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1054.切り裂き鹿

 山中にて発見した、切り裂き鹿。

 初手に一頭だけ姿を見せて、視線を奪ったところで別の個体が後方から特攻。

 メイの早い気づきでツバメは回避に成功したが、二頭の刃角攻撃は付近の樹木を切り倒した。


「魔獣が連携による攻撃を仕掛けてくるとは、新鮮な感じですね」


 現れた二頭の『切り裂き鹿』は首を傾げ、頭を右に傾け突撃。


「【ラビットジャンプ】!」

「【スライディング】!」


 かわすと今度は左の角を振り回すようにしながら、再突撃。


「【スライディング】!」


 ツバメは切り返す形で滑って、これも回避。


「【アクロバット】!」


 メイは側方宙返りで隙間を抜けて、すぐさま剣を振るいにいく。


「メイさん気を付けてくださいっ! 脚部への攻撃は肉質を下げるとのことでした!」

「うわああああーっと!」


 メイは慌てて剣をあさっての軌道に変え、直撃を回避。

 安堵の息をつく。


「そういうことならっ!」


 駆け込んでくる三頭目の切り裂き鹿の突撃前に、メイはしゃがみ、再び宙を舞う。


「【ラビットジャンプ】【アクロバット】! からの【ターザンロープ】!」


 見事なロープさばきで、切り裂き鹿を捉えにかかる。

 しかし鹿を狙うなら、目標は当然角になる。


「ええええっ!」


 大きく頭を振れば、その鋭い角は【ターザンロープ】を切り飛ばしてしまう。

 するとここで、鹿三体が集合。

 そのまま並んで走り出し、特攻を仕掛けてくる。

 さらに【刃角成長】で伸長し、範囲を広げた角を同時に振り回す。


「うわわわわわっ!」

「あぶないですっ!」


 メイとツバメは大慌てでその場に伏せて、これを回避。


「あはは、なんか楽しいね!」

「はい。直接攻撃がしづらいというのは、また違った戦い方が必要なようですね! ならばこれならどうでしょう! 【連続投擲】!」


 草食なのに、『狩り』にくる魔獣。

 ツバメは【炎ブレード】と【風ブレード】を同時に投じて、巻き起こる炎を壁のように使用する。

 こうして足を止めたところで、攻撃を狙いにいく形だ。

 だが切り裂き鹿たちは、ここで後退を選択。


「無理せず下がりますか。本当に戦い上手ですね」


 二人はうなずき合い、後を追う。

 速い逃げ足に加えて、戦いが危うくなったら下がるという判断力。

 やはりこのクエスト、なかなかに難しくできている。


「……どうやらここで、勝負が付けられそうです」


 三体の切り裂き鹿が逃げ込んだ先には、川が半円を描く形で走っている。

 これ以上は、下がれない状況だ。


「決着を付けさせてもらいます」

「うんっ」


 メイとツバメは決着を確信し、武器を構える。

 切り裂き鹿も、それに応えてひと鳴き。

 すると木々の合間から、20頭に迫る切り裂き鹿を呼び出した。


「え、ええええええ――っ!?」

「まさか、誘い込まれたのですか……!?」


 切り裂き鹿の奥義はスキルではなく、まさかの罠。

 次の瞬間、群れになって襲い掛かってくる。


「まずは数を減らしてしまいましょう! 最終的に残った個体の腹部を狙って攻撃、ドロップをいただく形が良さそうです!」

「りょうかいですっ!」

「【アクアエッジ】【瞬剣殺】!」


 ツバメはすぐさま水刃の乱舞で、迫る切り裂き鹿たちを斬り飛ばす。


「【フルスイング】!」


 さらにメイも大きな回転撃で、剣を振るう。

 すると弾き飛ばされた鹿たちが、川の水面を飛び石のように飛んでいく。


「っ!」


 背後から来る、【刃角成長】による攻撃。

 切り裂き鹿の攻撃には、身を低くすることが大事と気づいたツバメは、その場に伏せる。


「これなら問題ありません!」


 そして見事に角をかわし、反撃に入ろうとしたところで――。


「うぐふっ」


 メイに攻撃を仕掛けに行く鹿に、普通に背中を踏まれて唸る。


「おねがい! いーちゃん!」


 メイは顔の数センチ横を通り過ぎていく刃角に「あぶなーい!」と、声をあげながら使い魔を召喚。

 烈風でさらに切り裂き鹿を吹き飛ばして、川の向こうへ。

 大きく数を減少させた。

 これで残りは、早くも四体だ。


「メイさん!」

「りょうかいですっ! 【バンビステップ】! からの――」


 背中にくっきり鹿の足跡を付けたツバメの声に、応えてメイが走り出す。


「がおおおおおお――――っ!」

「【加速】【アサシンピアス】!」


【雄叫び】で硬直させた後に、刺突を使う形なら傷は最小限。

 その狙いも的確だ。

 見事一発で、【切り裂き鹿のもも肉】をドロップ。

 もちろん傷もなく、評価も『最上級』だ。

 すると残る三体の切り裂き鹿は、この時点で逃げ出し姿を消した。

 連携が決まり、思わずハイタッチのメイとツバメ。


「「ッ!?」」


 しかしこのクエスト、やはりその難易度はハードクラス。

 滑降してきた巨鳥が、手に取ったばかりの【切り裂き鹿のもも肉】を奪って空へ。


「ええええええ――っ!?」

「鹿が逃げたのは、巨鳥の接近に気づいたからですか……!?」


 食材クエストならではの流れに驚く二人。しかし。


「【魔砲術】【誘導弾】【フレアストライク】!」


 そんな巨鳥の後を追う形で飛んできた、炎砲弾が直撃。

 それでも巨鳥は逃げを打つが、レンが攻撃をしてくれた時点で、メイも狙いをつけていた。


「せえええのっ! それえええええ――――っ!」


 投じた【王樹のブーメラン】が、続けざまに直撃。

 見事に、巨鳥を叩き落した。


「【加速】【リブースト】!」


 そして落ちてきた【切り裂き鹿のもも肉】を、ツバメがしっかりキャッチ。


「レンちゃん! ありがとーっ!」


 遅れて駆けてきたレンに、大きく手を振るメイ。

 ここで止められなければ、この巨鳥を探して追うか、また切り裂き鹿を探すはめになるこのクエスト。

 四人は見事、二つ目の食材の調達にも成功したのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] クイズはおまけで正解にしときます、答えは重いものを運んでる状態で競走たらどうか、ですね。 カメはウサギに比べて足は遅い代わりに力があるので、後は解答した通りですね。 これは元々ある教育番…
[一言] ナイトメア教会にある経典にあるレンの黒歴史は、ナイトメア時代の数々の活躍を記したものになります、なお映像を見たい人は図書館があります。 あと学校なんかも作る予定だとか、最終的に中二病のNPC…
[良い点] た、ターザンロープぅ! お前の事は忘れないぞ… [気になる点] 大量の木材が入手? [一言] 大量の鹿肉は手に入らなかったかー
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