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1277/1381

1277.大会が始まりますっ!

「こっちだよーっ!」


 サマラの天候は、見事な快晴。

 気持ちの良い青空の下、芝生に白線で描かれた専用コートが気持ちいい。

 各所で行われる、最後の模擬戦。

 メイはリザードと、建物の屋根すら足場にした、アクロバティックな鬼ごっこで遊んでいた。


「ごめんなさい、遅くなったわね」


 そんな中、レンは少し遅れてメイたちと合流。


「すでに賑わっていますね」

「ひ、人がたくさんいます……っ」


 サマラの町は、モンスターバトルを見るために集まってきたプレイヤーで盛り上がっていた。


「モンスター増えてるなぁ」

「伝説級も見かけたぞ!」


 たくさんのモンスターが一緒に歩いている町というのは、やはり独特で楽しい。

 そのため観客も、好みのモンスター目当てに、そこかしこを駆け回っている。


「新しい300種も、120種ほどしか見つかってないらしいわね」

「そうなんだぁ」


 メイは興味深そうに、辺りのモンスターを見回している。すると。


「メイ、見に来てやったぞ」


 すると声をかけてきたのは、トッププレイヤーでも屈指の戦闘力を誇る神槍のグラム。


「グラムちゃん!」

「今日はのんびりと、モンスターの戦いを観戦するつもりだ。しっかりと楽しませるんだぞ」

「おまかせくださいっ!」


 その手に五段に重ねたアイスを持ったグラムは、ご満悦の様子だ。


「クエストが終わって、急いで見に来たんだよ。一緒に参加したかったなぁ」

「まったくだよな」


 隣りのローランと金糸雀も、席に着いて開会を待っている。

 サマラには観客席もしっかりと用意されており、いよいよスポーツ観戦のような光景が広がっている。


「ごめん、ちょっといい?」


 そんな中、レンは席後方にある木の下で腕組みをしている二人組の元へ。


「目立ってるんだけど。普通に観戦しなさいよ」


 黒づくめ装備のスキアとクルデリスは、まるで監視対象を追う組織のようだ。

 しかし完璧に浮いてしまっているので、まったく隠れられていない。


「陽の当たる世界を生きる者たちの、邪魔はできないからな」

「んっふふ、そういうことだね」

「意外とこういう催しものに、出てくるタイプだったのね」

「共に闇に生きる者が、表の大きな舞台に出てくると分かれば見逃す手はあるまい」


 相変わらずの二人には、レンも苦笑い。

 一方コートを囲むように作られた観客席でも、各所で会話が盛り上がっている。


「なんでこんなところに、デカい鳩が……?」


 その一角、トレーナーの姿が見られないモンスターの姿が一体。

 周りのプレイヤーたちが不思議そうにしていると、そこにやって来たのはまたも、瓜二つのモンスター。

 スライム二匹に鳩のモンスターという状況を見て、スターダスト団員がバグか何かかと首を傾げる。


「何とか見つけてきたぽよ!」

「すみません、別の鳩を追っていました!」


 どうやらスライムが、迷子を連れてやって来たようだ。

 不思議そうに、声をかける団員。


「もしかして……参加者の方ですか?」

「そっちはスライムぽよ」

「こっちもスライムだろ」


 笑い出す掲示板組に、団員はいよいよ首をひねり出す。

 迫る開始時間。

 徐々に参加者がコート内に集まり、見学者たちは観客席に移動し始めた。


「ツバメさん、お久しぶりでございますな」

「なーにゃさん」


 ツバメの姿を見つけてやって来たのは、小柄な桃色の髪をした小柄なドール使い。


「青銅製の自動人形で、タロースという魔物がいたのでございますよ。これは放っておけないと、遅ればせながら参加したのです」

「カッコいいモンスターですね」


 そのモンスターは青銅製の天使といった雰囲気で、ドール好きのなーにゃにもってこいだ。

 興奮気味に語るなーにゃに、観客席のシオールとローチェが手を振っている。


「――階級が分かれてるのは良い」

「本当だねっ」


 さらにマリーカと、バニー・ラビッツもメイを見つけてやって来た。

 見れば観客席には、彼女たちの仲間であるアルトリッテや、アーリィの姿もある。


「ほ、本当にお祭り状態ですね……っ」


 トップたちの共演に盛り上がる観客席と、ビビってしまうまもり。

 さらにそこへ、見覚えのあるプレイヤーがやって来た。


「うぇひひ、グランダリア以来でありますな」

「大熊猫ちゃん!」


 通りかかったのは、白黒のモコモコした耳付きパーカに、黒のタイツと白ブーツというパンダ装備の少女。

 連れのカンフーパンダ、モノクロもすっかり注目の的だ。


「トカゲちゃんは、もっと強くなったでありますか?」

「もちろんですっ!」

「うぇひひ、それは良き。ぜひとも手合わせ願いたいでありますな」


 ちょっとテンションの上がっている大熊猫は、相棒のモノクロと共に片足上げのカンフーっぽいポーズ。

 すると見様見真似で、メイとリザードも謎のポーズで返す。


「「「かわいいーっ!」」」


 どうやら大熊猫も知られたプレイヤーらしく、付近の女性陣から歓声が上がる。さらに。


「おいあれ見ろよ! レギアーラだ!」

「クローナだ! クローナが来たぞ!」


 巻き起こる、大きな歓声。

 神々しさすら感じる竜種のモンスターを連れたクローナは早くも人気で、人だかりができている。

 それでも彼女はクールに、伝説級のモンスターを連れて進む。


「……あれが噂のクローナとレギアーラか。どうだ? 止められそうか?」

「さあ、どうかな」

「止めてもらわなくちゃ困る」


 クローナを見ながら、観客席で怪しい雰囲気を出す男たち。


「スポーツ漫画の強豪校ごっこやめろ」

「あはは、偵察に来てるやつな」


 冷静なツッコミを入れられる男たち。

 さらに彼らの前を、通り過ぎる妖しいマントの男。


「くっくっく、さあ行こうか。あまり暴れすぎるなよ? モンスターたちを壊してしまってはいけないからな」


 長いマントを揺らし、銀の髪をたなびかせるそのプレイヤー。


「初心者階級は向こうでーす! 無差別級はこちらになっていまーす!」


 只者のとは思えない余裕の笑みを浮かべながら、言われた通り初心者階級の方へ向かう。


「ふふっ、本当にお祭りみたいな感じね」

「本当だねっ」


 そんな雰囲気あり過ぎな初心者を見て、笑うレンとメイ。


「あっ、実はバイセルで、こんなものを見つけまして……」


 そう言ってまもりが取り出したのは、一枚の【赤いスカーフ】


「おおっ!」


 すでに高騰している、モンスター用のアクセサリー。

 その中から、シンプルなものを見つけてきたようだ。

 さっそくリザードに装備させると、首に巻いたスカーフがよく映える。


「いいじゃない!」

「これは良いアイコンになりましたね」

「良かったね! りーちゃん!」


 気に入ったのか、あれこれポーズを取ってみせるリザード。

 早くも会場は、楽しい笑い声にあふれている。

 すっかりご機嫌になったリザードを連れたメイたちは、そのまま会場を進み、スターダスト団の面々と合流。

 バトルフィールドの中心に作られた、舞台に上がった。

 すると自然に、視線がメイたちに向けられる。


「さあ、お待たせいたしました! いよいよ開催時刻となりました!」


 スターダスト団のリーダーであるキャインが、アナウンスを開始する。

 団員たちは姿勢を正し、開会宣言を待つ。


「皆様の育てたモンスターを、ここで思う存分活躍させてくださいっ! それでは――――!」


 ここでキャインが、メイにパス。


「モンスター・ワールドグランプリ! スタートですっ!」

「「「「おおおおおおおおおお――――っ!」」」」


 一斉に打ち上がる花火。

 大きな歓声と共に、モンスター・ワールドグランプリが始まった。

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