プロローグ
ゲームをやるならチュートリアルがあるし、オモチャを買えば説明書が付いてくる。操作方法もやり方もわからずに何かを始めるって言うのは難しい。つまりだ。俺の知ってる世界では【お約束】がある。それが存在しない世界って⋯⋯
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『ごめんなさい⋯⋯』
何処かで聞いたことのある懐かしい声。
⋯⋯?
ズキンッ。いった! その痛みで目が覚めたが、どっかぶつけたか? 頭を擦りながら目を開けたけど知らない景色が目の前にある。
ん⋯⋯? ちょっと待て。ここはどこだ?
目の届く範囲には草と木、それに遠くの方に見えるのは山々。
まだ夢か? 頬をつねってみたが痛い⋯⋯夢じゃないのか?
よくわからん! それに『ごめんなさい』⋯⋯幻聴か、それともここに誰かいたのか?
思い出せる記憶を必死に思い出そうとするが、その度に頭痛に遮られ、うまく思い出せない。
ただそれでも、こんなところにくる記憶は持ち合わせていないのは確かだ。⋯⋯VRか? そう思って目を触ってみるがそんな装置は付いてはいなかった。
⋯⋯う~ん、まさかなっ。ははっ。
馬鹿馬鹿しい考えが頭に浮かんだが、それは俺がアニメが好きだからだし、そんなこと現実にあるはずがない。
でも俺は、この現実とは言い難いこの状況にそんな妄想に捕らわれていた。
そんな事を考える俺がおかしいよな? それはわかってはいるんだけど、目の前の光景を見るとな。
ん~でもあれか! もし本当にそうなら、その前のイベントがあるのが普通だろうし。まぁなんにせよ、歩くか。ここにいても仕方ないし。考えたってわかるもんじゃない。
そんなわけで適当に、楽天的に考えてしばらく歩いていたけど、変だよな⋯⋯。
少しでも体力を維持しようと思い、木々の日陰を歩いていたのだが何か妙だ。
自分や木々の影がおかしい⋯⋯。
影の何がおかしいのかは、上手く説明できないのだが、何か気になる。何気なく、ふっとを見上げた時──
⋯⋯ははっ。嘘だろ?
俺は今いるここが今までとは違うっていうことがわかった。わかってしまった⋯⋯
いや、わからされた。
──太陽が二つもある。
自分が知っている太陽とほとんど同じ大きさの物と、それよりはやや小さい、だが強い光を放つ球体。
これを見た今、認めるしかない。
そうここは違う場所⋯⋯違う世界だ。
俺はそれを表す言葉を、一つしか知らなかった。
「はぁ~マジで、【異世界】なのか⋯⋯」
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