表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1352/1376

1352.Time has come.

「星屑のフロンティアは、本当にたくさんの宣伝をしているんですね」

「すごいねぇ……っ」


 さつきたちは変わったハウジングクエストを発見し、神社を建てた。

 そこから始まった祭は盛り上がり、今では京が賑わっている。

 またもメイたちを起点に、新たな文化が生まれた星屑。

 今回はハウジング担当の人たちがムック本を作ったという事で、四人はせっかくだからと外出。

 直接受け取りに行き、その帰りにカフェで一緒に眺めることにした。


「……確かに、すごいんだけど」


 そんな中で、可憐はため息を一つ。


「なんで私だけ、怨念が暴れ出した時の真面目な顔を抜いたのよ」


 風の吹き方もあり、これではレンが怨念すら従えているかのようだ。

 これにはさつきたちが、声をそろえて笑う。


「あれっ!? なぜか神社の神様が『野生児ノ命』ってことになってる!?」


 トロピカルなグリーンにバナナ柄ではなく、白地に赤の綺麗な浴衣。

 ご満悦のさつきだったが、最後にまさかのオチで驚愕。

 これにはまもりも、くすくすと笑う。


「これは、まもりさんの素敵な一枚ですね」


 つばめが見ているのは、憂いを感じさせる顔のまもり。


「あ、ありがとうございます」


 それが「これ以上食べたらまた崩落を起こすのでは、でも食べたい」なんてことを考えていたとは言えずに、苦笑いで応える。


「それじゃ、そろそろ広告を見に行きましょうか」

「りょうかいですっ」


 最近は集合時にカフェを使うことが多いため、毎回さつきはウキウキ状態だ。

 店を出た四人は、せっかくだからと新たな広告を見て帰ることにした。

 駅に掲示された大判の広告は、とても目につく。そして。


「立ち止まっている人も多いねっ」


 広告が新しくなるたびに、プレイヤーが見に来るのはもはや定番。


「メイちゃん可愛いーっ!」

「やっぱりメイちゃんはいいな! この元気さがたまらないね!」

「えへへ」


 今回もメイたちの広告を写真に収めて、楽しそうにしている高校生たち。

 仕事に向かう途中か、スーツ姿の者たちもいる。

 集まった人たちは皆、楽しそうだ。


「だからなんで私のところだけ、真っ黒なのよ……!」


 そんな中、案の定レンの広告の前には黒づくめの集団。

 静かに並び、スッとヒザをつく。


「早く、早く帰って……!」


 黒づくめ集団を見てヒソヒソしながら通り過ぎる通行人に、可憐もなぜか責任を感じて冷や汗が噴き出す。

 そして闇の者たちでも欲求には勝てないのか、ただ静かに去るのではなく写真を一枚。

 ちょっとうれしそうにしながら、立ち去っていく。


「もう……」


 ため息を吐く可憐。


「ん?」


 すると、空いたわずかな隙間をついてやってきた一人の少女。

 黒のレースを真珠のチェーンで飾り、赤紫色の薔薇で彩る。

 白い髪を黒のヴェールようなもので覆った『完璧』な少女は、静かに顔を上げる。


「闇を超えし者よ……」


 よく見えないが、その雰囲気は目を止めてしまうほどだ。


「――――時が来る」


 しばらく眺めて、静かに振り返る。


「世界観、出すぎでしょ……」


 立ち去っていく姿を見て、可憐は白目をむいた。

 段違いの少女に、そのまま放心していると――。


「メイさんっ!」

「香菜ちゃんっ!」


 さつきたちもとに、うれしそうに駆けてきたのは、可憐の妹である香菜だった。


「メイさんたちの活躍すごいですね! 私もお祭りに行ってきたんですよ!」

「本当ーっ!」

「すごい熱気で、みんな楽しそうでした! あんなに作り込まれた神社なら、人気になるのも当然ですね! ついつい長居してしまいました!」

「ありがとうーっ!」

「香菜さんは、学校帰りですか?」

「はい! 五月晴れの新しい広告が出るって聞いて、見に来ちゃいました!」

「と、とても活動的です……っ」


 こうして星城家の姉妹が制服で並ぶと、香菜が可憐にたずねる。

 その目を、鋭く光らせながら。


「せっかくだし、お姉ちゃんにも一応聞いておきたいんだけど……」

「なに?」

「闇の使徒が近く何かするって聞いたんだけど……お姉ちゃんは、関係ないよね?」

「ないわよ」

「本当に? 最近家でミサをやらないのは、もっと大きな会場でやってるからとかじゃなくて?」

「大きな会場って、ライブじゃあるまいし」

「レベルが上がって、箱も大きくなってるんじゃないの?」

「ないわよ! ミサなんてないない!」

「本当かなぁ」

「神に誓ってもいいわ」

「邪神に?」

「そんなわけないでしょ!」


 闇の使徒の集会が、大きな王都のホールなどで開催。

 邪神に祈りを捧げている光景の中に、『闇を超えし者像』が置かれているのを想像して、思わず震える。


「そういえば……私も大きなクエストがあるって話を聞いたのよね」

「どのようなクエストですか?」

「そこまでは聞いてないんだけど、今なら抱えてるクエストもないし、見学に行ってみてもいいかもね」

「いいと思いますっ!」

「ク、クエストを見学に行くというのは、新鮮ですねっ」


 こうしてさつきたちは、早くも帰宅後の予定を決めた。

 今回はめずらしく、見学者としての参加だ。

 各々が自宅へ向かい、可憐も香菜の『疑惑の視線』を感じつつ、一緒に帰宅の途に就いた。

ご感想いただきました! ありがとうございます!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
香菜ちゃん、レンちゃん『は』本当にやってないのよ…。 ただ闇の使徒が増え過ぎて収拾がついてないだけで…w
クイズは正解ですかね 模範解答と模範解法?は まず解説の前に、おしくも正解ではないのですが、非常に論理的な解答を2つほど紹介します ◆キムさんの解答 こんにちは、いつも楽しく拝見させていただいてい…
掲示板を知らない一般プレイヤー「メイちゃんの五月神社に祀られてる神様、『野生児ノ命』って言うのか。物でも者でもない…つまり野生に帰化する子を見守ってくれるのかな?」 広告の前で黒ずくめで膝を付くんじ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ