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1247.報酬の時間です!

「や、やっぱり少し距離があるので、時間かかってますね」

「そうみたいだねぇ」


 いつもの港町ラフテリアに、やって来たメイたち。

 三人は、ツバメの到着を待っていた。


「でも、やっぱりこの町は良いわね」


 陽光まぶしいラフテリアは、夏のように影が濃い。

 白色の建物と海の青が、目にも気持ち良いこの町。

 最近できたアイスの店は好評で、『メイのいる街』ということもあってか、フルーツの味の物が多い。

 もちろん、まもりはすでにチェック済みだ。


「……ん?」


 三人並んで堤防に腰かけていると、メイが異変に気づく。

 最近よく聞いていた、飛行艇特有の飛行音が聞こえてきたからだ。

 顔を上げると、そこには一機の見慣れた飛行艇。


「来たよ! セフィロト丸だ!」


 立ち上がって指を差す。

 すると美しい緑の翼やフラップを持つ一機の飛行艇が、ゆっくりと海岸沿いのメイたちの前に。

 陽光の街特有の、濃い影が差す。

 巻き起こる風が、街を吹き抜けていく。


「「「おお……」」」


 その光景に、思わず足を止めて嘆息する通行人たち。

 やはり実物の飛行艇を目の前にすると、その迫力に圧倒されるようだ。


「セフィロト丸・リヴァイブだ!」

「改修機きたぁぁぁぁ!」


 半壊からの復活、そして強化という動画を見たプレイヤーは、思わず実物を見て歓声を上げる。


「乗り出しても良いという事だったので、今日はウィンディアの基地から借りてきてしまいました」


 甲板にやって来たツバメが、そう言ってほほ笑む。


「意外ねぇ。ダブルフロートなんてシステムを積んでるから、火力が高すぎることを理由に封印みたいな展開を想像していたんだけど」

「は、はひっ。私もです」


 ブライト王国の危機を救った伝説の機体として、どこかに封印される流れを予想していたレンだが、どうやら通常使用は問題ないようだ。


「その辺りは、少しワクワクする形になっています」

「そうなの?」

「自由に使ってもいいですが、ダブルフロートは封じてあるという形ですね。いざという時にだけ、再起動が承認されるということでした」

「ふふっ、確かにワクワクするわね」

「カッコいいかも!」

「せっかくなので今日は、セフィロト丸・リヴァイブで報酬の受け取りに向かいましょう」

「りょうかいですっ!」

「いいわね!」

「はひっ!」


 こうしてセフィロト丸に乗り込んだ三人は、そのまま甲板へ。


「それではウィンディア三号艇セフィロト丸・リヴァイブ。ツバメ――――発進します!」


 そのまま四人は、多くのプレイヤーに見送られる形で、ウィンディアの秘密基地へと向けて飛び立った。


「おおおおーっ!」

「すっげえ! 速いなぁーっ!」


 あっという間に、青空に消えていくセフィロト丸。

 その光景に、ラフテリアのプレイヤーたちは目を奪われるのだった。

 ツバメは真っすぐに進み、ブライト王国の端にあるウィンディアの秘密基地へ。

 そしていつも通り、滝の下を通って内部へと入り込む。

 飛行艇を留めると、そこにはイスカとエアが待っていた。


「待っていたよ。実はブライト王国との連携ができたことで、色々と融通されることになってね」


 見れば基地内には、部品や道具等の在庫が増えている。


「それに加えて、王国を守ったことでいくつかの報酬も出ているんだ。その中には冒険者である君たち向けの物もあってね」

「おーい! ブライトからもらった報酬品を持って来てーっ!」


 イスカがそう言うと、クルーたちが木製の箱を持ってやって来た。


「これはブライト王国だけではなく、ウィンディアも守った君たちの物だ」

「ウィンディアの誇る、ダブルフロートを操る最高のエースとして、何かあった時には頼むよ!」

「はいっ!」


 応えると、四人の前に並ぶ宝の箱。


「何が入ってるかなーっ」


 ブライトからの褒賞を、メイはさっそく開けてみる。



【群れ狩りⅢ】:召喚獣を二体呼び出し、一緒に戦うことが可能になる。



「増幅のルーンで三体、友達バングルで四体と一緒に、メイも動けるわけね」

「きょ、巨獣たちとメイさんが同時に迫ってくると考えると、大迫力です……っ!」

「連携とか同時攻撃も、できるのかなぁ」


 仁王立ちのメイの背後に並ぶ召喚獣を想像して、思わずワクワクしてしまう。

 次はそんなまもりが、宝箱を開く。



【錬金の盾】:大きくしたり、厚くしたりできる可変型の盾。



「大きさや厚さを変える。オブジェクト的に設置したり、【腕力】に任せて振り回したりするのも面白そうですね」

「盾の後ろから、突然クマの召喚が飛び出してきた! なんてこともできるのかな!」

「ちょっと面白そうな装備品ね。それじゃあ、次は私が」



【インフェルノ】:マグマのごとき超高熱火炎弾。爆発して広範囲を焼き尽くす。



「シンプルに高い火力を持つ、火炎系魔法ってところかしら」

「か、火炎系では最上位級でしょうか。炸裂して広がるというは良さそうですね」

「次は、ツバメちゃんだね」


 メイに言われるまま、ツバメも宝箱に手を伸ばす。



【斬り捨て】:魔法攻撃などを斬り払う剣撃。スキル攻撃に無形攻撃を斬る効果を乗せる。



「ある程度範囲の狭い魔法とかは斬れる防御の剣撃。ブレスとか場に残るものだと厳しい感じかしら」

「どこまで斬れるかを試すのが楽しみです。タイミングが難しくて、真剣白刃取りの失敗みたいなことになるのも良いですね」


 そう言ってツバメが、【村雨】を振り払う。


「また、つまらぬものを斬ってしまいました」

「喰らってるわよ」

「あははははっ」

「じょ、状況が想像できるようですっ」


 なぜか失敗した時のことを想像して、楽しそうにする四人。

 報酬の確認は、これで終了だ。

 メイたちはそのまま基地のデスクで、これからの流れを確認する。


「まだ少しイベントには時間があるし、のんびり飛行艇で向かうのもいいかもね」

「いいと思いますっ!」

「はひっ」

「開催地である『サラマ』までのルートはもう分かっているので、ゆっくり進みましょう」

「イベント、楽しみだなぁ」

「ふふ、メイは今回も結構大役を受けてるのに、いつも楽しそうね」

「えへへ、皆と一緒に外でお泊りしてなんて、なかなかないからね!」


 うれしそうに笑うメイ。

 今回はイベントへの参加ということもあり、四人同じ場所に泊りでの参加だ。


「それでは、向かいましょうっ!」

「そうしましょうか」

「はひっ」

「では、サラマに向かって発進します」


 さっそくセフィロト丸に乗り込む四人。

 今回は、運営主催の大型イベント。

 メイたちは、ウィンディアの面々に手を振りながら発進。

 ワクワクしながら、基地を出て行くのだった。

 もちろん、すでに告知がされているこのイベント。

 メイたちが向かうサラマの街には、すでにたくさんの参加者が待ち受けている。

 どうやら今回も、大きく盛り上がることになりそうだ。

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― 新着の感想 ―
クイズは正解ですね、瞬殺でしたね。 冷蔵庫の中に入れとけば凍らずに保存しておけますよ、と売り込むですね、寒いため凍らせるのは簡単ですけど、解凍するのは大変ですからね。
今回も島田検定から出しますね、うろ覚えながらですが。 ある国の家電メーカーが世界一寒い国で冷蔵庫を売ることになった、寒いため天然の冷凍庫状態の国で、どうやって売ったら良いだろうか?
狐耳の幻影スキルも使ったら召喚獣のかずもふえるのかな。
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