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1264/1385

1264.デモンストレーション、再び

「それでは、始めましょうか」


 場所は王都ロマリアの中心街。

 白色のレザージャケットに、細身のパンツ、そして目の覚めるようなオレンジのキャップをかぶった十人ほどのチーム。

 スターダスト団が現れれば、その異様は当然目に留まる。


「なんだなんだ?」

「モンスターバトルのイベント告知だな!」


 さっそく足を止め、様子をうかがう通行人たち。


「皆さん、我らスターダスト団は世界のモンスターたちとトレーナーの絆を競う、モンスター・ワールドグランプリを開催しています! まだの方はこぞってご参加ください! 様々な参加賞も用意しております!」


 リーダーのキャインがオレンジ色の拡声器で宣伝すると、団員の青年が魔法陣から呼び出すモンスター。


「おおっ!!」

「トライオンか! 迫力あるな!」


 現れたのは、立派なたてがみに虎の模様を持つ、大型のネコ科モンスター。


「さあトライオン、皆に挨拶を――」


 スターダスト団の青年はトライオンを促すが、あがったのは獰猛な咆哮。


「うわああああああ――――っ!?」


 ご機嫌斜めなトライオンは、そのままスターダスト団の青年に強烈なタックルを決めた。

 ロマリアの町に、駆け出す緊張。

 トライオンは、見た目に違わぬ強さを持つ。

 ここで暴れ出したりすれば、通行人たちに被害が出ることは確実だろう。


「頼む! トライオンを止めてくれ!」


 転がった青年を見た別の団員は、大慌てで自分のモンスターを呼び出した。

 現れたのは、常に静電気バリバリ状態の、狐のようなモンスター。

 サンダーフォックスは慌てる団員を見て、プイッとそっぽを向いた。


「おおおおおおーい!」


 なんとこちらも命令の不履行。

 さらに現場の緊張が高まる中、聞こえてきたのは軽快な足音。


「失礼しますっ! 【ラビットジャンプ】【アクロバット】!」


 危機の中心に、華麗な跳躍で飛び込んできたのはメイ。

 するとトライオンは、その目をメイに向けて唸り出す。


「一緒に、戦ってくれる?」


 メイが問いかけると、サンダーフォックスは一転メイの隣へ駆け寄った。

 そしてバチバチと、雷光を輝かせ始める。

 するとそれを見たトライオンは、猛然と走り出す。

 叩きつけに来る【爪撃】は、派手なエフェクトと共にサンダーフォックスを斬りつぶす一撃だ。


「右に避けてっ!」


 しかしメイの指示が早い。

 振り上げた前足を見た瞬間の声で、サンダーフォックスは言われたように右に跳ぶ。


「反撃だ―っ! 【雷撃】!」


 メイが続けて指示を出すと、サンダーフォックスが威嚇の鳴き声を上げた。

 空中を、一直線に駆ける雷撃。

 トライオンは必死の飛び退きでかわし、体勢を立て直すのと同時に、高速移動で距離を詰めてきた。

 そしてそのまま、低空の長い跳躍から【喰らいつき】を放つ。


「キツネちゃん! 伏せてっ!」


 サンダーフォックスも四足歩行型ゆえに、身を低くする速度が早い。

 一瞬で伏せたキツネの上部を、飛び越えていくトライオン。

 両者は、同時に振り返る。

 先行したのは、トライオン。

 煌々と赤熱する爪を地面にたたきつけると、火花が付近に舞い散った。

 パチパチと音を鳴らして、上がった火花の量は思わず見とれてしまうほど。しかし。

 この後、爆発することは間違いない。


「キツネちゃん、ごーっ! 【ライジン】!」


 メイの選択は、防御ではなく勝負。

 トライオンを指差すと、サンダーフォックスは一直線に高速疾走。

 稲光を残す高速の特攻で敵の後方に駆け抜けると、遅れてバリバリとまばゆい輝きが巻き起こりダメージ。

 直後、トライオンの残した火花が盛大に爆発を巻き起こした。

 もちろん、サンダーフォックスにダメージはなし。

 一方強烈な一撃を見舞われたトライオンは、魔法陣に逃げ帰って行く。

 これで見事、お仕置き完了だ。


「おおーっ! すげええええーっ!!」

「さすがメイちゃん、生で見ると迫力が違うな!」

「モンスターバトル、面白いじゃねえか!」


 メイの見事な指示で、見事な勝利を飾ってみせたサンダーフォックス。

 小型のモンスターで、大型のモンスターに勝利。

 さらにサンダーフォックスがメイの腕に飛び込めば、パートナーとの共闘の雰囲気が盛り上がる。


「いいなぁ、こういうの」


 自然と上がる羨望の言葉。

 一方、トライオンに続けてサンダーフォックスにまでそっぽを向かれたスターダスト団の面々は、肩を落とす。


「おいおい、しっかりしろよぉ!」

「あははは! スターダスト団、動物値低いんじゃね?」


 野次が飛べば、笑いも起きる。

 先ほどの緊張感はもうすっかり、なくなっていた。


「お恥ずかしいところをお見せしました。メイさんの登場で助かってしまいました! 当日はこのような熱い戦いが行われますので、皆さんもぜひご参加を!」

「よろしくお願いしますっ!」


 キャインの言葉に、メイもピョンピョンと飛び跳ねながらの宣伝。

 自然と拍手がわき起こる。


「俺、せっかくだしサンダーフォックス捕まえに行ってみようかな」

「今の見ちゃったら、欲しくなるよなぁ」


 メイとの連携を見て、さっそく憧れるプレイヤーたち。


「メイさん、今回もありがとうございました!」

「いえいえっ!」


 良い感じでオチがついたところで、スターダスト団が撤収を始める。


「ほら、帰るよ」


 団員に言われて、サンダーフォックスが渋々メイから離れる。


「ステータス数値から想定される戦力より、やはりメイさんの指示を受けた場合の方が強いですね」

「動物値も圧倒的に高いし、状況を見ての指示が早いからね。ここが遅れちゃうと、結構不利なんだよ」


 そんなことを話しながら、スターダスト団の面々は去っていく。

 派手に登場して、起こる予想外のピンチ。

 登場したメイの、見事な収拾劇。

 今日のプロモーションも、メイが中心になることでバッチリ決まった。

 すでに盛り上がっているモンスター・ワールドグランプリが、さらに人を集めることになりそうだ。

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樹氷の魔女のカラス、練習の時はきちんと中二病ワード話すのに、本番の時は使途長への愛など激甘な言葉を連呼して、別の意味での黒歴史暴露しまくったりして。
クイズ行きますね。 一方通行の道を、タクシーの運転手が逆走して走っています。車は避けているものの、通りかかったパトカーから注意されることもありません。それは一体なぜなのでしょうか?
団員B「サンダーフォックスのやつ、お芝居だって教えたのにあれ以来メイちゃんたちの活躍や噂を聞くと、命令そっちのけで教えろってせがむようになっちゃったんだ」 団員A「そりゃおまえ、名前付けて可愛がらない…
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