無い胸が膨らむ瞬間
私は松下。
中卒という理由で職場が見つからないことに飽き飽きして真昼間からゲームをしているダメ人間だ。
笑え笑え。私を笑えるってことはお前はちゃんとやれてんだよ。はははぁ
死んだような気力で格ゲーをする私は、きっともう取り残された側なんだろうなぁ、多分?
ピピピピ
携帯が音を鳴らして震えた。見てみると、隣に住む幼馴染からのものだった。珍しい。今日は休みなんだな。
内容を見てみると、新しいゲームが完成したから是非プレイしてほしいとのこと。
しかもそれは、小学生の頃に考えた設定ほぼそのままのものだとか。
これは良い!!
それはきっと、私も一緒に考えたアレだろう。
___軍人の人造人間たちの戦争物語。
戦争物語というのは少し大規模だが、人造人間たちが軍の中心となり、国を広げていくーみたいな話だった筈だ。
懐かしいなぁ…
確か、ゲーム版の他にも小説版、アニメ版に劇場版…実写まで考えたっけか
私はヘルっていう、武器を自在に創造して扱える元敵キャラが好きだ。
最初は主人公のエンペラーってやつに敵対する立ち位置だった筈が、エンペラーにフルボッコの上で勧誘されて折れちゃったかませ犬みたいな奴でも、私にとってはかなり推し!
他の人造人間と違って輝くようなイケメンってわけでもないし、努力家だし、かなぁーりいい奴!
はぁ…ゲームができたってことはヘルも動くのかぁ…
『わかった』とだけ返信してすぐに身支度を整える。
新しいゲームを心待ちにしていた心臓が脈打っていた。