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1053/1385

1053.次の獲物は

 まずは目的の【ローヤルクローブ】を手に入れたメイたち。


「帰りはどうしましょうか」

「それはもちろんっ!」


 メイは躊躇なく、レンに抱き着く。

 するとツバメとまもりも、すぐさま後に続く。


「この高さだし、三人の重さで降りる速度はちょうどいいかもね! それじゃあ行くわよ!」

「りょうかいですっ!」

「いきましょう!」

「は、はひっ!」

「毎度あり。また必要なものがあったらどうぞ」

「できれば次は、街とかにいてくれると助かるわ」


 そう言って商人に手を振ると、レンを中心に四人一緒に走り出す。


「せーのっ!」

「「「それえええええ――――っ!」」」


 そしてそのまま全員で、岩山の山頂から飛び出した。


「【浮遊】!」


 そのままレンにつかまると、その重さによってパラシュートを開いた後くらいの速度で落下を始める。

 最初に付けた勢いによって、四人は遅いグライダーくらいの感覚で高山地帯を降りていく。


「これをやると、イベントで行ったジャングルの滝を思い出すわね」

「うんっ、そうだね!」

「風が気持ちいいです」

「ほ、本当ですねっ」


 そのまま風を切り、旋回。

 横を並走する鳥に、思わず笑みがこぼれる。

 広がる山々の景色と大きな青空を、四人ゆっくりと楽しみながら麓へ。

 そのまま草むらを二、三回ほど転がって、着地した。


「やはり、高所からの【浮遊】は楽しいですね」

「本当だねぇ」


 何となく、草むらに寝転がったままそんなことを話す。

 レンはここで再び、タヌキにもらったメモを取り出した。


「ええと、【切り裂き鹿のもも肉】はヌーベル山の麓から進んだ先にある『生息範囲』、森林地帯で手に入ります。その名の通り鋭い角による攻撃と、速い動きが得意な魔獣です。また肉質を守るため『攻撃場所指定』として腹部、背部を狙ってください。強く狡猾な魔物なのでボクたちでは太刀打ちできません……だって」


 手紙にはコック帽を切り裂かれて、慌てふためくタヌキの絵が添えられていて、レンがクスッと笑う。


「タヌキシェフさんたちは、何を作るつもりなのでしょうか」

「んー……シチューとかかも!」

「でも経験値のためじゃなくて、食材を得るために魔獣狩りをするっていうのは、ちょっと新鮮ね」

「ほ、本当ですね」


 四人は森の中へと進み、辺りを見回してみる。

 すると少し進んだ先に、深い切り傷をつけられた樹木を発見。


「これが獲物の目印ってところかしら」

「なんだか、本当に狩りをしているかのようですね」

「こ、こういうのは、傷跡を探して進んで行くのが基本でしょうか」

「それでいってみましょうか。名前からして角を磨いてそうだし、これはすぐに見つかりそうね」

「りょうかいですっ!」


 四人は、大きな木の幹を探して森の中へ。

 木漏れ日の差し込む森林は、ところどころ傾斜になっていたりもするが、無理のない山歩きといった感じで心地よい。

 川とは呼べない小さな水の流れを、四人で順番に飛び越えるのが楽しい。


「あっ、傷跡がありました」

「レンちゃーん! ここにもあるよー!」

「その位置関係だと、次は向こうかしら」


 二つの傷跡を結んでみると、次の方向が大まかに予想できる。

 こうして四人は、森をのんびりと進んでいく。


「こ、こっちにありました!」

「ここにもあります」

「……なんか、思ったより捕まらないわね」

「本当ですね」


 すでに二十カ所に迫る傷跡があったにもかかわらず、『切り裂き鹿』の姿は見えない。


「狡猾な魔物って書いてあったし、簡単には姿を現してくれないのかもしれないわね」

「でも、近くにいそうな感じはするよ」


 メイは自分の耳を澄ませて、猫耳の方を動かす。

 その姿が面白くて、レンは興味深そうに耳の動きを見つめる。


「となると、向こうもこっちも動きに合わせて逃げて行ってるのかも」

「それはめずらしい展開ですね」


 こちらに捕まらないよう、下がっていく。

 これまでにあまりなかった形の、敵の動き。


「そういうことなら少し、攻めてみましょうか」

「りょうかいですっ!」

「いきましょう」


 ここまでの傷跡の流れを加味して、レンがおおよその方向を指示。


「【バンビステップ】!」

「【疾風迅雷】【加速】!」


 メイとツバメが、速い足の運びで走り出す。

 メイはもちろん、ツバメも直線移動を上手に連射することで木々を避けていく。

 途中に見つけた傷跡に二人、うなずき合ってさらに進行。


「ツバメちゃん!」


 するとメイの【遠視】が、小高い岩山の上から付近の状況を見つめる一頭の鹿を発見。


「はい、確認しました」


 広がった角は剣のように鋭く、なかなかの大きさ。

 体格は、普通の鹿より多少大きいくらいか。

 その鋭い眼光に、メイたちも足を止める。

 すると切り裂き鹿は、その刃角をブンブンと大きく振るう。

 それはまるで牛が突撃する前に、前足を地面に擦るかのような姿勢。

 そして、戦いが始まろうかとしたその瞬間。


「ツバメちゃん、後ろっ!」


 突然上がったメイの声に、振り返る。

 そこには駆け込んでくる、二頭の切り裂き鹿。


「【跳躍】!」


 ツバメはすぐさま、高いジャンプで距離を取る。

 すると豪快に角の振り回しながらの特攻は、付近の木を三本ほど切り倒してみせた。


「ありがとうございます。先頭の一体に視線を集めておいて、後方から別個体による攻撃……なるほど狡猾とはこういうことですか……!」


 剣を抜くメイとツバメ。

 やはり難易度の高い食材クエスト。

 見た目は草食動物でも、その強さは侮れないようだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] なお、ナイトメア教会には教典(レンの黒歴史)とかもあります。
[一言] しかのこのこのここしたんたん♪ とか言ってる場合じゃない! かなりの危険生物ですね、この鹿は。
[一言] 飛び降りるシーン、きららジャンプっぽいですねw
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