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プロローグ
削れた山、炭と化した森に囲まれた焼けた大地に、一人の男が立っていた。残った片手に持つ剣は、強く輝き、男の眼は、真っ直ぐ前を捉えている。
その男を囲むようにして数十名、黒いローブを被った者たちが各々武器を構えている。
男の視線の先、人間離れした肉体と大剣を持った男が、笑いを見せた。
「お前が最大の障壁だとは思っていたが、やはり手こずらせてくれたな騎士団長。」
そう言った男の笑みは終始崩れなかった。
「よもやここまでの力とは驚いたよ。だが詰みだ。ごみは神には勝てない。」
隻腕の男も、ニヤリと笑う。
「お前らの謀反は成功しない。俺より強いやつなんてたくさんいるさ。」
男は、剣を強く握りしめた。
「この国は、お前らには倒されない。」
握られた剣が一際光を放つ。
それを見ても大剣を担いだ男は、微動だにしない。
「部下を皆殺しにされて希望を語るとは……無意味なことだ。」
焼けた大地が、再び眩い光と爆音に包まれた。