1222.二対二
「【ソードバッシュ】!」
「くっ! 【グレートジャンプ】!」
メイの放つ【ソードバッシュ】が飛行艇を揺らし、また一機煙を吹きながら降下していく。
「ディアナ!」
そしてナギが逃げついた先には、戦いの最中にあったディアナがいた。
「野生の王、マジ野生だぞ」
「どーいう意味っスかね、それ」
苦笑いのナギに、息をつくディアナ。
「野生児ではございませーん!」
そして同じ船に、メイも大きな跳躍でやって来た。
「レンちゃん、大丈夫?」
「毒の減りが、そこそこ効いているわね」
レンはディアナに受けた猛毒の効果で、余裕はない状況だ。
「飛行艇ごとドーンって攻撃、すごかったね!」
一方メイは、まだまだ元気な状態。
白夜が仕掛けた飛行艇突撃の豪快さに、興奮気味だ。
そんな四人は、自然と向かい合う。
「いくぞ、ディアナ」
「オッケー」
「さあ勝負だ、野生の帝王!」
「敗けねーっスよ、闇の支配者!」
「そんなに偉くありませんっ!」
「なんかランクを上げないで!」
「【クイックステップ】【ノーザンクロス】!」
十字の刃から三方向に伸びる光が、火力と範囲を大きく上げる。
放たれた高速突進突きは、前方はもちろん左右に伸びた光の刃部分も範囲あり。
メイとレンは、慌てて地面を転がって攻撃を回避する。
「【轟散雷】!」
すぐさま放つナギの攻撃は、一定の範囲に大量の雷を落とすもの。
これをメイとレンは、必死に上方を見ながら回避する。
そして視線が上を向けば、当然戦いは防戦に傾く。
「【スピリット・キングウォーウルフ】!」
そこに飛び込んでくるのは、巨大な狼の霊。
大きな飛び掛かりからの【喰らいつき】を、レンは必死の飛び込みで回避。
「【降雷】!」
ここでナギが援護して、レンに甲板を転がらせたところで――。
「さすがにその体勢なら喰らうっスよねぇ! 【呪縛霊】!」
ディアナが手を振り下ろすと、レンの足元から突き上がる霊の輝き。
それは敵にぶつけると、一時的に金縛りを起こすというものだ。
「なっ!?」
甲板に生まれる白い輝きが、レンを絡めとる。
文字通り、その場での硬直を強制したその瞬間。
「【グレートジャンプ】!」
すかさずナギが跳び上がる。
「【急速落下】【サザンクロス】!」
落下から放つ一撃は、回避が間に合いそうにない。
「レンちゃんっ! 失礼します! 【アクロバット】!」
「ええっ!?」
なんとメイはレンを後ろから抱きしめて、そのままバク宙。
【サザンクロス】から、レンを守ってみせた。
「ありがとう! 一瞬バックドロップされるのかと思ったわ!」
笑ってレンは、ここで思いつきを二つ企図。
「どうせめちゃくちゃな戦いになるんだったら! メイ、お願いっ!」
「りょうかいですっ! 【ゴリラアーム】」
レンの言葉に応えて、メイはそのままその場でグルグル回転。
「せーのっ! それええええええ――――っ!」
レンを、ナギに向けて投擲した。
「はあああっ!? なんだよそれええええ――っ!?」
まさかの事態に回避が遅れ、レンはナギに激突して転がった。
慌てて立ち上がる二人、ナギはレンに向けて槍を構えるが――。
「ルーン発動!」
「うっおおおおおお――っ!?」
これが一つ目の企図。
【燃焼のルーン】が発動して、身体が大きく燃え上がる。
「【スピリット・イーグル】!」
ここでディアナは、メイの足止めに入る。
「っ!」
真上から落ちてくる鷲霊の効果を、メイは跳び下がって回避した。
「【スピリット・ファルコン】!」
続けて、正面から迫る高速の隼霊をかわす。
「【背後霊】!」
最後は音もない、後方からの攻撃。
上、正面、後ろという攻撃順は、最後に後方から来る一撃のために注意を引く流れだ。
「うわっとぉ!」
これにはメイも、背中を打たれて転がった。
「ここしかないッスよねぇ! 【スピリット・ホーク】――――【大狼降霊】!」
この隙を利用して、まずは鷹の霊を呼び出し滞空させた。
それから、神々しい狼の霊を自身に憑依させる。
「さあさあさあ、いくっスよー!」
凄まじい勢いで接近し、放つ掌の振り降ろしには、大きな爪の斬撃エフェクトが宿る。
続く振り上げは、足元に大きな傷跡を残すほど。
メイはなんと、この二つの攻撃を『爪の隙間に入る』ような形で回避した。
そこから迫る高速の飛び掛かりをしゃがんでやり過ごすと、ディアナはローリングでこちらに向き直り、低空の跳躍で接近。
右爪の振り払い、返す左爪の振り払いという連続攻撃を放つ。
「【アクロバット】からの【アクロバット】!」
二度の速いバク転でこれを回避すると、今度はメイの頭に向けて、猛獣のように跳躍してくるディアナ。
大きく開いた両手を強く叩いて鳴らすと、左右から生まれる爪のエフェクトがメイを切り裂きに来る。
「【装備変更】!」
メイは【狼耳】にしながら後方へ飛び込み、そのままローリングでヒザ立ちの体勢を作り出す。
一連の流れを完全に回避し切った、メイは見事。
しかしここに先んじて出しておいた【スピリット・ホーク】が、突撃してくる。
「わわっとー!」
メイは防御を強いられることになった。
「マジっスか……!?」
これだけの攻撃を重ねて、不意の鷹霊の一撃を防御させただけ。
これには驚愕するディアナだが、彼女に落ち度はなし。
とても見事な攻撃で、たとえトップの前衛でも高いダメージを受けることは必須だろう。ただ。
メイはこれまでの体験から、獣人系の動きがどういう攻撃になるか、大体予想がついてしまっていた。
「【雷槍一旋】!」
「くっ!」
一方ナギは身を焼く炎が落ち着くのと同時に、通常槍の方を前にした高火力の斬り抜け攻撃を放つ。
大きな振り払いで放った一撃をレンは即座に防御するが、直後に大きな弧型の斬撃エフェクトが続く。
「ああっ!」
二連撃を共に防御しようとすると初撃で大きく弾かれ、二撃目を防ぐことが難しくなる。
体勢を崩したレンは直撃こそ免れたが、肩口を斬られて転がった。
「【グレートジャンプ】【急速落下】!」
ここでナギは、一気に高く跳躍。
「【スーパーノヴァ】!」
「うわわわわっ!?」
「きゃあっ!」
その一撃は、飛行艇を貫くほどの魔力の刃を突き出し、盛大に爆発。
崩壊寸前まで追い込む一撃となった。
レンはさらに転がり、メイも余波に体勢を崩す。
「こいつで決めるぜーっ! 【クイックステップ】【雷槍月穿】!」
駆け出すナギは、通常槍から出る長いエネルギーの刃を突き刺す一撃で、レンを狙う。
「お願いしてもいい?」
「もちろんですっ!」
視線は合っていなかったが、レンの言葉をメイの耳は聞き逃さない。
ここで、二つ目の企図。
「ルーン、発動!」
抱きしめられた時に施した【入替のルーン】を使用。
メイとレンの位置が入れ替わり、突き出された必殺の光刃を身体の傾け一つでかわしたメイは、大きく息を吸う。
「がおおおおおお――――っ!!」
すれ違っていく光刃を避けながらのカウンター【雄叫び】
「っ!?」
ナギはその場に強制硬直。
「……誰よりすごい、闇のパワー。暗い光と共に爆発せよ!」
「【ダークフレア】!」
「嘘、だろ!?」
集まる黒の粒子が、一点に収縮。
直後、紫色の豪炎を巻き起こした。
この一撃でHPが全損したナギが、倒れ伏す。
「ええっ!? マジっスか!?」
思わず叫んだディアナに、振り返りと同時に駆け出すのは、詠唱を経てご満悦のメイ。
「【裸足の女神】!」
超加速での接近に、ディアナは思わず引きつるが――。
「間に合った! 【守護霊】!」
それはそれで、防御スキルの使用が早すぎた。
非常に高い防御を誇る【守護霊】だが、それを見たメイは合わせて狙いを変更。
「【装備変更】! 【ダイナブラスト】――――っ!!」
野生味と原始感が過ぎる大骨。
【ダイナボーン】を、ディアナに全力で叩き込む。
「防御……無視っスかぁぁぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」
ディアナは吹き飛び甲板から縁にぶつかり大きく跳ね上がると、数十メートル先の飛行艇の甲板に落ちてバウンド。
その船尾に当たって、消えた。
「流れが変わってしまいましたわね。ここで勝負に出なくては!」
ナギとディアナの敗北に気づいた白夜は、大きく動き出す。
「このまま一気に、船を落とさせてもらいますわ!」
ラグナリオンを駆り、一気にセフィロト丸を攻撃する。
「貴方の盾でも、さすがに船のお腹にぶつける攻撃には対応できないでしょう? 【ライトニングスラスト】【極光乱舞】!」
下方からの特攻でレイピアを突き刺した後、爆破と共に舞う燐光。
おとずれた危機に、反応したのはメイ。
「――――よろしくお願いいたします!」
呼び出されたケツァールが、魔法陣を割るようにして現れた。
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