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1185/1376

1185.二体のゴーレム

 閉じ込められた岩場のホール。

 そこから現れたのは、高さ15メートルに届こうかという二体のゴーレム。

 その腹部に刻まれた魔法陣は、爆破までの制限時間のようだ。

 時間差であげた手から、生まれる輝きは【岩石落下】


「【バンビステップ】!」

「【スライディング】!」

「【地壁の盾】!」


 メイたちは、次々に落ちてくる岩に見事な対応を見せる。

 時間差は上手な連携。

 先に硬直を終えたゴーレムは、今だわずかに残る石雨の中を跳躍。

 そのまま【踏みつけ】に来た。

 メイとツバメは大きなバックステップでこれをかわす。

 念のため着地の瞬間にもジャンプすることで、『揺れ』による硬直もカバー。


「連携、なかなか上手ね」


 ここで二体目の硬直が解け、さらに攻撃を続けてくる。

 地面に手を突き、魔力の輝きを送り込めば起きるのは【クエイク】


「もう一回! せーのっ!」

「「「はいっ」」」


 メイのかけ言葉に、今度は全員でジャンプ。

【クエイク】は大きく一度揺れるスキルであり、喰らえば防御していても硬直を奪われる。

 だが継続時間自体は長くない。

 ここで戦闘中の全員ジャンプが結構好きなレンが、ゴーレムを呼んだパーティの方が皆してすっ転んでいるのを見て、楽しそうにほほ笑みながら着地。

 即座に攻撃へ入る。


「【フレアストライク】!」


 すると『踏みつけゴーレム』は全身に魔力を走らせ青緑に変色。

【魔法耐性】でダメージを大幅減させた。


「魔法が効きにくいなら! メイ、お願いっ!」

「おまかせくださいっ! 【バンビステップ】!」


 駆け出したメイはそのまま跳躍して、剣を掲げる。


「【フルスイング】!」


 するとゴーレムは、橙色に変色。

 今度は【物理耐性】でダメージを減少させた。


「どっちにも対応できるの!?」


 抱えた爆弾。

 どうやらしっかりと、時間稼ぎができるスキル構成になっているようだ。


「ど、どうすんだあれ……」

「メイちゃんと使徒長ちゃんの攻撃であのダメージじゃ、どうしようもないだろ!?」

「潔く祈ろう」


 帽子の男に巡回を任されたプレイヤーたちは、神に祈り出す。

 どうすれば、倒せるのか。

『解答』を見つけないといけないタイプの敵が、時限設定を持っているのは恐ろしい。

 制限時間による『慌て』は、ステータスに乗らないデバフと言えるだろう。しかし。


「メイっ!」

「了解ですっ! 【バンビステップ】!」


 これまで驚異的な敵たちと戦ってきたレンは、一つの解答を見つけ出していた。

 さらにその意図を、察するメイ。

 左側から回り込むようにして距離を詰め、【ラビットジャンプ】で跳躍。


「ここっ! 【誘導弾】【フレアストライク】!」


 一方レンは、右側から弧を描くような軌道で飛ぶ炎砲弾を放つ。

 直後、弾けた炎砲弾に対してゴーレムはほとんど無傷だったが――。


「その選択で良かったのかしら?」


 笑うレン。

 左側から跳んできたメイは、掲げた剣を全力で振り下ろす。


「【フルスイング】だああああ――――っ!!」


 するとメイの剣は、一撃でゴーレムの左半身を吹き飛ばして崩壊させた。


「……そういうことか!」

「この状況で、よく思いついたな!」


 敵対しているにもかかわらず、思わずあげてしまう感嘆。

 物理防御と魔法防御。

 二つのスキルを、同時に使うことはできない。

 それならせめて物理防御を向上させて、与ダメージの高いメイの方に対応するべきだったと、笑うレン。

 二人の連携は、この状況を普通に打ち砕いた。


「これで残りは一体! 【誘導弾】【フレアストライク】!」

「【バンビステップ】【ラビットジャンプ】からの……【フルスイング】!」


 流れるように、同様の攻撃を残ったゴーレムに叩き込むメイとレン。

 しかしゴーレムは、その身体を紫色に変色。

 なんと物理と魔法の二つを、同時に防いでみせた。


「「「おしまいだああああ――っ!!」」」


 大きく傾ぎ、揺れるゴーレムを見て、ハンターたちがあげる悲鳴。

 だが、レンはここで止まらない。

 二体目のゴーレムの様子を、しっかりと確認。

 再び拳を突き、二連続の【クエイク】をジャンプで対応。


「ツバメ、まもり、続いて! 【フリーズストライク】!」


 その狙いは、ゴーレムの右脚。

 レンの氷砲弾がぶつかったところに、ツバメが続く。


「【加速】【連続投擲】!」


 投じるのは【風ブレード】を四つ。

 巻き起こる風に、ゴーレムが明確に揺れた。


「まもり!」

「【ストライクシールド】!」


 二人の攻撃に合わせて駆け出していたまもりが、さらに右脚に盾を投擲。

 すると二体目のゴーレムが、ぐらりと体勢を崩した。


「もう一発! 【フレアストライク】!」


 続けざまの攻撃。

 紫色に身体を変えたゴーレムのダメージは、やはり僅少だった。

 それは今回も変わらない。

 しかしレンは、一体目の時点で『まず打倒より、仕掛けを解く』という形に目線を変えていた。

 そして、気づく。

 大きく揺れていた二体目と、倒れ込んだまま残骸を残している一体目の『差』を。


「二体目は【踏みつけ】をしてきた一体目より足が小さい! だからバランスが悪くてよく揺れる。そして『転倒』状態で使えるスキルは極少数!」


 まさにそれが、二体目の正しい攻略法。


「【フリーズストライク】!」


 変わらずダメージは僅少。

 しかし再び右脚に直撃した氷砲弾が炸裂し、ゴーレムが砂煙をあげて倒れ込んだ。

 こうなれば後は防御スキルを使えない、完全無防備なゴーレムにメイが一撃を叩き込むだけだ。


「メイ、お願いっ!」

「りょうかいですっ! 【フルスイング】!」


 その一撃で大きなヒビが入ったゴーレムは、砕けて崩れ落ちる。

 こうして『自爆の魔法』は、七割以上の制限時間を残して消え去ったのだった。

 メイとレンはハイタッチして笑い合う。


「すげー……」

「こんなパターンもあるのかぁ」

「いいものを見たな! よし、引き上げよう!」

「「「そうだな!」」」


 ギミックありの戦いを最速で攻略したメイたちに、うっかり呆けていたハンターたち。

 体育座りで見ていた戦いが終わり、潔く逃げ出していく。


「……さて。ハンターたちが逃げてくってことは、あっちが正しい道なんだろうけど……」


 長らく放置された、古い地下通路。

 ゴレームの登場によって崩れ落ちた岩壁から、一本の道が出て来た。


「……まだバルディスのモナココ突入には時間があるし、見に行ってみる?」

「いってみましょう!」

「早い勝負が、功を奏しましたね」

「何があるのでしょうか……っ」


 こうしてメイたちは、現れた通路の方へ向かってみることにした。

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ジャンボゴーレムA・B「「クエイク、クエイク、クエイク、クエイク!」」 五月晴れ「「「「ほい、ほい、ほい、ほい!」」」」 敵が逃げる先に通路があって直通はあるあるw ただし敵が体育座りで観戦はないな…
答えは正解ですね、模範解答は 名前はまだない 解説 なんかキツネに化かされたような感じですが・・「知らない」「解らない」で答えられないのなら、いっそのこと名付けてしまえばいいんです(^-^;)と…
そして万全の体制で構えていたハンター達に隠しエリアで見つけた、謎の新装備で返り討ちにするんですね。
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