表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1215/1377

1215.目指せ第二の中継点

 ナギたちの飛空艇を先頭に、真後ろにセフィロト丸。

 遅れてジャルル、白夜、そして並ぶイスカと兵長。

 そんな並びで、一つ目の中継点を駆け抜けた飛行艇レース。


「いい勝負ですね」


 ツバメは舵を取りながら、現状を顧みる。


「ワクワクだよーっ!」


 メイはプロペラの柱に飛びついて、状況を確認。

 すると、前方から迫り来る黒い何かに気づいた。


「鳥の群れかな?」


 メイの予想は正解。

 カラスほどの大きさの鳥の群れが、一斉にこちらに向かって飛んでくる。

 そしてそのまま先頭のナギたちに狙いをつけ、攻撃を開始。


「うおおっ!? なんだこいつら!?」

「ナギは動かないで! 【霊光砲】!」


 魔物への対応は、ディアナが担当。

 伸ばした手から放たれた霊力が爆発し、舵付近を飛び回っている『刃カラス』を吹き飛ばす。

 すると一斉に『刃カラス』が、ディアナに狙いを変更。

 同時に飛び掛かっていく。


「【霊障】!」


 自分中心に衝撃を巻き起こすスキルで、さらに数を減らす。

 生き残った個体も、くらうと何かしらの状態異常に罹患するスキルによって痙攣、または毒によってとどめを刺された。

 そんな中、ディアナの死角にいた一匹の個体がナギを攻撃。

 シンプルな突撃が、腹部にヒットする。


「うおおっ!?」


 その勢いは思った以上で、ナギはその場に転倒。

 口にしていたスティック菓子を噴き出すのと同時に、ペダルが足から離れ、飛行が慣性によるものになる。

 それによって前に出たのは、メイたちのセフィロト丸。

 そこにやってくるのは、刃カラスたちのボスとなる巨鳥だ。


「【フリーズストライク】!」


 レンはすぐさま、氷砲弾で先制を仕掛ける。

『大刃カラス』が翼を広げて放つのは、【暴烈風】


「「「「っ!?」」」」


 吹き荒れる風は氷砲弾を大きく反らし、甲板を駆け抜ける。

 その凄まじい勢いにレンが跳ね転がり、そのまま甲板から放り出された。


「レンさんっ!」

「まもり!」


 その手を捕まえたのはまもり。

 体勢自体は安定していることを、うなずき一つで通達する。


「【バンビステップ】」


 それを見たメイは、大刃カラスの打倒を優先。

 連続で放たれる【烈風弾】を、かわしながら接近して跳躍。


「【ラビットジャンプ】! からの【フルスイング】だああああ――――っ!」


 強烈な剣の叩きつけで、大刃カラスを一撃で粒子に変えた。


「ツバメちゃん! あっちをお願いしますっ!」

「はいっ! 【連続投擲】!」


 ここで突如として飛んできた、大型の炎弾。

 ツバメは【風ブレード】を使用して弾き飛ばした。

 メイの早い気づきによる危機の回避に成功したが、ツバメが一時的に離れたことで速度が下がる。


「先行すれば、当然魔物に狙われる。とにかくトップを駆ければいいというわけではないのですね」


 本来一番速いジャルルが中列にいるのは、これを見越してだったのだろう。


「ですが!」


 しかし白夜は、ここでナギやメイたちに並んでいく。

 どうやら賢く中列にいるよりも、レンたちとの勝負に参加したい欲が勝ってしまったようだ。

 そしてそんな白夜の思いに、クエストが応える。

 横から回り込むようにしてこちらに追従してきたのは、四枚羽のラージワイバーン。

 先ほどの炎弾を放ったのは、この飛竜だ。

 正面からではなく、横から寄せてくるような飛行で距離を詰めると、突撃を仕掛けにくる。


「ここだ」


 ジャルルはここで、高速飛行を開始。

 なんと船の側面を軽くラージワイバーンに擦るように飛ぶことで、体当たりを止めてみせた。


「手助けしながら先に行く。やりますわね!」


 戦いを任せていく形だが、手助けはする。

 そんな小賢しいやり方に、笑う白夜。


「貴方! 船はこのまま最高速で、ラージワイバーンの左後方に並ぶ形で直進してください!」


 ここで飛行艇をラージワイバーンに寄せた白夜は、船員NPCに運転を任せて甲板を走り出す。


「【エンジェライズ】!」


 小さな翼を生やし、大きなストライドで加速。

 そのまま甲板から飛び出した。


「マジかよっ!!」

「うわ、ヤバッ!」


 それを見て、思わずナギとディアナが声を上げた。


「【ライトニングスラスト】!」


 放つのは、空中からでも使用可能な高速飛行突き。

 一直線に飛んだ白夜のレイピアが、そのままラージワイバーンの左肩口に突き刺さった。


「【極光乱舞】!」


 直後、爆破と共に舞う燐光。

 この一撃にラージワイバーンは、大きく体勢を崩した。


「やるわね!」

「かっこいいー!」


 爆発に任せて後方へ跳んだ白夜はなんと、近くにいたメイたちのセフィロト丸に着地。


「なかなかのものでしょう?」

「ふふっ。その決め顔がなければ、もっと良かったと思うけど」


 四人に満面の決め顔とポーズを見せた白夜は「失礼いたしました」と言って走り出し、再び【エンジェライズ】で自らの飛行艇に帰還。

 すぐさま運転を代わり、一気に前へ出る。

 敵船に挨拶して帰って行くという破天荒な動きに、メイは拍手で盛り上がる。


「普段驚かされてばかりのメイさんに喜ばれるのは、ちょっと嬉しいものですわね」


 笑う白夜の一撃で大きく失速したラージワイバーンは後、飛行艇の一団の遥か下方で体勢を立て直し再上昇。

 メイたちの飛行艇の前で、反転してみせた。


「ブレスだよっ!」


 しかしこの状況でも、メイはその意識をしっかり敵のモーションに向けている。

 ラージワイバーンは、その口に煌々と輝く炎を溜めて滞空。

 爆発的な火炎が、付近一帯に広がっていく。しかし。


「【シンバル】!」


 メイが先行して危機を伝えていたため、問題はなし。

 まもりが二枚の盾で起こした衝撃波が、炎を霧散させた。


「うおおっ!? さっすがだな!」

「白夜ちゃんも、メイちゃんたちも、本当にヤバいんスけど!」


 白夜の空を空と思わない戦い方に、巨大な炎を吹き飛ばすまもり。

 驚きに目を見開くナギたちだが、やっかいなワイバーンにはここで追撃を入れておきたい。


「【降雷】!」


 ナギは任意の地点に雷を落とすスキルで、ラージワイバーンを狙い撃ち。

 強烈な電撃で、再び大きく体勢を崩させた。


「【フリーズストライク】!」


 もちろんこの隙を、レンは逃さない。

 頭部に直撃した氷砲弾によって、ラージワイバーンはまたも墜落。


「「「「っ!?」」」」


 しかし、ここで不運。

 落下したラージワイバーンがセフィロト丸の舳先に当り、飛行軸が大きく下がった。


「わあっ!?」


 それによってポーンと、飛行艇後方から前方に投げ出される四人。


「くすくす。思わぬ形になりましたわね」


 シーソーみたいな反動で甲板に転がったメイたちに、思わず微笑む白夜。

 これによって減速したセフィロト丸は、わずかに遅れる形に。


「あははははっ」

「全員で転がるとは思わなかったわね」

「お、驚きました……っ!」


 予想外の形で転がって、笑う四人。

 これで白夜とジャルルが、先頭を形成することになった。

 さらに前方の戦いに絡まなかったイスカと兵長も、ほぼ真後ろまで詰めてきている。


「思ったよりいい勝負です……!」

「本当ね」


 今度は、そのまま逃げ去っていくワイバーン。

 いよいよ飛行艇レースは、混戦模様になってきた。


「二つ目の中継点、トップで通過ですわ!」


 二つ目の中継点を、先頭で通り抜けたのは白夜。

 そのままジャルル、ナギたちが続き、セフィロト丸は四番手で光の輪を抜けていく。

 そしてレースはいよいよ、最後の中継点を目指して過熱していく。

ご感想いただきました! ありがとうございます!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ちなみにクイズの他の人の解答で年齢確認について触れた人は誰もいませんでした、まあ年齢確認に関しては、水戸黄門はどう見ても二十歳をとっくに越えた御老人ですし、現在ではなく現代のコンビニですから、少し前の…
サラッとやってるけど、プロペラの柱に飛びつくのは結構サルっぽ……コアラみたいで可愛いね!! なるほど…敵方の船に乗っても問題ないなら、相手に直接攻撃さえ行わなければ、他はユルい判定っぽいですね。 …
これは敵味方モンスター荒れ狂う飛行艇4隻を足場に立体機動で戦う流れ…! そういやメイちゃんのゴリラアームで飛行艇を投げれるんだろか?w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ