服屋さん
よし!今日も良い天気だ。
こんな日はギルドで依頼をこなすのに限る。
まぁ、それをしなきゃならんのだけどね。
カウンターの前を通る時にベックさんに挨拶をする。
「おはようございます。今日もギルドに行ってきます」
「おう、おはよう! ってかいい加減服を買ったらどうだ? 服のセンスは俺はよくわからんが、それ変じゃないのか?」
⋯⋯。
それは早く言って欲しかった。
そうでなくとも昨日は『これが俺のスキル』とか想像して、ニヤニヤして引かれてるんだぞ。
「ソデスヨネー。えーと、服はどこで買えますか?」
「服なら店を出てギルドとは逆に歩いたところにある青い屋根の所だぞ」
「すぐに行ってきます!」
俺はダッシュで宿屋を後にする。
なにこの世界、精神攻撃しすぎじゃない?
全財産は28k。これで買えることを祈りながらお店に入る。また、武器を買うのが遠退いていく⋯⋯
「いらっしゃいませー!」
なぜ、可愛い子がいる⋯⋯?
ここはおばさんだろ。スウェット姿でたいして金を持ってない状態で会いたくないタイプNo1だぞ。
「すいません。28kで買えて動きやすい普通の服を下さい。」
「わっかりましたー! ちょっと待ってて下さいねー」
良い子だな。勇気をもって声をかけて良かったよ。
しばらくするとパーカー・シャツ・ズボン・靴を持ってきてくれた。これで靴はベックさんに返せる。
「試着して見ますかー?」
「えっ⋯あ⋯はい。してみます」
更衣室に案内され、着てみたらピッタリだった。
靴のサイズもだ。ベックさんから借りた靴はちょっとゆるかったからこれなら歩きやすい。
「ピッタリです! サイズを伝えてないのに凄いですね。」
「そーですかー? 服屋を、営む為の必須スキルですからね!」
⋯⋯。
なんだと?スキル?あるのかスキルが?
「⋯⋯。えっと、その⋯⋯あの、スキルというのは長年の勘とかそう言うのではなく、人を見たらサイズがわかる。とかの覚える事の出来るスキルなんですか?」
「えっ? 当たり前じゃないですかー! あ、もしかしてスキル知りませんでした?」
来ました。新しい情報です。
合計で28kジャストとキツい額ではあったものの来て良かった!