表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1190/1385

1190.モナココ侵入!

「ワインレッドの帽子をかぶった男が、一部のハンターに地下通路の確認を促していました……まさかヤツが、組織の一員ですか!?」


 そう言って樹氷の魔女は、早くも『謎の組織』を想像して盛り上がる。


「組織とかはないわね。そういうのは前回ので終わったの」

「ならばもっと巨大な陰謀が……!? まさかモナココの国家を揺るがす壮大な――」

「とにかく先に進みましょう」


 レンは興奮する樹氷の魔女の背を押しながら、地下通路を進む。


「まあ、普通にクリアすれば『背景なんてない』って分かってくれるでしょ」


 そんなことをつぶやきながら。

 ゴーレムを打倒し、プラネタリウムのような遺跡を発見。

 そしてハンターたちをやり過ごした後は、装飾のされた通路を進み、いよいよモナココの内部へと踏み込む五人。

 色付きのタイルで飾られた道は、ゴールが近いという事だろう。


「モナココの王家は、この遺跡の子孫なのかしら?」

「その可能性もありそうですね」


 そんなことを語りながらたどり着いたのは、またも魔法陣の部屋。

 五人が乗ると、光が広がり転移が始まった。


「ここはどこかな……?」


 移動先は、モナココの町の地下室。

 港街が南、カジノが中央、王家の居住区画が北という形で配置されているモナココ王国。

 地下室は、そのカジノ寄りの位置といえる。

 美しく洒落た街並みの中にも、地下通路へ移動するための専用地下室が、いくつか用意されているようだ。

 八畳ほどの地下室には、石造りの階段のみ。


「どこに出るかな……」


 人がいれば火の灯る魔法珠が、作り出す雰囲気。

 メイはドキドキしながら階段を上がり、階段最上にある天板を、そーっと持ち上げる。

 ひょこっと飛び出す耳、続けて顔を半分だけ出した状態で、付近を確認。


「マンホールから地下に向かった、首都ロマリアを思い出しますね」


 続いて横から顔を出したツバメと、うなずき合う。

 五人はそのまま路上に出て、辺りを確認。

 聞こえてきたのは、大砲と魔法が炸裂する音。


「すごい人の数。これだけの数の宝珠攻撃は厳しいわね……さすがに」


 さらにその後ろからレンが顔を出し、つぶやく。


「おそらくここからが勝負になるわ。ツバメは【金鶏のオムレツ】を食べておいて。で、貴方は装備を替えて」


「は、はいっ」


 樹氷の魔女は、言われるままに装備を変更。

 ツバメが【金鶏のオムレツ】を使い、スキルの効果時間を延長したところで、地上へ上がる。

 そして、カジノ目指して走り出す。


「そ、それにしてもバルディスさん、完璧な陽動ぶりですね」

「本当だねぇ」


 ほとんどのハンターが港の方に集まっており、その意識も海に向いている状況。

 人気の少ない空間を、五人はカジノに向けて小走りで進む。


「また船が沈んだぞ!」


 大きな爆発が、空に炎を上げる。

 この目立つエフェクトは、バルディスがかつて相棒だった船を撃沈したことで生まれたもの。


「メイちゃんたちの火力、ヤバすぎだろ……っ!」

「上陸しての戦いになりそうだ! 遠距離高火力攻撃に備えておいた方がいいな!」


 完全に、バルディスの操る船に意識を奪われているハンターたち。


「これが、使徒長のパーティのクエスト……」


 街にいるプレイヤーや兵士は、全て敵だろう。

 そんな中でカジノを目指すという展開に、樹氷の魔女もドキドキが止まらない。

 完全に裏をかく形で、五人はカジノが見えるところまで足を進めたが――。


「本当に来たぽよ……」

「はい、残って良かったですね」


 そこにやって来たのは、スライムと迷子の二人。


「さすがトップの一角。ローランの言ったとおりだったな」


 そしてその背後に続く、複数人の掲示板組。

 迷子ちゃんの迷子防止陣形を取ったまま、立ちふさがる。


「やっぱりクエストの後半には、強敵がいないと盛り上がらないわね」

「ドキドキしちゃうねっ」


 そう言いながら、思わず笑みがこぼれるメイとレン。


「は、はひっ」


 そしてこういう形で相対した以上、全力で楽しむのが掲示板組だ。

 メイが剣を取れば、自然とスライム迷子組も意気が上がる。


「指名手配犯、最強の野生児メイさんっ」

「野生児ではございませんっ!」

「大人しくここで、お縄につくぽよーっ!」

「ふふ、そう上手くいくかしら?」

「勝負です! 【スリップ・フット】!」


 機先を取ったのは迷子。

 ボクサーのようなフットワークで、一気に距離を詰める。

 先手をメイが取ったら、攻撃のチャンスすらなく死に戻る可能性が高い。

 よって必要なことは、先行して主導権を握ること。


「【ジェット・ナックル】」


 蒸気のエフェクトを放ちながら猛進し、放つ拳。


「はいっ!」


 メイはこれを、数センチ横を通り抜ける形で回避。


「【砲弾跳躍】ぽよーっ!」

「【アクロバット】!」


 迷子の攻撃中に距離を詰めていたスライムは、自らを砲弾に変えて突撃。

 これをメイは、側方回転跳びで回避する。


「【バンビステップ】!」


 着地と同時に、メイはスライムを追いかける。


「【フルスイング】だああああ――――っ!!」

「【弾力変化】ぽよっ!」

「わっはあああああ――――っ!」

「ぽっよおおおおお――――っ!」


 振り下ろした剣がバイーンと跳ねて、思わず大きくのけ反るメイ。

 スライムも叩きつけられた勢いで、ビヨンと大きく跳ねる。

 この隙に転回した迷子は、再び拳を引く。


「【スリップ・フット】!」


 そして正面から、メイに拳撃を連発。

 メイも見事な動きでこれを回避、距離を取るためにバックステップしたところで――。


「【ロックアーム】!」


 追撃は自身で追わず、金属製のガントレットをつけた岩の腕を地面から大きく伸ばし、叩きつける。

 これもメイは、続けざまのバックステップでかわすが――。


「【巨大化Ⅱ】【砲弾跳躍】ぽよ――っ!」


 迷子が自ら追わなかったのは、続く攻撃に巻き込まれないため。

 メイの回避際を狙った攻撃は、家のオブジェクトを一軒まるごと吹き飛ばすほどの火力と範囲を持つ。


「いけるぽよっ!」


 ジャンプでは到底、回避が間に合わない。

 そして真正面から迫るスライムに対して、メイが高速移動回避を使うにしても一度、横を向く必要がある。

 スライムは確信して、続く追撃の流れを考え始める。

【ラビットジャンプ】や左右へのダッシュでは間に合わないという感覚は、メイも同様。

 そのまま地面に手を突いた。


「【穴を掘る】っ!」

「っ!?」


 地面に生まれた穴に、メイはそのまま落下。

 直後、巨大化したスライムの砲弾が真上を通り過ぎた。


「そうきますか……っ!」

「さすが……メイさんぽよっ!」


 ひょこっと顔を出したメイの可愛さと意外性に、思わず互いを見合って笑うスライムと迷子。

 味方で一緒に戦っても、敵で戦っても楽しいのだから、やはりメイたちの後を追わない理由はない。


「【テンタクルブレード】!」

「【かばう】【クイックガード】【地壁の盾】盾盾盾盾盾盾盾――っ!」

「錬金術師……こんなスキルもあるのねっ!」


 八本の触手刃が一斉に伸び、切り裂くという変わり種の攻撃。

 距離は数メートルほどだが、強い誘導のかかった攻撃を、まもりは二枚の盾をフル回転させて防御。


「【フレアストライク】!」

「【テトラウォール】!」


 レンの即座の反撃に、掲示板組のプリーストは魔法障壁を張って錬金術師を守る。

 どうやら同行の掲示板組も、なかなか侮れないようだ。


「相手は最強の野生王様ぽよ、このまま攻めを継続するぽよーっ!」


 とにかく、守りに入ったら負け。

 スライムは、さらに攻めの姿勢を強調。


「野生王ではございませんよーっ!」


 そしてメイ、どんな状況でもそこは譲らない。

誤字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
メイちゃん「野生王ではございません!!」 スライムちゃん「王様じゃないなら帝王様ポヨ?」 迷子ちゃん「皇帝様でしょうか?」 メイちゃん「どちらも違いますーー! わたしはコーヒーと読書の似合う普通…
そういえば何気に迷子ちゃんと敵対は初では? スライムちゃんの前で穴を掘ったばかりに、認識が王へランクアップ! 折角だから、陸海空の王を召喚してあげようw
クイズのヒントは、一問目は普通に計算したあと足してみるのも手かも、二問目は絶対に二より少なくはならないかな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ