そう言って手を上げると、南部教会を取り囲むように現れた闇の者たち。

 その数はなんと、数百人に及ぶ。

 どうやら相当の人数を動かしてきたようだ。


「ボクは【魔宝石】の発見と補充に回るから、しっかり時間を稼ぐんだよ」


 使徒たちにそう言い残して、夜影へと消えていく刹那。

 すると使徒たちの一部は命令に従い武器を構えたが、残りの者たちは困惑の色を見せ始める。


「だ、だが、相手はあの闇を超えし者だぞ……闇の使徒を作り、そして今は……」

「――――神の領域に踏み込みつつあるという」


 ベリアル、いよいよ評価が『神』に近づきつつあるという事実を知って、白目をむく。


「さすがだねェ」

「月に至るほどの魔導士だからな。もはや伝説か。どうする、ベリアル?」


「ククッ」と、笑いながら言うスキア。

 いよいよ『畏怖すべき対象』になってしまった自分に震えるベリアルは、ここで一つのひらめきを覚えた。

 これなら『武器を向けていい相手』に、自分を『下げる』ことができる。


「……勘違いをしないで。私は闇を超えし者なんかじゃない。闇を継ぐ者の一員、ベリアルでしかないわ」


 そう言い放ち、さらに闇の使徒たち相手に続ける。


「ただ。その闇を超えし者という魔導士は……相手を見て戦いにひるむような者を、果たして認めるのかしら?」

「「「っ!!」」」

「だって探しているんでしょう? さらなる力を、そして強き者を。それなら」


 黒のローブをはためかせながら、挑発するような声で告げる。


「楽しみにしていると思うのだけど。『同志』との戦いですら――――」


 すると闇の使徒たちが、一斉にモードを戦闘に変えた。


「んっふふ。いいねェ……そうこなくちゃ」

「闇の者同士の戦いも、悪くない」

「さすがベリアルです」

「ド、ドキドキしました!」

「カッコいい……っ!」


 ベリアルの言葉をきっかけに流れ出す、戦いの気配。

 空にわずかにかかっていた小さな雲が退き、月が見えたその瞬間。


「ゆくぞ!」


 闇の者たちの雄叫びと共に、戦いが始まった。


「さっさと……かかってきなさいよー!」


 この時のベリアルはちょっとだけ、破れかぶれだったという。

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