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1000/1380

1000.地上目指して突き進め!

 地上への転移装置を目指すメイたち。

 その道は古く、崩壊の中を進む状況となった。


「すげえな、さらにトップパーティが合流か」

「ウェーデンでの戦いを思い出すぽよっ」


 追従組におとずれた危機を救ったのは、シオール達三人だった。


「ここからの進行、手伝わせもらってもいいかな?」

「助かるわ。こういうタイプの仕掛けにはちょっと不安もあるから」


 敵と戦うだけでなく、即死罠もある移動はどうしても事故が起きやすい。

 強力なプレイヤーの助けは、正直心強い。


「消耗もあるでしょ? こっちは来たばかりでMPも減ってないからねっ。ここはローチェたちに任せちゃっていいんだよっ」


 そう言って、バチンとウィンクを決めるローチェ。


「フォローはお任せくださいな」


 ツバメそっくりドールの『スワロー』を連れた、なーにゃも続く。


「かのウェーデンクエストで、優勝を賭けて戦ったトップパーティか」

「間近で動きがみられるのは、楽しみかもっ」


 ここでの先行を買って出たシオールたちに、期待の目を向ける夜琉たち。

 バニーは、可愛いけど一癖のあるローチェに注目しているようだ。


「それでは皆殿、準備はよろしいですかな?」

「もちろんっ!」

「いつでもどうぞっ」

「それなら行こうか。よーい……スタート!」


 メイとアーリィの返事を聞いて、駆け出したのはシオール。

 すると予想通り、再び始まる崩落。

 道が崩れて穴が開き、天井が落ちて岩が降る。


「【攻撃速度上昇】」


 自身へ補助スキルを使うと、シオールは落下してきた岩石をメイスで次々に弾き飛ばす。


「おっきい岩がくるよっ!」

「【聖刃】!」


 メイの声に、すぐさま右手を掲げる。

 メイスから広がる3本の光輪。

 惑星にかかる輪のような形状の光刃が一斉に広がり、大型の落石を刻んで弾く。

 ここで一歩前に出たのはローチェ。

 崩れゆく道を駆けてくる、猛犬型機械の動きをいち早く察知。


「【サンダーウィップ・スプレッド】!」


 放たれた鞭は先頭の猛犬型に直撃し、雷光を炸裂させる。

 かける強烈な輝きは、猛犬型5体をまとめて消し飛ばしてみせた。


「さっすが」


 これにはレン、思わず笑みがこぼれる。

 するとその直後。


「やば……っ!」


 一人の追従組が、急な足場の隆起に体勢を崩して転倒。

 そのまま、崩れ落ちていく足場に巻き込まれて落下する。


「おまかせくださいっ! 【バンビステップ】からの【ラビットジャンプ】!」


 メイの手が空いているというのは大きい。

 落ち行く足場を蹴って、落下中の追従組をつかまえ再ジャンプ。

 華麗な救助に成功した。


「あっ」


 しかし着地しようとした足場が、先んじて崩れ落ちる。


「うわわわわーっ!?」

「メイちゃんっ!」


 思わず驚きの声をあげたメイに、声をかけたのはシオール。


「お願いしますっ! 【ターザンロープ】!」


 メイはすぐさまロープを投じ、シオールの腕に巻きつける。

 普通であれば、シオールも巻き込まれて落下となるだろう。

 だが『ウェーデンのイベント』を知っている面々は、誰一人慌てない。

 なぜならこの腕力系プリーストが、これくらいではビクともしないことを知っているからだ。

 この隙を突いて駆け込んできた、豹型機械に対し――。


「えいっ」


 左手をロープに引かれたまま、空いた右手で【振り降ろし】を叩き込む。

 可愛く言っても、高火力。

 機械獣はその身体をひしゃげさせ、そのまま壁に激突して転がった。

 シオールはそのまま、苦もなくメイと追従組を引き上げる。


「ありがとうございますっ!」

「いえいえ」


 見事に脱落を防止。

 メイとシオールは、笑顔で抱き合う。

 抱き合う腕力コンビの間に挟まれた少女は顔を赤くし、ツバメとまもりが羨ましそうに眺める。


「……第二陣、くるわ!」


 しかし、すぐさま始まる天井の崩落。

 大きくあがった砂煙が、視界を塞いでいく。

「見通しを悪くすることで、落下物や迫る敵の位置を把握しづらくするつもりね……それなら!」


「了解ぽよっ!」

「はいっ!」


 レンの言葉に、即座に応えるスライムたち。


 迷うことなく、迷子ちゃんに【麻痺針】を突き刺した。


「「「なんで!?」」」


 まさかの事態に、驚くアーリィ組とシオール組。


「理由は後で説明するわ! とにかくあいつを片付けましょう!」


 迷子ちゃんをスライムたちに任せて、迫る敵に向かい合う。


「スワローちゃん! 【加速】【宙返り】ですな!」


 この時、後方から迫っていたグリフォン型機械。

 その接近に気づいたなーにゃは、やや足が遅い追従組をまもるためにドールをけしかける。


「【二連空閃】!」


 空中で放つ二連撃が剣閃を生み、グリフォン型を撃墜。


「助かる! 【ヒートランス】!」

「【閃光砲】!」


 それを見た追従組がすぐに追撃に入れば、トドメはツバメだ。


「【アサシンピアス】!」


 最後の一撃が決まり、動きを止めるグリフォン型。

 四人、示し合わせたかのように右手の親指を上げてうなずき合う。


「まだだ! 【爆歩】【月穿ち】!」


 そんなツバメたちの頭上を、跳んできたのは夜琉。

 空中で放つ回転斬りで、二人の上部から落ちてきていた岩石を斬り飛ばした。


「助かりました」

「まだいるにゃんっ!」


 注意の声を上げたのは灰猫。

 地面を喰らい、凄まじい勢いで接近してくるのは、巨大な蛇型機械。

 砂煙を割って、猛然と【喰らいつき】にくる。


「「「うおおおおおっ!!」」」


 その特攻は、防御でも穴に弾き落とされること確実。

 追従組は必死のダッシュで、ギリギリ回避に成功。


「ダメダメっ! そんなんじゃローチェは止められないぞっ!」


 各トップが大技による打倒と、大技ゆえに崩落を助長する可能性があることに迷う中。

 踏み出してきたローチェのあざといポーズに、思わず皆目を奪われる。


「それ、それそれそれっ!」


 ローチェは延伸するムチを連発して、大蛇型に攻撃を叩き込む。

 すると怒りで、さらに激しい突進を繰り出して来た。


「【双死竜】ちゃん、やっちゃって!」


 口ぶりは可愛く。

 しかし現れる二頭の死霊竜は、おぞましく。

 背後から現れた四足歩行型の骨竜は、雄たけびと共に猛然と飛び掛かる。

 そしてそのまま大蛇に喰らい付くと、容赦なく機械獣を壁に叩きつけ、そのまま崩落に消えていった。


「やっるー!」


 その見事な『演出ぶり』に、思わずため息をつくバニー。

 抜け目のないローチェは、自分を褒める言葉が発せられた時だけ聴力100倍。

 即座に「どう?」と、バニーにウィンクを決めた。


「さすがだね」

「まったくだにゃん。こんな状況でも見事に各自の役目をはたしてるにゃん」


 アーリィの言葉に、うなずく灰猫。


「バニーは、ブチ切れシオールも好きだけどね」

「それは言わないでっ!」


 メイ動画でかつての痴態を知ったバニーの言葉に即座に反応、顔を赤くしながら叫ぶシオール。


「「「あははははははっ」」」


 両者を知る掲示板組やメイたちも、思わず笑う。


「うむむ、ツバメさんと夜琉さんの並びは可愛いですな……!」


 一方、白髪黒髪の小柄な二人に目を輝かせるなーにゃ。


「さらにスワローちゃんまで一緒になると、そこはもう天国……!!」


 生まれた並びに、「むふー」と得意げにする。

 直後、得意げにするなーにゃの頭に石がゴスッと当り、ツバメと夜琉が噴き出した。

 これには追従組も、笑いが止まらない。

 崩れ落ちる道と、迫る機械獣たち。

 そんな厳しい状況下でも、楽しげな声が途切れることはない。


「終わりが見えたよっ」


 見えたのは、崩落区画の終点。

 そのままの勢いで駆け抜けたメイたち一団は無事、転移装置のある区画へとたどり着く。


「やったー!」

「早かったわね」


 手を取り合い、歓喜する一団。

 世界を賭けた緊張のダンジョンに、メイたちの元気な声が響き渡った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 論理クイズですがその考え方で大丈夫ですよ、これ以上ヒント出すとほぼ答えになるんだよな…。
[良い点]  メイ「シオールさん!」  シオ「メイちゃんッ!」  少女「え、2人の間とか最高…ってイダダダ!!」 ツバメ「羨ましいです…!」  少女「(声が、出ない…!なんてゆう力…!)」 まもり「…
[良い点] 千話!ついに4桁だぁ! 数あるなろう作品で1話当たりの量からしても偉業! おめでとうございます! [気になる点] タイトルの「1000.地上目指して突き進め!」が何故か地上1000Fを目指…
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