表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1075/1389

1075.魔導士と大蛇

「【マグマボルト】」


 魔導士トカゲの溶岩弾の炸裂を、木々に隠れてかわすメイとツバメ。

 聞こえてくる木々の焦げる音に、劇毒状態のツバメが息を飲む。


「ツバメちゃんっ!」


 そんな中、メイの声にツバメがすぐさま振り返る。

 そこには迫りくる大蛇の姿。

 大蛇は側頭部のトゲによって、戦闘を強いられている状態だ。


「【跳躍】っ!」


 魔導士トカゲの攻撃の合間に、音もさせずに近寄ってきていた大蛇の巻きつき攻撃を、ギリギリでかわす。

 直後、締め付けに巻き込まれた木がバキッ! と嫌な音を響かせ粉砕した。


「ありがとうございます」

「いえいえーっ」

「【誘導弾】【連続魔法】【フリーズボルト】!」


 一方レンは魔導士トカゲを狙って攻撃を放つが、こちらも木々を盾に使ってこれを回避。

 森の中での戦いは、ヘビもトカゲも心得があるようだ。


「この状況で、あのトゲを落とすのはなかなか難しいわね」

「【マグマ・クラック】」


 強く地面に杖を突いての攻撃は、前衛組を足止めするもの。

 地面に駆ける、枝のようなひび割れが赤熱。

 直後、間欠泉の様にマグマが吹き上がる。

 メイとツバメはこれを速いステップでかわすが、足止めは狙い通り成功となる。

 この時、大蛇は茂みを潜って進攻。

 レンとまもりの中間地点で顔を上げ、長い尾を高速回転。

【斬尾撃】は、付近の木をまとめて斬り飛ばす三回転の斬撃だ。


「【かばう】【クイックガード】【地壁の盾】盾盾!」


 まもりはしっかりこれを受け止めるも、【不動】が間に合わず、レンと共にその場に尻もちをついた。


「助かったわ!」


『劇毒』に加えて物理ダメージまで受けると、ちょっと厳しいレンが息をつく。

 体勢を崩していても、盾防御の直後なら反撃でけん制を打てる。


「【フリーズストライク】!」


 放つ氷砲弾は、一直線にトカゲ魔導士へ。

 ここで直撃を奪えれば、流れが変わるところだ。しかし。

 トカゲ魔導士は、ここでまたも大蛇を身代わりに使用。

 盾代わりにするつもりだ。


「マズっ!」


 保護対象への攻撃に、思わずあげる声。


「そんな戦い方、許せませんっ! 【裸足の女神】!」


 駆けてきたのはメイ。

 なんと盾にされたヘビのさらに身代わりとなって、氷砲弾を喰らって弾かれた。


「メイ!」


 思わず悲鳴を上げるレン。

 さらにトカゲ魔導士は杖を伸ばし、連射でメイとツバメを狙って攻撃。

 炸裂対策のために、大きな回避をしたところで――。

 大蛇が、その大きな口を開いた。


「【加速】【リブースト】!」

「【バンビステップ】!」


 二人は即座に分かれて逃走。

 駆け抜けていく劇毒の飛沫から、どうにか距離を取った。

 そしてそのまま、続く溶岩弾を木の陰でやり過ごす。


「レンちゃん! そっちに向かったよ!」


 片方の攻撃の合間に、必ずもう片方が次の攻撃の準備に入る。

 そんな連携を見せる、魔導士トカゲと大蛇。


「っ!!」


 茂みから突然飛び掛かってきた大蛇の【喰らいつき】


「【かばう】!」


 すぐにまもりが間に入り、盾を構える。


「【クイックガード】【地壁の盾】! 盾、盾、盾!」


 続く猛烈な【連続喰らいつき】を、一歩ずつ下がるような形で受け止める。


「まもり、この流れは『ある』わ!」

「はひっ! 【食べ歩き】!」


 まもりは右手の盾で【喰らいつき】を受けながら、空いた左手に【マッドブルのシチュー】を取り出す。

 そして防御しながら同時に、ゴクゴクと飲み込んでいく。


「ごちそうさまでした! やっぱり美味しいです!」


 口周りをベタベタにしたまもりが目を輝かせた瞬間、放たれるエフェクト。


「レンさん! 下がってください!」

「了解っ!」


 直後、レンは真横に跳んで転がる。

 すると大蛇の【劇毒喰らいつき】は、これまでとは違って盾にかみついたまま、毒液を炸裂させた。


「あれも【劇毒】ですか……!」


【喰らいつき】からの毒は、ダメージが恐ろしいことになりそうだ。

 そして盾によって毒液の直撃は避けられても、広がる毒煙までは防ぎ切れない。

 まもりは、広がった紫煙を思いっきり浴びてしまうが――。


「……大丈夫でした!」


【マッドブルのシチュー】による状態異常耐性を崩すほどではなく、劇毒を受けることはなかった。


「いきますっ! 【シールドバッシュ】!」


 即座にまもりが、大蛇を衝撃波で転がす。

 するとそこに、駆け込んできたのはメイ。


「がおおおおおお――――っ!」


【雄叫び】で硬直を取り、その場にしゃがみ込む。

 もちろんここに駆け込んでくるのは、【村雨】を手にしたツバメだ。


「いきます――――【斬鉄剣】!」

「き、決まりました……っ!」


 キッチリ一撃でトゲを切り飛ばしたツバメの剣技に、まもりも思わず盾を突き上げる。

 これで大蛇を縛っていたトゲが、効果を失った。


「……さあ、反撃よ」


 レンがそう言うと、なんと大蛇も魔導士トカゲに向けて牙をむく。


「【連続魔法】【誘導弾】【フリーズボルト】!」


 放つ四連発の氷弾を、魔導士トカゲは上手なステップで回避する。

 左側から回り込んでいくメイとツバメに対し、魔導士トカゲは溶岩弾で対抗。

 こうして敵に攻め込ませないのが、この敵の戦い方だ。しかし。

 音もなく後方から来た大蛇が、突然右側の茂みから飛び出し【喰らいつき】を仕掛ける。

 そしてそのまま魔導士トカゲをくわえ上げると、毒液を炸裂させた。


「お見事です!」

「ないすーっ!」


 二度ほど転がり立ち上がった魔導士トカゲは、攻撃によるダメージに加えて劇毒によるHP減少がスタート。


「【連続投擲】!」


 着地直後のところを狙って放つブレードは、ギリギリかわされるが、それは計算の内。

【風ブレード】が起こす突風は、敵の動きを制限する。


「【フリーズストライク】!」


 放つ氷砲弾に対し、魔導士トカゲはプレイヤーのような必死の飛び込みで回避を狙うが、その肩を強く弾かれて転がった。

 逆転した形勢。

 ここで魔導士トカゲは、【マグマ・スプラッシュ】で視界を遮り草むらへ逃げ込む。

 その姿を隠しながらの、嫌らしい戦いに持ち込むもりだ。だが。


「っ!?」


 まるで居場所を知っていたかのように、飛び掛かって来た大蛇に慌てて飛び出してきた。


「もしかして、目だけでなく『温度』でも敵の居場所を見つけられるのかしら」


 トカゲ魔導士は再び溶岩弾の連射で攻勢をかけるが、ツバメとメイ、さらに大蛇が迫る状況では目標を絞り切れない。

 三者に距離を詰められたところで、覚悟を決めたかのように高く杖を掲げた。

 灯る、灼熱の輝き。


「【ウルカヌス・トライ】」


 杖を中心に、惑星の輪を思わせる溶岩のスプラッシュが放たれる。

 高速五連続の溶岩の輪に、メイとツバメはその場での回避に集中。

 まもりはレンの前に立ち、【天雲の盾】で防御を固める。

 しかしこの隙に大蛇は、高速で地面を這って、隙間をすり抜け接近。

 猛烈な【喰らいつき】で魔導士トカゲを捕らえると、そのまま一回転して高く放り出した。


「いきますっ!」


 この動きに応えたのはメイ。


「【バンビステップ】!」


 剣を手に走り出す。

 そして防御もできずに落ちてくる魔導士トカゲに、振り払う形で剣を一閃。


「【フルスイング】だああああああ――――っ!!」


 背中にその一撃を受けた魔導士トカゲは、地面を跳ね転がり、そのまま大きな木の幹に激突して落下。

 そのまま粒子となって消えていった。


「やったー!」


 見事な勝利に、メイは歓喜の拳を振り上げた。

誤字脱字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

返信はご感想欄にてっ!


お読みいただきありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら。

【ブックマーク】・【ポイント】等にて、応援よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 口をベタベタにしながらエフェクト輝かすとかもう料理漫画(某ウーマーイーゾーとか)の世界なんだよw [気になる点] これまでの鬱憤を晴らすかのように合間合間に連携を入れてくれる大蛇ちゃん。 …
[一言] 論理クイズ行きますね。 市民である南波さんが、友達3人とテーブルを囲んで食事をしました。 ところがその中に1人、スパイが忍び込んでいます。4人は市民かスパイどちらかです。 市民は必ず本当の…
[一言] 最後は一気に攻めきりましたね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ