1063.偽まもりとの戦い
吹き荒れる衝撃波が、起こす突風。
髪を揺らしていく風は、メイたちを狙ったまもりの一撃によるものだ。
「やはり、そっくりまもりさんでしたね」
「パーティメンバーに化けて潜り込んだトカゲを見つけないと、どこかで突然強力な先手を喰らってからの戦いを強いられる。そんな『仕込み型』のクエストってところかしら?」
レンはメイの偽物が出てきた辺りで、この可能性もありそうだなと予想していた。
四人楽しく遊ぶことが一番の目的にも関わらず、食べ物をほとんど口にせず通り過ぎたのは、確認のためだ。
メイとツバメも違和感を覚えていたため行動に出たのだが、どうやら正解だったようだ。
「【フレアストライク】!」
「【マジックバリア】」
レンはすぐさま炎砲弾で攻撃を仕掛けるが、そっくりまもりはこれを盾で防御。
魔法耐性を上げた状態で受ければ、ダメージは大幅減だ。
「【電光石火】!」
ここで続くのはツバメ。
速い斬り抜けを、そっくりまもりは続けざまに盾で受ける。
「【バンビステップ】【フルスイング】!」
そこに飛び込んできたのはメイ。
「【シールドパリィ】」
「うわっととと!」
弾け散る火花と、盛大な衝突音。
体勢を崩したメイを見て、レンはすぐさま援護に入る。
「【連続魔法】【誘導弾】【フリーズボルト】!」
するとそっくりまもりは、大きな後方回転跳躍でこれを回避。
「これで確定ね。まもりは跳躍スキルを持ってない」
「【シールドブーメラン】」
着地からの反撃は、盾を円の軌道で投じるスキルでの攻撃。
「「はいっ」」
その軌道上にいたメイとツバメは、同時にしゃがんでこれをかわす。
戻ってきた盾を受け取ったそっくりまもりは、左手に持った【魔神の大剣】らしき剣を、力強く振り下ろす。
「【ガイアディザスター】」
「「「っ!!」」」
地面に長い地割れを走らせる攻撃に、三人は即時の回避を選択。
「【スプラッシュ】」
直後、生まれた地割れから噴き出した地下水の刃が宙に舞った。
「【連続魔法】【誘導弾】【ファイアボルト】!」
反撃の機先を取ったのはレン。
放つ四連続の炎弾を防御させ、その隙にメイとツバメを接近させる狙いだ。
「【ヒートシールド】」
そっくりまもりは、炎弾を狙い通り全て盾で受けた。
すると盾の表面が、熱を吸収して煌々と赤熱していく。
そのまま踏み出したそっくりまもりは、迫るメイとツバメに盾を振るう。
「【ローリングシールド】」
それは、まもりが持つものと同じスキル。
だが【ヒートシールド】の効果によって、灼熱の炎を巻き起こした。
「「っ!?」」
二人は慌てて急停止、迫る炎をバックステップでかわす。
するとそっくりまもりはさらに一歩踏み込んで、引いた盾を強く押し出した。
「【シールドバッシュ】」
放たれる、炎含みの衝撃波。
その範囲は大きく、思わず二人息を飲む。
「【跳躍】【エアリアル】!」
「【ラビットジャンプ】!」
それでもメイとツバメは、ギリギリのところで迫る炎をかわした。
そして後方で巻き起こった炎上に、安堵の息をつく。
「【誘導弾】【フレアストライク】」
レンはすぐさま、そっくりまもりの足元を狙うような形で炎砲弾を発射。
巻き起こる爆発によってメイとツバメの、着地際の隙をフォローした。
「ツバメちゃん!」
「メイさんっ!」
すると二人は、着地と同時に声をかけ合い走り出す。
「【加速】【リブースト】!」
超加速で一直線にそっくりまもりの前に詰めれば、当然向けられる盾。
「【スライディング】【反転】!」
これを見たツバメは、足元を潜って反転。
そして背後を取ったツバメに対して、振り返ってしまうと――。
「【バンビステップ】!」
続けて正面から接近してくるメイに、対応できない。
「がおおおおおお――――っ!!」
【雄叫び】一つで、そっくりまもりの動きを強制停止。
硬直を奪ったところで、二人は左右に退避した。
ここでレンが、装備を替える。
【銀閃の杖】を【魔神の黒杖】にして、その切っ先をそっくりまもりに向けた。
それはまるで悪魔の背から翼にかけての骨で作られているかのような、真っ黒な杖。
飾りの金意匠が、その特別さを演出する。
「まずはとにかく使ってみてから判断よね! 覚悟しなさい、氷砲弾【滅多撃ち】!」
現れるゲージは、残り時間。
レンはその全てを、上級魔法の【フリーズストライク】で使用。
すると青白の氷砲弾が、ありえない勢いで連続発射。
しかもレンはこれを、あえて少し遅らせて発動。
盾による防御を、誘い出す。
「【マジックバリア】」
狙い通り対魔法盾を構えた、そっくりまもり。
しかし放たれる氷砲弾は、すさまじい勢いで押していく。
ぶつかる度に白の欠片が大量に飛び散り、白煙を生み出す。
対魔法の効果が消えた後も、【滅多撃ち】の勢いは止まらない。
連射連射、また連射。
盾で身を守る敵のHPゲージを、あっという間に削っていく。
もはや手も足も出ない。
一撃ごとに巻き起こる盛大な氷片の炸裂は、一人集中砲火状態だ。
「「…………」」
メイもツバメも、その驚異的な火力に感嘆してしまう。
「あっ、レンちゃん! 少しだけ残してくださいっ!」
「分かったわ! それならこれで最後! 【フリーズストライク】!」
巻き起こった氷砲弾は、そっくりまもりを弾き飛ばした。
するとメイの狙い通り、残りHPが1割を切ったそっくりまもりは変身が解け、二足のトカゲが姿を露わにした。
そしてそのまま、逃げ去っていく。
「メイとツバメは後を追って! 私はまもりを捜してから追いかけるわ!」
「「了解です!」」
こうしてメイたちは逃げるトカゲを追い、レンはまもりを捜すため街に戻ることになった。
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