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1340/1385

1340.報酬タイムです!

「それでは、高度を下げます」

「りょうかいですっ!」


 少し時間に余裕があったメイとツバメは、早めに星屑にログイン。

 セフィロト丸で空のドライブを楽しんでから、いつもの待ち合わせ場所へと向かう。

 高度を下げると、船尾が海水を弾く。

 するとカモメたちがやって来て、メイの周りを飛び回る。

 飛んでいるカモメの頭を撫でるという楽しい状況に、思わずのぞかせる笑み。


「いつもの堤防が見えました」

「レンちゃんとまもりちゃんがいるよ!」


 アイス片手に腰かけて、脚をブラブラさせているのはレンとまもりだ。

 いつ見ても、夏の港町といった風情のラフテリア。

 ツバメはそのまま一直線に堤防のもとに進むと、機体の側面を二人に向ける形でドリフト。

 見事なブレーキで、二人の前にセフィロト丸を止め――。


「ちょっとーっ!」

「っ!」


 巻き起こった見事な飛沫が、陽光に照らされてキラキラと舞う。


「「「おおおおおお――――っ!!」」」


 その光景に、ラフテリアの冒険者たちが思わず歓声を上げた。

 セフィロト丸のあげた美しい飛沫は、通行人たちの目まで奪うほどだった。


「なんてね。まもりありがとう」

「か、勝手に盾が……!」


 見事に飛沫から自分たちを守ったまもり。

 どうやら身体が勝手に、盾を取り出して構えたようだ。


「お二人ともすみません。思った以上の飛沫になってしまいました」

「大丈夫よ。濡れてもすぐ乾くし、まもりがしっかり防御してくれたから」

「お待たせーっ!」


 甲板から身を乗り出して、大きく手を振るメイ。

 そうは言っても集合より30分ほど早いのも、いつものことだ。

 陽光の港町に、飛沫を上げて到着した飛行艇。

 そこから出てきたのがメイとなればもう、通行人たちの足はさらに止まる。


「今日は、この前のクエストの報酬確認からね」

「りょうかいですっ!」

「それでは出発します」

「はひっ」


 こうして四人はセフィロト丸に乗り込むと、さっそく青空へと昇っていく。

 通行人たちはそんなメイたちを、足を止めたまま見送るのだった。


「やっぱりラフテリア付近の空は、気持ちいいわね」

「はひっ」

「そう言えば、広報誌良かったですね」

「ああっ!」


 そんな言葉に、頭を抱えるメイ。


「他のページは全部よかったのに、『野生の王、月を緑の大地に変える』ってページがあったんだよー!」


 餅つきのシーンや、無重力空間を進むシーンはすごく楽しい構図で、話題になっている。

 だが何より大きな目玉になっているのは、月に見える緑のクレーター。

「ぜひ見に行ってみたい」と、各所が盛り上がっているらしい。


「まあ、あのページにメイが入っている以上、そういう文言を入れたくなるわねぇ」

「は、はひっ」

「可憐な剣の一撃とかにはならないかな……?」

「ふふっ、それはもう嘘じゃない」

「くすくす、紅の翼の飛行場が見えてきましたよ」


 セフィロト丸は、ブライト王国を目指して一直線。

 機工都市には、多くのプレイヤーが集まっていた。


「飛行艇! セフィロト丸だ!」

「五月晴れだーっ!」


 それはメイたちが飛行艇を駆る姿が、ブライトと紅の翼を人気にしているからだ。


「お、大型船に光が灯ってます」


 そんな中、大型船が格納庫の中ではなく外に置かれてることに気づく。

 どうやら月の調査を進めるクエストが動き出しているようで、紅の翼として月に向かってみたいと考えるプレイヤーも増えているようだ。


「月に向かうクエストも、これから始まっていくのね」


 セフィロト丸を駐機場の一角に降ろしたメイたちは、ブライトの城内へと進む。

 するとそこにはセレーネとムーナ姉妹、奇跡の生還を果たしたラビもいた。


「すっかり元気そうだねっ」

「はい、皆様のおかげで先日までとはまるで違う毎日になりました」

「これからは月に行って、色々説明したりすることもあるんだってさ」


 二人は楽しそうに言う。

 どうやら月の様々な知見を、伝える役を担っているようだ。

 ラビも二人の間を行ったり来たりと、楽しそうにしている。

 するとそこに、紅の翼の兵長がやってきた。


「待っていたぞ。ブライト王とモナココの王女様がお待ちだ」


 兵長に呼ばれるまま、四人は応接の間へ。

 そこにはブライト王と、モナココの王女が待っていた。


「今回は世界の危機と共に、新たな文明への道を作ってくれた英雄に、ささやかだが礼をさせてもらいたいと思ってな」

「お待ちしていました。一度ならず二度までも、ありがとうございました」


 二人がそう言って片手を上げると、兵士が宝箱を持ってやってきた。


「ありがとうございます」


 まずはツバメが、その内容を確認。



【ヴェノムバスター】:毒状態をすぐに発症させず、大きく蓄積させることで爆破時に広範囲にバラまく。最大まで溜めると『劇毒』になる。



「劇毒をバラまくことができるかもしれない……これはなかなか恐ろしいスキルですね」

「毒で減らしながら痺れさせるなんていう使い方もできそうね」


 うなずきながら、レンも宝箱を開く。



【エンジェル・ハイロゥ】:聖属性の中遠距離高火力魔法。



「なんかいよいよ、聖属性にも上位上級っぽいスキルが……」

「こ、この道を進めということでしょうか」

「遠距離にも届くのは良いけど、また界隈がざわつくわね……」


 報酬確認ならではの、うれしいのに複雑というレンの状況に、笑みをがこぼれるまもり。

 続けて宝箱を開く。



【ウェアリングシールド】:状態異常攻撃などを盾で受けた後は数度、攻撃や防御で触れた相手にその効果を付与する。



「ど、毒まみれの盾を振り回せということでしょうか」

「でも、状態異常攻撃に対しての防御が強まるんじゃないかしら」

「触ったら状態異常が移る……なんだかドキドキだね!」


 最後は、三人の報酬を見ながら歓声を上げていたメイ。



【重ね着】:防具やアクセサリーを二重装備できる。



「これは……どういうこと?」

「通常の防具に加えて、もう一つ重ねて着られる。普通に考えればステータス上げの効果が増すってことだけど……これまでは同時使用できなかったスキルがつながるのかも」

「だ、だとしたら」

「何か面白いことができそうですね」


 メイの報酬は少し変わった内容で、話が盛り上がる。

 こうして全ての確認が終わったところで、王が大きくうなずいた。


「重ねて礼を言うぞ。ブライトとモナココ、そして世界の危機を打ち払った英雄たちよ」

「貴方たちは、月の歴史にも残る救世主です」


 王と王女に見送られて、月の壮大な物語を終えたメイたちは、ブライトを後にする。


「これでクエストの報酬確認も、完了ね」

「今日はどこに向かいましょうか」

「そ、そう言えば、京で気になる飲み物が……っ」

「そういうことなら、飲みながら行き先を考えるのもいいかもね」

「いいと思いますっ!」


 月の冒険を終えたばかりの四人は、次を急ぐこともなし。

 まずは新発売される飲み物を探して、京へ向かうことにした。

ご感想いただきました! ありがとうございます」

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― 新着の感想 ―
クイズですがこれは反転させたのもなので最後にもとに戻すのを忘れないようにね
黒い翼をはためかせて、光の輪で敵を殲滅する光景を想像すると、闇と光の両方の使徒達の脳が焼き尽くされてしまうのは確定的に明らかw ヴェノムバスターで爆発させた毒を、まもりがウェアリングシールドで拾って…
クイズですがサービスで桁を反転させたのも書いときますね 0.01.0111.0113.011231.◼、01143221…
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