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好きになるってどういうこと?  作者: 五月雨葉月
(IF設定)プロローグ
3/9

-3話

 週が明けて月曜日。


 私はお姉ちゃんたちに見送られて学校に向かい一日を過ごした。


 私は寮に暮らしてるんだけど、毎週末の土曜日と日曜日は家に帰ってお姉ちゃんと遊んだり勉強を見てもらったりたまに清歌さんに仕事を押し付けられたりして過ごしている。


 寮の生徒が他の場所で泊まるには外泊届けっていうちょっと面倒な書類を書かなくちゃいけないんだけど、理事長の伊ヶ崎波奈(いがさきはな)さんに融通を効かせてもらっていちいち出さなくてもいいようにしてもらっている。


 金曜日にお姉ちゃんたちと話した後はスッキリした感じではあったんだけど、土曜日曜とあれこれ考えているうちにまたモヤモヤが湧いてきた。


 波奈さんも生粋の星花叩き上げの生徒で、当時生徒会長だった波奈さんと風紀委員長だった彼方結唯(かなたゆい)さんは大学入学した直後に結婚したとかなんとか。


 ……ちょっと話を聞いてみようかな。

 お姉ちゃんと清歌さんの出会いの話とか普段お互いがどれだけ可愛くて愛してるとかそういう話を耳にタコができるくらい聞いてるから、たまには他の恋愛話を聞きたい。


 波奈さんは分単位で結唯さんと合同で立ち上げた会社で彼女自身が今も社長を勤める天寿の本社だったり、星花女子大とかうちの理事長室、結唯さんのいるニューヨークをはじめ世界中を飛び回ってるものすごく忙しい人なのにいっつも笑顔で優しく接してくれる尊敬できる人。


 五行財閥のいい取引先みたいで、昔からよくうちにも来てたりした。

 そのときにお姉ちゃんと私とも仲良くしてくれて、その時からよく話を聞いてもらったり相談したりしている。

 私が進学先を迷ってたときに星花女子を勧めてくれたのも波奈さんだったりする。


「今日は波奈さんいるのかな……?」


 波奈さんが居るかは分からなかったけど、とりあえず理事長室の扉をノックしてみる。


「は〜い」

「失礼します」


 よかった、今日は居るみたい。


「波奈さんこんにちは」

「あら、椿姫ちゃん! いらっしゃい、どうしたの?」

「ちょっと相談があって……。お時間大丈夫ですか?」

「時間は作るものよ。ほらおいで、お姉さんいくらでも相談乗ってあげる」


 最近気づいたんだけれど、波奈さんは頼られるのが好きみたい。……特に若い女の子から。

 本人曰く若い頃の感覚を忘れないようにするためって言ってるけど本当かなぁ?


 執務スペースから立ち上がって一瞬にして応接用のソファに移動すると、ポンポンと自分の膝を叩いて私の方をニコニコ笑顔で見つめてくる。


 昔私がちっちゃい頃、お堅いパーティーかなんかでものすごく疲れちゃってたまたま近くにいた波奈さんの膝で寝かせてもらったことがあるんだけど、それが波奈さんの何かに刺さったらしくその後私と会うたびに要求してくるようになった。

 高校生にもなったのにまだその習慣は続いてる。


 嫌じゃないしむしろ好きだけど、なんかお姉ちゃんのときといい私がものすごく膝枕が好きな人って思われそうだな……。好きだけど。


 苦笑いをしながら私は波奈さんの膝に頭を乗せる。


「それで相談って?」

「ええと……最近周りにカップルがすごく多くなって……。このままで良いのかなって思ってて。お姉ちゃんに相談したら時間が経てばこの人だっていう人が見つかるって言われたんですけど、やっぱり不安で」

「つまりどんな出会いをしたか私と結唯のことを聞きたいの?」

「はい」


 波奈さんは曖昧な言葉から私が何を言おうとしてるのかを察知して先回りしてくれた。

 それがちゃんと的を得てるから波奈さんと話すのは楽だしすごいなぁって思えてこんな人になりたいなって思ったりしてる。


「そうねぇ……卒業してもう十四年くらい経つのかしら……? 私が生徒会長で結唯が風紀委員長だったってことは知ってるでしょう?」


 こくりと頷く。


「実はね、昔の生徒会と風紀委員ってすごく対立というかライバル意識があったのよ。今よりもっとお嬢様学校だったから掴み合いとかはなかったんだけど、影での権力のぶつけ合いよね……。もちろん今も掴み合いはないと思うけど」

「えっ、そうなんですか!?」

「今からだと想像もできないでしょう? 昔は本当に酷かったのよ。プライドの高いお嬢様たちが社会に出たあとの影響力を強めようとあれやこれやをしてたし、どんなすごい人とお見合いしたとかどんな高くて良いブランド物を持ってるかとか。気に入らない人は陰口いじめで蹴落としあいよ。心を病んで辞めてく子も多かったわ」

「い、今の星花に入って本当によかったです……」


 蹴落としあいだなんて怖すぎる。

 争い合うよりもみんなで仲良くしたほうが絶対楽しいのに。


「そりゃそうよ。そうじゃなきゃあなた達を星花に入る? なんて声を掛けたりしないわよ。そんなことを長い歴史で続けてるから卒業して母になった卒業生たちが自分の娘を星花に入れないようになって、生徒数の減少と共に経営状態が悪くなるのは当たり前だわ」

「そこに漬け込んで理想の学園に変えようとしたんですよね?」

「そうよ。お金を出すから私の好きにさせろって言って、対立を扇動したり古臭い風習とかを押し付ける老害たちを追い出して、校舎も新しく建て替えて昔とは違うんだぞってアピールをしてね。おかげでやっとクラス数も増やせるくらいにはイメージ回復したのよ。一般生徒の募集も始めたっていうのもあるけど」

「なるほど……。それで結唯さんとはどうやって出会ったんですか?」

「そう言えばその話だったわね。昔のことを思い出して語りすぎたわ。……ちょっとお茶にしない? 紅茶でよかったわよね。まだまだ話したいことはたくさんあるから」

「ええ、喜んで」


プロローグである“-(マイナス)○話”部分は内容の一部にプロジェクト全体の設定と齟齬が生じている部分があり、修正も検討しましたがプロローグ全体の流れと今後に繋がる土台が崩壊してしまうためやむなくIFとして扱っています。


詳細は-2話及び-1話にて説明しています。

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