1141.開放のヴァルガデーナ
「バカな……かの天才錬金術師が残した至高の存在が、不完全な人間などに敗れるなど……っ!」
リーシャの覚醒によって、戻った魂。
黒幕の町長は、より深い同化をしていたことがアダとなり、マリアと共に自壊していく。
「ありえない……神や悪魔を超えるほどの可能性を持つ、究極の存在なのだぞ……っ」
「分かってないねェ」
そんな町長を見て笑うのは、クルデリス。
「ベリアルたちはとっくに悪魔の一体や二体狩ってきてんだからァ、届くかもくらいじゃ力不足なんだよねェ」
「そういうことだ。我らもアバドンを討ってこの町に来た。もはや悪魔を超えるくらいの存在は意外でも何でもない」
「バカな……! バカなァァァァ――ッ!!」
スキアがクールに続くと、町長は「信じられない」という表情のまま消えていった。
こうして闇を継ぐ者たちは見事、錬金術師の残した邪悪なマリアの打倒に成功。
覚醒した聖女の力によって、奪われた魂が戻り、石化も回復した。
各所に激しい戦いの跡が残っているものの、ヴァルガデーナの住民たちはすっかり元通りだ。
「皆さんのおかげです! ありがとうございますっ!」
いつもの元気を取り戻した聖女が、再び笑う。
肩の小竜フルーネも無事で、この組み合わせを守ったことが、完璧な勝利をもたらすカギとなった。
町の者たちも、こぞって「ありがとう!」「助かった!」と感謝の言葉を続ける。
「このような絶望的状況の中で、奇跡を起こすことができたのは、皆さんの力あってこそです!」
「い……無事でよかった」
いつもどおり「いえいえー」と言いそうになって、クールに決め直すワイルド。
「これからは聖女さまと共に、この町を守っていこうと思います」
「ああ! これからは聖女様と共にヴァルガデーナを盛り立てていこう!」
町人たちが、気合を入れる。
これでヴァルガデーナの町は、新たな時代を迎えることになりそうだ。
「皆さんのことは書に残し、代々伝えていこうと思います。この町を救った英雄として!」
「……どうせなら、今回銅像にしていただけると良かったですね」
そんなスワローの言葉に、ワイルドはこれ以上ないくらいブンブンとうなずく。
闇を継ぐ者たちの銅像の中に、自分の姿がある。
それはインナー装備で【原始肉】を掲げた野生児像より、遥かに好ましい。
「私は困るけどね」
そんな二人の妄想に、ベリアルが苦笑いしながらつぶやくのだった。
「と、とにかくこれで、町が守られましたね。よかったです」
シールドも、安心して息をつく。
やはり町の危機というクエストには、思うところがあるようだ。
「恐ろしい事態になったが、助けてくれてありがとう。これでようやく実家に帰ることができそうだ」
するとそこに、町を見て回っていたサグワがやってきた。
うれしそうにしながら、遠い空を見上げる。
「このままジェノヴァまで連れて帰れば、クエストも達成ね」
「名残惜しいですが、そろそろ行きましょうか」
「いいのか? すまないな」
ここからは、来た道を戻って送り届けるだけ。
「それでは――――何卒よろしくお願いいたします!」
ワイルドが手を掲げると、魔法陣から現れた巨鳥ケツァールが到着。
六人はサグワと共に、夜明けの空へと舞い上がる。
「ありがとうございましたーっ!」
手を振って見送る聖女リーシャと、町民たち。
集まっていた掲示板組も、その姿を見送る。
「やっぱメイちゃんたちのクエストは、見てて楽しいぽよ」
「今回も俺の『メイちゃんアンテナ』が、役に立ったな」
「いやいや、今回は樹氷ちゃんの早い発見が……」
「あれ、樹氷ちゃんは?」
「……いないな。さっきまでそこにいたんだけど……」
辺りを見回す掲示板組。
しかしそこに、樹氷の魔女の姿はなかった。
◆
「サグワより、聖女の方が物語の中心になっていたようだな」
「まっ、まあ、これだけの力を持ってたんじゃしかたないよねェ」
「闇堕ち聖女さんには、痺れました」
「はひっ、迫力がすごかったです!」
「闇堕ちか……あの聖女が墜ちるとは、まったくおもしろい」
「ん、んっふふ。本当だねェ」
「クルデリス、もしかして高いところ苦手?」
「ぼぼ、僕に怖いものなんてないよ。しいて言うなら、自分自身に潜む狂気かな……ッ!?」
闇を継ぐ者たちは、広がる朝の風景に目を奪われながら進む六人。
ベリアルに軽く肩を突かれて、クルデリスがビクリと震える。
ワイルドたちは笑いながら、問題なくジェノヴァに到着した。
「サグワ!」
「母さん! 父さん!」
家の前に降りると、すぐさま駆け出してきたクロキャット家の面々。
「この人たちのおかげで、帰ってくることができたんだ」
「おおっ、ありがとうございました!」
「い、無事でよかった」
ワイルド、またも「いえいえー」と言いそうになって、慌てて言い直す。
だが「無事でよかった」という言葉もクールな口調では決まらず、思わず笑みがこぼれるスキア。
「これで、プロファイルから始まった大型クエストも終了ね」
「では、次で最後ですね」
「最後は『闇を継ぐ者』の基地に戻って、クリアといきましょうか」
「はひっ」
歓喜するサグワたちを確認し、歩き出す六人。
物語の始まりであるエディンベアを目指して、ポータルへと向かうのだった。
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