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第24話 Turn - A

 タイシャクとの戦いの後、俺がゲフィと会えたのは一週間後のことだった。


 体力(HP)が無くなった奴はパーティーが全滅するか、倒れてから五分放置していると自動的に最寄の町へと飛ばされる。

 当然、神槍なんてトンデモ武器を持っていても滅茶苦茶強いボス相手にそんな短時間で決着が付く訳なぞ無く、すべてが終わった頃にはゲフィの姿はどこにも無かった。


 だから俺は傷の手当もそこそこに、ヨモツの外に出て探し回った…のだが、ゲフィはどこにもいない。


「あいつ…どこ行きやがったんだ一体」

 最初はタイシャクの攻撃の中に飛び込んだことや女であることを隠していたこと、ゲイングニュルを持っていたことについてなど色々話したいことがあった。


 しかし、翌日になってもいつもの待ち合わせ場所に来ないことから、俺の心中にはむくむくと嫌な想像が沸き立ち始めていた。

 死んだところですぐに復活できるこの世界で、一切連絡がつかないなどということはよほどのことが無い限り存在しない。

「まさか…あいつまで、停滞者になっちまったんじゃねぇだろうな…」

 あの時ゲイングニュルを手にしたということは、タイシャクではなく俺があいつを斃したことを示している。

 であるなら、タイシャクによる状態異常で動けなくなっているという可能性は除外して良い。


 となると…停滞しか思いつかなかった。


 三日目が経ったところで、痺れを切らした俺はゲフィを探しに行くことにした…のだが。


「…よく考えりゃ、あいつどこ根城にしてんだ?」


 思い返せば、俺はあいつがどこで寝泊りしているか知らない。

 普段、約束の時間になればふらりと現れるし、何より契約が済めば用は終わりだと思っていたので特に確認しなかったのだ。


「契約、かぁ…」


 そこまで考えたとき、ふと気付いた。


 …もう、十分すぎるほど付き合ってきたじゃないか。

 多少気に入っているとはいえ、俺は何でここまでゲフィのことを気にかけてるんだ?


 真っ先に報酬という単語が思いついたが、そんなもん、この槍(ゲイングニュル)一本で数千、数万倍の価値がある。このままばっくれる方が賢いに決まっている…


「だが俺にもプライドってもんがあらぁな」


 一瞬とはいえ、魔が差した自分をとがめるように頭を振った。

 そうだ、契約を完了させてもいねぇのに報酬だけ貰うだなんてそれこそ乞食と同じじゃねぇか。


 ……ん? 契約?


 思わず俺はぴしゃりと額を叩いた。

「そうだ、契約だ。何で今までそれに気付かなかったんだ俺は!」

 俺たちは契約ずくで動いていたのだから、連絡がつかないってんなら仲介役の酒場に話を通している可能性に気づいてしかるべきだった!


 今更ながらそのことに気付いた俺は、早速酒場へ向かった。

「ああ、依頼主から連絡着てるよ」

 息せき切って飛び込んできた俺をちらりと見やり、グマのババァはタバコの煙をぷかあと吐き出してから事も無げにそう言った。

「いつから?!」

「ん? あー…確か一昨日くらいからだったかな?」

 てこたぁ、ほぼ即日に連絡してんじゃねーかあいつ。


 思わず頭を抱えてしまう。どんだけテンパってたんだ俺。


「惜しかったねぇ、五日間待つが連絡ないようなら依頼は終了扱いにしてくれと報酬を預かってたんだが」

「んなこたぁどうでもいい! どこだ! どこに行きゃあの馬鹿に会える!!」

 胸倉を掴むような勢いで尋ねると、グマはわずかに目を見開いた。

「…ふぅん。どうやら今回の依頼はあんたに随分といい影響を与えてくれたようだね。今までの、ドブ川で浮いている死んだ魚のような目が大分マシになってるじゃあないか」

 …うるせえ、大きなお世話だ。

「そんな、大きなお世話だとでも言いたげにするんじゃないよ。墓地だよ墓地。大聖堂があるだろ? そこの裏手で待ってるってさ…って、おい! まだ話は終わってないよ!」

 大聖堂まで聞こえたところで俺は駆け出していた。

 だから、俺はグマの独り言を聞けなかった。

「ちぇっ、あんたの居所をかぎまわってる奴がいるから気をつけなって言いそびれちまったじゃないかい」

この章はプロトタイプと比べてもっとも大きく加筆修正しています。

プロトタイプを書いたときは、伝えたい気持ばかり先行した結果、まとまりが無くなってしまいました。

一応今回で余計な部分をごっそりカットして、展開もちょっと変えてみたりしていますが、おかげでマシになったと思う…思いたいorz

何にせよ、書き上げたら冷静になる時間を置いて見直すことの大切さを改めて感じた次第です。

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