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1006/1385

1006.vsヴァールハイト新帝国

 旧文明を滅ぼした、最大級の門が動き出す。

 橋脚の隙間のような空間には、真紅のエネルギーが球体を生み出している。

 傀儡化を受けた『鍵』の青年は、『封』を解いていく。

 異世界への扉が解放される『赤月の夜』が満ちるまで、残り時間はあとわずか。


「もはや我らに、不可能はない」


 暗い空に浮かぶ、黄金結晶製の天使の輪。

 ハイリゲンシャインを輝かせながら、黒仮面は笑う。


「ここまでたどり着いた貴様らには特別に見せてやろう、戦闘用に作られた結晶兵器の威力を」


 そう言うと、8人の内3人の黒仮面が前へ。

 さらに召喚陣から、大型の黒獅子が1体が現れた。

 先頭にいるメイたちの背後には、この状況を見守る多くのプレイヤーたち。


「もちろん、貴様たち全員でも構わないぞ。【シュトラーフェ】で全てを消し飛ばしてやろう」

「「「ッ!!」」」


 その言葉に、自然とプレイヤーたちは動きを縛られる。


「数でとにかく押すっていうやり方は、許さないってことかしら」


 つぶやくレン。

 ならば共に戦うのはシオール達か、アーリィ達か。

 それとも七新星や、蘭すみれ姉妹か。

 そんな空気が広がった、その瞬間だった。


「お、おい……!」


 聞こえて来た、驚きの声。

 居並ぶプレイヤーたちが、自然と道を開いていく。

 人波を割ってきたのは、白の戦闘用ドレスに淡い橙色の髪の少女。


「……野心に狩られた力で世界を支配しようなど、ずいぶんとおこがましいですわね」

「そのようなこと、私たちが許しません」

「悪の組織を前に、黙ってなんかいられないからな」

「その通りだね」


 現れたのは、この暗い空間がどうかしているほど似合う九条院白夜と、光の使徒たち。


「世界を覆う深き闇、晴らして差し上げましょう――――天の御光で!」


 見事なポーズを決めた四人。

 白夜は、レンに向けて笑いかける。


「やはり純粋なる力を求めた先には、罪深き者たちが待ち構えていたようですわね。まさか闇の使徒を抜け出したどり着いた先が、新たな闇とは……」

「このあと貴方には、今も『闇の使徒長』と呼ばれている件についても、聞かなくてはなりません」


 続いたのは白の軽鎧に白のコートをまとった、白金の短髪少女。

 星野エトワール。


「未だ増え続ける闇の者たち、着々と力を付けるナイトメアが暗躍している可能性を疑うのが普通だな」


 白と黄色と橙の束が混じった髪。

 腰までのフードマントに短いスカートとブーツ。

 白銀の盾とランスを持った、花森ミヤビが続く。


「この戦いが終わった際には、ちゃんと聞かせてもらうからね」


 最後にそう告げたのは、青みを帯びた黒髪の少女。

 白のローブに白の帽子、定番魔導士の白色版装備をまとった雪崎ヒカリ。


「ご一緒しても、よろしくて?」


 レイピアを手に、白夜が問いかける。

 集まるプレイヤーたちを割って出てくる登場演出は、完璧だった。

 そんな光の使徒たちに、レンは「フッ」と笑って一言。


「ちょっと、何を言ってるのか分からないわね」


 完全にすっとぼけたレン。

 一方メイたちは、対立する二つの組織の会話のようでワクワクしている。


「はじめるぞ。二つの世界は……我らヴァールハイトが掌握する」

「そうはいきません」


 強気の笑みで言い放つ白夜。

 すると黒仮面の一人が、その手を伸ばした。


「――――やれ」


 ドン! という爆発音と共に先行してきたのは、黒仮面の一人。

 右腕の甲につけた結晶を『紫』に輝かせると、腕が結晶化。

 そのまま巨大な結晶塊を叩きつけにくる。


「世界に迫る危機、放ってなど置けないな! 【ルミナスシールド】!」


 これを受けたのは、盾にランス装備の花森ミヤビ。

 弾ける火花。

 そこに駆け込んでくるのは、敏捷型前衛の星野エトワールだ。


「黒き野望は、我らが斬り払います! 【フラッシュジャンプ】!」


 眩しい輝きと共にミヤビを飛び越え、そのまま掲げた手を振り下ろす。


「【チェンジアームズ】【シャインセイヴァー】!」


【知力】依存の光の刃を、剣・鎌・槍に変化させるスキルに、無形武器強化の輝きを乗せて振り下ろす。


「くっ!」


 思わぬ見事な攻撃に、防御を選ばされた黒仮面は大きく下がる。

 だが光の使徒の攻撃は、まだ終わらない。


「まだまだいくからね! 【ホワイトノヴァ】!」


 向けるのは、黄金の十字架を模した杖。

 雪崎ヒカリの放つ白光の炸裂が続き、黒仮面はさらに大きく後退。


「……やるわね」


 思わずレンがつぶやく。

 光の使徒の三人は、各自ではもちろん連携の戦いも得意。

 そして聖教都市アルティシアで同行した時よりも、一回りも二回りも動きが鋭くなっている。

 危なげない接敵で、黒仮面の攻撃を退けてみせた。


「黒獅子の攻撃、きます!」


 その隙を見て動き出した獅子の動きに、ツバメが注意を促す。


「「「ッ!!」」」」


 その大きな口から吐き出した【毒風砲】は、毒々しい橙色の砲弾。

 炸裂してダメージと転倒、さらに『劇毒』を付与する嫌らしい攻撃だ。

 だがツバメの注意もあり、各々早い対処ができたことで被害者はなし。

 黒獅子の強力な範囲攻撃で、散った8人。

 そこに、結晶兵器を持った黒仮面たちが迫りくる。


「いいわ、このまま2チームで迎え撃ちましょう!」


『光の使徒とメイ』『白夜とレンまもりツバメ』という形で分断された状況。

 しかし4対4という形であることに気づいたレンは、このままでの戦闘を指示。


「りょうかいですっ」

「貴方たち、メイさんはこの戦いの要。光の使徒が後れを取ったなどと笑われないよう、お願いしますわ」

「「「はいっ!」」」


 こうしてヴァールハイト帝国が誇る結晶兵器との、戦いが始まった。

誤字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

そしてなんと新たなレビューまで……本当にありがとうございます! 感謝感激ですっ!


お読みいただきありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] レンちゃん「ちょっと、何を言ってるのか分からないわね…………いや本当に何言ってるの?」 白夜「とぼけるおつもりですの?」 レンちゃん「知らないものは知らないのよ」 白夜「そうおっしゃる…
[一言] 論理クイズは不正解ですね、基準点が違うのかも 水曜日を基準に考えるので、13日の水曜日と言う感じで日付をつけると分かりやすくなるかも…。
[良い点] 集結までの流れで見当たらなかったから気にしてたけどやはり来たか!光の使徒勢! [気になる点] …一番いいタイミングで出待ちしてたな? [一言] レンちゃんw 海か湖があれば真・闇の使徒長の…
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