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恋愛もの?

強気でせっかちでドSなリコちゃん

作者: 馬 stallion

久しぶりの恋愛ものでございます。



「もういい!! ワタシが付き合ってあげるんだから、覚悟しなさいよ!」


人生初めての彼女ができました。 


僕は斎藤 マモル 17歳 高校2年生。


茶道部という名の帰宅部に所属して、某創作フレンチ店でバイト三昧の日々を送っていたんだけれど、


バイト仲間のリコちゃんと付き合う事になりました。


リコちゃんは僕よりも1年遅れて入ってきた後輩だけど、歳は1コ先輩で高校3年生です。


ちょっとキツイ性格だけど、ちょっと猫目で鋭い目つきだけど、ちょっと怒ると暴力的だけど・・・。


これといってイケメンでもなく、メガネで痩せっぽちの僕ですが、


リコちゃんは凄い美人です。 髪は長く少し茶色、色白で、北欧系美人で、芸能人のような女性です。


ホール担当のリコちゃんと揚げ物担当の僕の関係は、


リコちゃんのオーダーミスから始まりました。


「ねぇ!?この串カツって何のお肉なの?」

この時既にリコちゃんは怒っていました。 頬を膨らませて、腕組みしてちょっと上から目線ですから。


「え?豚だけど?」

出来る限り落ち着いて僕は答えます。


「じゃあ、トンカツは豚よね?」

僕のトーンに影響されて、リコちゃんも少し落ち着いたようです。


「そうだよ?なんで?」

怒ってない?のかな?


「ならさ、カツ丼!って言ったら豚のお肉よね? トンテキ!もそうよね?」

なぜか急にリコちゃんは怒りが再沸騰し始めます。 至近距離でこちらに詰め寄ってきます。ちょっといい匂いがします。


「じゃあ・・・じゃあさ、カツレツって何?」

ちょっと照れた顔でリコちゃんは聞いてきました。


「あーそういう事か・・・」

リコちゃんのお悩みが判りました。


「いや、カツレツって何のお肉なのよ?!」

判ったような顔をした僕の態度にまた怒りがヒートアップしてしまったようです。

軽く脛をつま先で蹴られました、えーっとパワハラです。


「うちの店は仔牛だね」

店長に確認した事もありますので、間違いない情報です。


「仔牛・・・仔牛ね、でしょ?おかしくない? カツって豚のお肉でしょ?トンでも豚のお肉だけど・・・」

リコちゃんの困惑、判ります。 一度僕もその壁にぶつかり、考えました。


「さっきのオーダー、お客さん豚肉が食べたかったんだ」

リコちゃんのお悩みは、お客さんに怒られた事です。


「そう!そうなのよ! 店長のオススメにカツレツ って書いてあったから、カツレツにしたのよ!

・・・そしたら、これ何の肉だ?!って、訳わかんない! レツって仔牛なの?ねえ?!」

そこは僕に当たられても困るんですが、女の子がこんな事で男子の胸ぐら掴んではいけません。


「じゃあ、僕が説明してくるよ」

この店でホールアルバイトの誰もが一度は困惑する、いわば洗礼を受けたんだねリコちゃん。


僕はお客様にお詫びをして頭を下げました。


そして

「カツレツという名前はもともと、フランスの「コートレット」が由来とされています。

本来、コートレットとは仔牛や羊、豚などの骨付き肉のことを指しますが、

パン粉をつけて調理したものも同様にコートレットと呼ばれます。

コートレットは英語で「カットレット(cutlet)」となり、これが変化してカツレツと呼ばれるようになったようです

お気に召さないようでしたら、申し訳ございません。 僕が豚でコートレットを御作り致します」


とご提案をしてみました。


するとお客様はそういう事ね、なんか聞いた事ある気がする、とか言いながら、「コートレット」を楽しむと言ってくださいました。


事を済ませて厨房に戻ると


「なーーーにが豚のコートレットよ!フランス語? 変なの? ・・・・でも、あ・・・ありが・・・アリガ・・」 

と口ごもっていました。


「どうしたの?」

と聞くと


「ア・・・って言ってるの! ウルサイ!」

とリコちゃんは怒りながら、僕にたぶん感謝の言葉と、二の腕をツネってくれました。


それからというものの


「ねぇ?! キミってオタクなの?変に詳しい事があるみたいだし!」

と頭を軽く叩きながら、急に聞いてきたので


「いいえ、とくに何かに特化している訳ではありません。 強いて言うなら子供の頃から空手を10年やってました、父が厳しくて」

と伝えたところ


「へー意外ね、運動するんだ」

と言ってお腹を軽くパンチする以外に余り反応がありませんでした。


「ちょっと、1番テーブルのフライドポテトまだぁ!? 早くしてよ!」

とご機嫌斜めで、おしぼりを振り回して厨房に現れました。



その日は急な団体で厨房がパニックでしたので、

「フリットですね? 北海道までジャガイモを取りに行っていたので遅くなりました、申し訳ございません!」

と言って冗談交じりでリコちゃんに謝罪したら、


「そう!フリットね、それ! でも言い訳はオヤジギャグみたい! 早くしてよね!」

と笑顔でお客様へ誤りに行ってくれました、僕の頭を叩いた後に。


「ねぇ!マモル! なんでバイトなんかしてるの? いっぱいシフト入っているし!」

と僕の頬をツネりながら、聞いてきたので


「ぅぅ・・・将来、自分のお店を実はやってみたいと思っていまして・・・今は経験とお金を、です。」

とジャガイモの皮を剥きつつ、自分の夢を少し語らせてもらったんですが


「へー、そんな事考えてたんだ?やっぱ真面目なヤツだね! っていうかこの店で良いの?!」

と更に聞いてきたので、

店長のフランス修行などの経歴と高校卒業後の人生設計を説明したら


「あーよくわかんない! まぁ、頑張って! 店出したら食べに行ってあげるから!」

と言って、強めに背中を叩いて行ってしまいました。


「リコちゃんは?リコちゃんの夢は?」


「わ・・・ワタシは良いの! なんでも良いの!ウルサイ!ほっといて!」

と怒って行ってしまいました。


とある日に

「ねぇ!マモル! 明日、日曜日ヒマ?ちょっと付き合って欲しいんだけど!」

と唐突にお尻に膝ゲリを入れられながら誘われました。


「別に大丈夫ですよ、何時にどこですか?」

特に痛くなかったので、淡々と返すと


「○○駅、コーヒーショップ前に7時! 大丈夫!? とにかく集合して!」


「わかりました」


と、いう流れになりました。 リコちゃんの携帯番号などの連絡先も知らされていないので、

翌朝7時にコーヒーショップ前で待っていたら


「あ!・・・あれ!? あああ!ゴメン!!!」

とグレーのブレザーとチェックのスカートで制服姿でテニスラケット持ったリコちゃんが現れました。


「なんで謝るんですか?」

と聞くと


「ゴメン!夜の7時だったの! っていうかそこは夜でしょ!」

と怒られました。 


「では出直してきます、19時にここで待っていますから」

と帰ろうとすると


「もういい!!  ワタシが言いたかったのは、ワタシの彼氏になって!ってだけ!じゃあね!」

・・・と僕の頭を強く叩きながら、謎の告白を。


あれ、返事は? と思った時には走り去っていました。


あまりにもせっかちな流れだったので、伝えた通り19時にまたコーヒーショップ前で待っていたら、


「やっぱりいた!いた! どうするの?付き合うの?付き合わないの?返事は?」

とあくまでマイペースで、脅すように壁ドンしてきました。


「あの・・・お友達からで・・・よろしくお願いいたします。」

と消極的に言ってしまったら、


「なにそれ? どういう意味? え?付き合わないってこと?」

壁をドンドン叩いてきます。


「いや、そうではなくて・・・」

僕はうつむき加減になってしまいました、他の人が見たらカツアゲ・・じゃないかと。


「じゃあYESってことね、ありがと! じゃあね!」

と頭を叩いて、立ち去ろうしていました。


「ええっと・・・じゃあ、またバイトで!」

と声を掛けたら


「もういい!! ワタシが付き合ってあげるんだから、覚悟しなさいよ!」

と満面の笑顔で強めに言われました。


・・・いつまでも強気なリコちゃんに驚いていますが、僕にも彼女ができました。


恋愛・ツンデレ書こうと思ったら、

ただのドSになってしまいました。

注 作者の趣味ではございません、たぶん。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大好物でした(笑)←何が? 夏祭りといい、女性の好みといい、もしかしたら同類なのかもしれませんね。。。( ̄ー ̄)ニヤリ
[良い点] (*´▽`*) ほっとさせていただきました(*´▽`*) こう言う恋愛話、今、ないんだすよなぁ……。 地味だけど滋味がある なんと言う日常のロマンス。 あー、 イイナァ [気になる…
2021/07/30 22:11 退会済み
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