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1327.アンブラ王との戦い

「及ばぬ星の者たちよ、貴様たちに戦いというものを教えてやろう!」


 始まるレクス・オブスクルスとの戦い。


「私も重力魔法で援護するからね、必要な時は言って!」

「分かったわ!」

「それと……もしも私に何かあったら、セレーネだけ連れて行って」

「何も起きないよ! 大丈夫っ!」


 笑いながら応えたメイの言葉をかき消すように、オブスクルスは魔導鎧の魔力ホバーを噴出。


「くるよっ!」


 崩壊都市を背に、戦争を仕掛けていた時代に造られた強力な機体で特攻をしかけてくる。

 急加速し、その狙いをまもりに定めたオブスクルスは肩に担いだ長い鉄棒を取る。


「【パグナス・ギガンテ】」


 振り上げた鉄棒の天辺に付けられた魔法珠が輝くと、始まる可変。

 棒の先端に大きな金属の『ハンマーヘッド』が登場し、豪快な振り降ろしをまもりに叩きつける。


「っ! 【地壁の盾】!」


 ド派手なエフェクトを見たまもりは、正面からこれを受け止める。

 激しい衝突音と共に、巻き起こる衝撃波。


「す、凄い威力です――――ッ!!」

「まもりちゃん!」


 その火力はすさまじく、まもりは冗談のような距離を弾き飛ばされて転がる。

 砂煙を上げて転がって行ったまもりに、さらに追撃を仕掛けようと動くオブスクルス。


「【フレアストライク】!」


 即座にレンが魔法でけん制を仕掛けるが、予想以上の機動力で一気に離陸。

 炎砲弾をかわして、まもりのもとへ。

 その低い飛行は、どちらかというと『超高速の低空跳躍』といった軌道だ。

 そして空中で豪快に側方回転しながら、放つのは――。


「【ブラキウム・ギガンテ】!」


 大型ハンマーの、猛烈な回転撃。


「【不動】【地壁の盾】!」


 ぶつかり合う盾と大槌が、激しい衝突音と共に猛烈な風を巻き起こす。

 オブスクルスは弾かれ、まもりはその場にとどまりながらも大きく体勢を崩す。


「【誘導弾】【連続魔法】【フレアアロー】!」


 光の線を描きながら飛んでくる三本の炎矢に対して、硬直が解けたオブスクルスは退避を選択した。

 弧を描くような飛行で下がり、そのまま崩壊都市へ入り込むことで、炎矢を誤爆させることに成功。


「隠れましたか」

「どこに行ったのかな」


 距離を詰めてきたツバメとメイが、辺りを見回す。その瞬間。


「ツバメちゃんっ! 【ラビットジャンプ】!」

「はいっ! 【跳躍】!」


 目の前の建物を貫いて飛んできたハンマーが、二人のいた場所を派手な風切り音を慣らして通過。

 滑走路沿いの建物をガレキに変え、突き刺さって止まる。


「ほう、かわしたか。反応は悪くないようだ」


 崩れ落ちた建物の先で、つぶやくオブスクルス。


「【バンビステップ】!」

「【疾風迅雷】【加速】!」


 その手に武器がなくなったところでメイとツバメは駆け出し、距離を詰めにかかる。


「【四閃刺光】」


 オブスクルスの指から放たれる四本の光線は、誘導のかかったもの。

 大きく曲がりながら迫る攻撃に対して、ツバメは斜め前方への動きで二つかわし、三本目を【スライディング】でかわす。

 そして四本目の光線を、前方への【跳躍】で。

 ここでさらに空中のツバメを狙ってくるのなら、引き付けて【エアリアル】で回避。

 攻撃後の隙をメイが狙うという連携を、語らず共有しながら敵の様子をうかがう。

 するとオブスクルスはツバメの攻撃を諦め、迫るメイへの対応を選択。


「【裸足の女神】!」

「っ!!」


 しかし大物でも虚を突かれるメイの超加速に、攻撃方法を慌てて切り替える。


「【破岩烈拳】!」


 右の拳で放つのは、正面に衝撃波を巻き起こす拳撃。


「【ラビットジャンプ】!」


 これをメイは低めの跳躍でかわして再び前進。

 正面から迫る両者。


「【竜のアギト】!」


 伸ばされた左手は、敵をつかんで爆発を起こす超近接の高火力格闘技だ。


「【アクロバット】!」


 これをメイは回転跳躍でかわし、魔導鎧の頭部に手をつく形で敵の後方へ。

 即座に振り返り、高速接近からの攻撃に入ろうと狙うが――。


「メイっ!」


 聞こえたのは、レンの叫び声。


「【ラビットジャンプ】!」


 呼びかけにメイは、耳に覚えた違和感に従いその場で垂直跳躍。

 すると先ほどまでいた場所を、『戻ってきたハンマー』が通り過ぎていく。

 投げたハンマーに手を伸ばせば戻ってくるというのは、グラムの槍と同じ。

 だがその『帰り』にも強い判定を持つのは、重く大きなハンマーならではだろう。


「レンちゃん、ありがとーっ!」


 反撃には入れなかったが、着地後に接近からの攻撃が来る形なら対応できる。

 安堵の息をつきつつレンに手を振って、着地したその瞬間。


「【頭を下げろ】」

「「っ!?」」


 オブスクルスが、その場で右手を振り下ろす。

 すると頭上に生まれた光球が弾けて飛沫のように降り注ぎ、メイに加えてツバメまでもが体勢を崩した。


「【誘導弾】【フリーズストライク】!」


 レンはすぐさま時間を稼ぐための攻撃を放つが、間に合わない。

 折よくハンマーをつかんだオブスクルスは、メイに向かって一直線。


「【ブラキウム・ギガンテ】!」

「わあああああああ――――っ!!」


 放つハンマーの回転撃が決まり、メイは2割ほどのダメージと共に崩壊都市を跳ね転がる。


「……どうした? 青き星の戦士の力はこの程度か?」


 オブスクルスは、兜の中で笑う。


「ならば、その支配も容易いな」


 そしてさらに、新たなスキルを発動する。


「【ヴァニシング】」

「「「「っ!?」」」」


 なんとその姿を、完全に視界から消し去ってみせた。

 溶け込むような形で、付近の風景に溶け込んでしまった魔導鎧。


「ツバメちゃん!」

「【加速】【リブースト】!」


 メイの言葉に、ツバメは辺りを確認するよりも速くその場からの離脱を選択。

 直後、接続の悪い映像のような形で魔導鎧が現れ、ハンマーが地面に突き刺さった。

 吹き荒れる衝撃波を残したオブスクルスは、再び消える。


「今度は、光線だよっ!」


 両手首を身体の前で合わせて放つ、二つの【四閃刺光】

 合わせて八本の光線が、突然現れた魔導鎧から放たれる。


「くっ!」


 それでも、メイの早い指示が活きる。

 レンは慌てて飛び込み伏せることで、直撃を一本だけに抑えることに成功した。


「攻撃時に軽く解けるけど、基本は消えたまま。なかなかやっかいですね……!」


 次は誰に来るか、どこから来るか。

 動きから読めないのは、恐ろしい。


「ええ、でも」


 メイは静かに、剣を水平に構えて前に出る。

 そしてその音が近づいてきたのを聞いた瞬間、叫ぶ。


「みんな防御かジャンプをお願いしますっ! 【装備変更】!」


 そう言ってメイが『構えた』ことで、次の一手が見えた。


「【跳躍】!」

「【浮遊】!」

「【コンティニューガード】【地壁の盾】!」

「いきますっ! 大きくなーれ!」


 メイはわずかな飛行音に反応して【蒼樹の白剣】を伸ばす。


「【フルスイング】! それええええ――――っ!」


 そしてそのまま、豪快に半回転。

 すると狙い通り、大きな円を描く形で払われたメイの剣が魔導鎧を弾き飛ばした。


「【連続投擲】!」

「【誘導弾】【フレアストライク】!」


 地を転がり、崩れかけの建物の壁を突き破って転がる魔導鎧に、レンとツバメは即座に攻撃。

【風ブレイド】による属性効果で、炎砲弾が大きな炎を巻き起こし、オブスクルスに高いダメージを与える。


「言っておくけど、姿を消す攻撃はメイにとって、そんなに脅威じゃないわよ」


 レンがそう言って杖を振ると、メイは大喜びで剣を振って応えた。

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クイズ行きますね An Endless line. T OFOFNTSFTF... ↑の文字列はある法則に従って続いています。 その法則を答えて下さい。
都市丸ごと廃墟、他のプレイヤーもいない。 ならば…グレートキャニオンの10や20ブッパしても良いんでわw たぶんイベント後には、過去最大規模の聖地として名所になると思うw そして王と共に飛行船も射程…
まるで某スパなロボで生身で戦う人らみたいだw まもりちゃんは超重量同士の戦いみたくガィィィン!とかギィィィン!とかなる戦いで、 ツバメちゃんはノンストップハイスピード某ハリネズミアクション、 メイち…
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