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 俺が家を出てから1週間が経過しようとしていた。


 その間に、遂に“なろうユーザー”陣営と天津 紀彦が率いる“堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”軍との最終決戦の火蓋が切って落とされる事となる。


 何でも、この段階で未だに生き残っている戦闘に特化した“なろうユーザー”達は、本来の“堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”との相性の悪さを跳ねのけるほどに凄まじい能力を持った猛者ぞろいであり、従来の指令通り、戦闘向きでないなろうユーザー達にまで戦力を分散させていては各個撃破されるのみ、と天津は判断したらしい。


 ゆえに天津は、これまでの『なろうユーザーは見つけ次第根絶やしにせよ!』という指令から『戦闘力(=自作品の人気)が高い人気作を執筆しているなろうユーザーを優先的に排除せよ!!』という方向へと変更し、最後の一大決戦となる大規模侵攻をなろうユーザー達に仕掛けてきたのだ。


 天津の指令を受けて、“十六の災禍フレンズ”にはない完全に統率された動きで陣形を組んだ“堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”の軍勢が、物量に任せて超人クラスの“なろうユーザー”達へと迫っていく。


 この一戦で、世界の命運が決まる――!!


 誰もがこの局面に夢中になっているからこそ、俺のような者にもチャンスが巡ってきていた。









 ――超絶私立・どらやき高校――


 戦場を見渡せるこの学校の屋上に出現した天津は、“堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”達が繰り広げる死闘を眺めながら、物思いにふけっていた。


「“人は十の数に、王の影を見る”――か」


 それは、数少ない“永遠の王”と直接対話出来る機会を得る事が出来たときに、王がふと、何の気なしに呟いていた格言であった。


 己のような矮小な身には、この王の言葉にどのような意味が込められているのかを知ることは出来そうにない。


 ゆえに、天津は忠実なる王の従僕として、この世界を絶対的な権威のもとに統治しなければならない……という使命感に燃えていた。


「王の深き真意を未だ読めぬ卑小な我が身なれど、この世界を統べる将としてやるべき事くらいは心得ている……出てこい、ドブネズミ!!下賤な貴様の体臭は臭くて、隠れていてもすぐに分かるぞ!」


 天津が声を張り上げる。


 数秒してから、ギィ……ッという音を響かせて、重厚な屋上への扉が開かれる。


 そこに姿を現したのは、一人の青年――黄泉瓜よみうり 戦人ばとらであった。


 ――かくしてここに、この天津あまつ 紀彦のりひこ黄泉瓜よみうり 戦人ばとらという両雄が並び立つこととなる。





「私服とはいえ、年の頃からしてこの学校の生徒でもおかしくないが……その様子を見るに、私と相対するために姿を見せたことは間違いないらしいな。……だが、解せぬ。何故、この場所に辿り着く事が出来た?」


「……情報探知系に特化した“なろうユーザー”がアンタのいそうな場所にアタリをつけて、他の強力ななろうユーザー達をその場所に大々的に動かしていたからな。そいつらはアンタの使役する怪物達に行く手を阻まれていたみたいだったけど、俺はロクになんの力もないなろうユーザーだったから、マトモに遮られることなくアンタのもとまで辿り着くことが出来た、ってわけだ」


 天津が潜伏している場所の候補は、他にもいくつかあった。


 ここへ来たこと自体が無駄足になる可能性もあったが、それでも構わなかった。


 何故なら俺はもともと何の制約もないひきこもりの不登校であり、今更時間を多少浪費したところで特に支障はない。


 懸念していたことがあるとすれば、俺が天津のもとに到着する前に“なろうユーザー”達が“堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”の軍勢によって全滅させられる可能性もあったのだが、彼らは俺が思っていたよりも遥かにしぶとく、俺も運よく3回目の挑戦で目的の場所に辿り着くことが出来ていた。


 ……だが、この先は一寸たりとも油断は出来ない。


 “堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”という存在が、“なろうユーザー”に対して絶対的な優位性を持っている以上は、今のままなら状況は“なろうユーザー”達にとって不利であることに変わりないからだ。


 ゆえに、“なろうユーザー”の猛者達の防衛線が敗れ去り、“堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”の軍勢が本来のジャンル・実力を問わずに全てのなろうユーザー達を殲滅するという作業に戻れば、奴らの主人である天津に最も近い場所にまで接近した俺が真っ先に始末されることになる。


 そうなる前に、俺がコイツをどうにかしなければならないのだが……。



(マズいな……何の策もないぞ!!)



 俺はこれまで“小説家になろう!”において一作しか投稿した事がなく、“堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”に目をつけられなかったことからも分かる通り、“なろうユーザー”としては権能を発動させるだけの世界観も持たない最弱クラスに位置していると言っても過言ではなかった。


 こうして奴らの目を掻い潜り天津に出会うだけならそれで充分だったかもしれないが、そこから更に奴を何とかしなければならなかったのに、俺は『特に何の対抗手段もないが何とかなるだろうし、俺が死んだところで引きこもりがこの世から一人減るだけだろ』というニート特有の根拠のない自信と捨て鉢な姿勢のまま、天津の呼びかけに答えてノコノコと直接対決することになってしまっていたのだった。


(……クソッ、マジでこれはヤバイぞ!!早く何とかしないと!)


 俺の頬を冷や汗がツツッ……と、流れていく――。





(私のもとに来たコイツは一体、何のつもりなんだ……?)


 天津は自分と対峙している眼前の相手を、訝し気にジッ……と見つめていた。


 この青年は自分を倒しに来た“なろうユーザー”であるはずなのに、何の権能も発動させる素振りもなく、所在なさげに佇んでいるのだ。


 “堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”が特に反応も示さなかったことから、雑魚であることは間違いないはずだが……。


 まさか、マトモな思考の持ち主ならば、何の策もなしに自分の前にノコノコと姿を現すはずがない、何か罠をしかけているのではないか。


 もしもそうならば、偉大なる“永遠の王”の統治を完遂するためには僅かな不備も許してはならない。


 そう判断した天津は警戒を緩めることなく、戦人に気づかれないように自身の権能を発動させる――!!


 天津の意識が莫大な情報の波へと繋がっていく。


 これこそが天津が“永遠の王”から授けられた権能であり、天津は世界の根源アカシック・テンプレートへと自身の意識を接続し、この世界のあらゆる存在の情報を収集・改竄する権限を有しているのだ。


 そこから得た目前の少年のデータを読み上げ、天津はニヤリ……と口元に獲物を嬲るような笑みを浮かべる。


「……フムフム、名前は黄泉瓜よみうり 戦人ばとら、昨今のラノベでもなさそうな出だしでダダ滑りなキラキラネームの持ち主だな。……だが、経歴自体は名前とは対照的に中学の頃にイジメに遭って以来ずっと不登校、となかなか面白いオチがついているようじゃないか!……貴様、作品なんか無理に練らなくても、自分の人生をそのまま書き出した方が道化としてよっぽどウケが取れるんじゃないのか?ハハハハハハッ!!」


「……なんだと、テメェ!!な、何でそんな事知ってるんだよ!……そ、それに俺の過去なんて今は関係ないだろッ!」


 声を荒げながらも、涙目でしどろもどろな状態になる戦人。


 だが、天津は容赦することなく、戦人を精神的に着実に追いつめていく。


「ん……?ハハハッ!いや、貴様は作品といえるモノすらロクに執筆していなかったのか!いやはや、唯一書き上げたのが『“エッセイ”というジャンルを全否定するためのエッセイ』とは……引きこもりは“矛盾”という言葉すら満足に、誰からも教わる機会がなかったとみえる!……クククッ、なるほどな。これがもしも、マトモに実力で勝てないからこそ、私を笑い死にさせる!という算段だったとしたら、まさしく貴様は稀代の策士といえなくもないな……!」


「……ッ!?」


 顔を真っ赤にしながら、プルプルと小刻みに身体を揺らして睨みつけてくる戦人。


 それが、この場で彼が出来る唯一の抵抗だった。


「……といっても、悠久の大義を誇り重大な使命を与えられた私が、貴様のような世界にとっていてもいなくても変わらない屑のためになど死んでやるつもりは更々ないがな。……というか、貴様は自身の駄文の中で『“エッセイ”は何も生み出さない、それどころか、無駄な批判で邪魔にしかならない』などと書いていたが、それは丸々貴様自身の事だろう?……そんな痛々しい自己紹介を全世界に向けて公表するなど、私ならばその日の夜に悶死してもおかしくはない所業だな!」


「おぉ、そうだ!」と天津はわざとらしく手を叩くと、両手を広げながら何もない空間へと両手を伸ばす。


「貴様に人生の先輩としてありがたい“助言”を授けてくれる者達の情報を抽出してやるとしよう……出でよ、“荒ぶる螺旋翁”!!並びに“五月蠅さばえる悪食の王”!!眼前の愚者に、貴様等の流儀を叩き込んでやれ!」


 天津の両隣に出現したのは、背後に竜巻を纏いながら宙を回転する翁の面と、巨大な蠅の魔王であった。


 これらの異形のモノ達は、天津が世界の根源アカシック・テンプレートに再度介入し、“小説家になろう!”内において戦人のエッセイを嘲笑していたユーザー達の情報を抽出し練り上げ創り出した超常の存在であった。


 2体の異形は創造主である天津の命のもと、猛然と戦人に突撃していく――!!


「ウ、ウワァァァァァァァァッ!?」


「……貴様には、偉大なる“永遠の王”の威光を知らしめる必要すらない。ただそこで貴様に相応な下賤なモノ共に潰されながら、その惨めな生を終えるが良い……!!」


 戦人に直撃した翁の面と大蠅の魔物によって、戦人の存在が侵食されていく。


 それと同時に、この異形の怪物達を生み出した者達の悪意ともいえる感情が、鮮明なイメージと共に、戦人の中に流れ込んでくる――!!


(や、やめろ……俺の中に入ってくるんじゃねぇ!!……俺を馬鹿にしているが、アンタなんて現実では、口から三日間洗わずに放置しておいて蠅がたかってそうなカマボコ板みたいな悪臭を放つオバハンに過ぎないだろ!?お前なんか、イイ年のくせにロクな人生経験もない無職だから、右やら左とかいう大層なイデオロギーの話を持ち出すことでしか自分を大きく見せる方法を知らない哀れな底辺のオッサンに過ぎないだろ、この老害!!……そんな奴らが俺を、未来ある俺の事を、馬鹿にするんじゃねェェェェェェェェッ!!)


 嘲笑する笑い声、侮蔑的な響きが戦人の心を蝕み、憎悪だけがそびえたつ糞の山のように積み重なっていく――。


このまま、何もかも全てを破壊し尽くしたい、というドス黒い衝動に呑み込まれていくだけ……。


 心が完全に闇に塗りつぶされようとしていた――そのときだった。









『……なぁ、お前はこのまま無意味に人生終えるつもりか?』









 意識を完全に手放す間際に、姉貴に言われた言葉が俺の中で浮かび上がってきた。


 ……あぁ、そうだ。


 こんなところで訳も分からないまま、天津ヤツの思惑通りに消えてやるわけにはいかない――!!


 今も悪意は留まることなく俺の存在を蝕んでいく。


 だが、そんな絶望的な状況の中でも俺は自分の意思を取り戻す事が出来た。


 今までさんざん酷い悪態をついてきたし、内心で“低学歴”やら“フリーター”だの見下してきていたけど、それでも姉貴、アンタは俺にとって間違いなく最高の家族だ――!!


「……それに帰りにチョコチップ味のアイスを買ってくるように言われてたんだったな。それを放っぽり出してこんなところで道草食っていたら、まだアイツにドヤされるちまう……!!」


 どう言い訳したところで、自分は情けない考えなしの無能な引きこもりに違いない。


 だが、それでも去り際に姉に言ったあの言葉まで無かったことにするような嘘つきにだけはなりたくなかった。


 姉貴に感謝すると同時に、今の自分はどうしようもない人間だった、という事実を認められる気持ちが芽生えてくると、現在俺に纏わりついている悪意に対しても違った心境で認識出来るようになっていた。


 俺は今まで嘲笑してくるコイツ等の事を心底憎んでいた。


 だが、自分の不甲斐なさを自覚することによって、俺はコイツ等のような赤の他人に馬鹿にされてもおかしくない愚かな事をしたのだ、と受け止められるようになっていた。


 そう一度認識出来るようになると、今の俺にとってこの怪物達は憎悪すべき敵、とは到底思えなくなっていた。


 そんな俺の心境の変化に影響されたのか、俺の内面を食いつぶしていた翁の面と蠅の魔王の勢いが次第に和らいでいく――。


「あぁ、そうだ……アンタ等は読まずに無関心に済ます事だって出来たのに、興味を持ったうえで自分の時間を使いながら俺のあのエッセイともいえない罵詈雑言の羅列を読んでくれてたんだよな。……なのに、そんなアンタ等の感想が気に入らなかったからって逆恨みしていた俺は、まさに底なしの馬鹿という他ねぇよ……!!」


 天津の言葉じゃないが、これは確かに悶死してもおかしくないほどに凄まじい醜態だ。


 ……でも、ここまで曝け出したからこそ、俺は半端な意地を掻き捨てる事が出来るようになっていた。


「……恥の上塗りですげーみっともない話なんだけどさ、俺は頭も良くないし異能力に目覚めた他のなろう作家達みたいに強い戦闘能力なんて微塵も持っていない、顔だって別に良くないし知っての通り、何かの批判をするときくらいしか熱を上げられないどうしようもないクズなんだ。……だけど、そんな無能なひきこもりの俺が外に出てらしくもない事をしなきゃいけないほど、今はここで動かなきゃいけないときなんだ……!!」


 翁の面と蠅の魔王は動きを止めて、ジッ……とこちらの様子を見つめている。


 俺はそんな彼らに対して、真摯な気持ちで言葉を告げる。


「……だから頼む!!アンタ等が今でも僅かにあの作品を読んで感想を書いてくれたときの興味を俺に対して僅かにでも持ってくれているのなら……!今この時だけでも構わないから、俺に力を貸してくれ――!!」


 今までの日々を無為に生きてきた俺が、これまで研鑽を積み上げ傑作を書き上げてきた“なろうユーザー”達に匹敵するような力を得ることなど、天地がひっくり返ってもあり得ないだろう。


――だけど、それでも俺は僅かに残された可能性へと手を伸ばす――!!


……俺はもともと無力で空っぽな存在だったんだ、なら、人外染みた悪魔のような力の一つや二つを受け入れられるくらいの容量はあるはず――!!


そんな理屈とも言えない暴論で、自分の気持ちを奮い立たせる。


2体の異形はそんな俺の懇願に応えるかのように、再び俺の中に、されど今まで深く入り込んできた。


……だが、そこに先程までの不快感や嫌悪感はない。


 あるのは自分を理解してくれる存在があるという安堵感であり。


 俺の内部から、今までの人生の中で一度も感じたことのない爆発的な力がみなぎってきていた――!!


「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」


 魂からの叫びと共に、俺の全身から黒色の眩い輝きが迸っていく――。









「……ば、馬鹿な!!一体、何が起きているというんだ!?」


 絶対的な権威の代行者であると自負していた天津が、その肩書きを思わず忘れてしまうほどの驚愕の表情を浮かべる。


 それも無理からぬことであり、悪意から生み出した化物達に始末されるだけの敵とも呼べぬ愚かな青年が、なんと、強烈な黒き閃光に包まれ始めていたのだ。


 何が起きているのかを確認するために天津は、慌てて世界の根源アカシック・テンプレートへと接続する。


 だが、天津に許されている権限では何が起きているのかを閲覧することが出来ない、というあり得ない解答が返ってくるのみであった。


 不可解な出来事の連続に、狼狽を隠せない天津。


 天津がそうしている間にも、黒き輝きは徐々に薄れていき……やがて、その中から一つの人影が姿を現した。


「ッ!?な、何者だ!貴様ッ!!」


 天津が叫んだ先にいたのは、蠅を意識したデザインの硬質な漆黒のスーツらしきモノに全身を包み、顔に翁の面を張り付けた格好良い人物だった。


 その荘厳たる佇まいは、『おきなライダー ゼバブ』という名前で日曜日の朝に活躍出来そうな印象を見る者に抱かせる。


 蠅のフォルムをした漆黒の戦士は、翁の面の向こうから天津へと語り掛けていた。


「そう驚くことはないだろう、天津あまつ 紀彦のりひこ。……俺はアンタが言った通り、彼ら・・から自分がどれだけちっぽけな存在だったかという事を教えられ理解し、その力を借り受けることに成功したんだ……!!」


「そんな、まさか……あり得ない!!私によって創られた存在に過ぎぬモノ達が、私の意に反して貴様に手を貸すなど断じてあり得るはずがないッ!!」


「なんで被造物が絶対に自分のもとから離れない、なんて言い切れるんだ?……絶対に親が言った通りに育つのなら、世間にこれだけニートや引きこもりが溢れかえっているはずがないだろう?」


 引きこもりとなった戦人ばとらだからこそ言えた説得力ある発言を前に、押し黙る天津。


 だが、彼はすぐに思考を切り替え、明確となった目前の“敵”を排除するために、世界の根源アカシック・テンプレートへと意識を接続する――!!


「……クククッ、貴様がどのような権能に目覚めようが実に無意味!何故なら、私には“永遠の王”から賜ったこの神の如き権能を用いて、貴様の存在を塵も残さず消滅させることが出来るからだァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」


 何が起きているのかを理解することは出来なかったが、それでも構う事はない。


 所詮単なる引きこもりの一人、世界の根源アカシック・テンプレートを通じて世界の情報そのものを改竄してしまえば、防御や回避など意味も為さずに瞬時に何の痕跡もなく黄泉瓜よみうり 戦人ばとらという人間をこの世界から抹消出来る。


 そして天津が意図した通り、今度は先程と違って権限が不認可されることなく申請され、天津の目論見通りに戦人の情報が世界規模で塗り替えられていく――!!


「カハハハハハハハハッ!!……これで、私の勝利だ!!残念だったな黄泉瓜よみうり 戦人ばとら?せっかく、新しい力をお披露目出来る機会だったというのに、それを使う間もなく瞬殺されるとは!……クククッ、今はどんな気持ち……」


 そう言葉を続けようとした矢先である。



 ……カラコロンッ。



 この場にそぐわない可愛らしい音を奏でながら、何かが天津の足元に転がってきた。


「……小さい菓子の粒、か?」


 手に取って確認してみるが、特に何の変哲もないチョコの粒のようだ。


 今はこのようなモノに関わっている場合ではない、不確定要素だった黄泉瓜よみうり 戦人ばとらの排除に成功した以上、あとは速やかに残った“なろうユーザー”を一掃し、清らかになった世界で自分が唯一無二の作家としてデビューするのみ……。


 そのように思考を切り替えようとしていた天津だったが、顔を前に上げた瞬間に絶句することとなる。


 何故なら天津の視線の先には、世界の根源アカシック・テンプレートの改竄によって存在ごと書き換えてやったはずなのに、依然として戦人が佇んでいたからだ。


 戦人は両腕に力を込めており、まるでそんな彼の気合に応えるかのように、彼の足元がチョコレートの色へと変化していく……。


 それと同時に、世界の根源アカシック・テンプレートから天津へと『何度も試みましたが、実行に支障をきたす事態が発生しました』というエラーを伝える旨のメッセージが今更届いてくる。


「き、貴様、一体何をしたというのだ!?」


「……今まで通りの世界で戦い続ける限り、権能に目覚めた“なろうユーザー”達や現実の軍隊を軽く一蹴し、神の如く振る舞うお前という存在に勝つことは出来ない。……だから、俺はお前を凌駕するために世界そのものを塗り替えることにしたんだ……!!」


 自分のような何も積み重ねてこなかった引きこもりが突然やる気を出したところで、既に絶賛されるような傑作を生みだし、圧倒的な権能に目覚めている“なろうユーザー”に並び立つことなど、普通ならば到底ありえない。


 だが、本当に天地をひっくり返すくらいのことが出来れば、自分も歴戦の“なろうユーザー”達どころか天津 紀彦に匹敵する力を得る事が出来るのではないか?


 普通なら馬鹿げた話として一笑されるかもしれないが、戦人ばとらに力を貸した“荒ぶる螺旋翁”と“五月蠅さばえる悪食の王”は、両者ともに元が卑小な人間の悪意を原材料にしているとはいえ、世界の根源アカシック・テンプレートによって創り出された存在である。


ならば、天津 紀彦ほどの権限がなかったとしても、限定的ならば世界を塗り替える素質は十二分にあるといえた。


 そうして戦人のもと編み出されたのが、『魔の力によって驕れる神を戒める』という神魔しんま超越神ちょうえつしんとでもいうべきことわり:神魔逆転。


 この理がある限り、天津がこれまで“なろうユーザー”達や軍隊を相手に行ってきた一方的な存在情報の改竄や、場を自分にだけ有利な力場へと変質させるような真似をすることを決して許さない。


 魔王とでもいうべき理を有した戦人が、神の如き権能を誇る天津へと拳を向ける。


「……天津 紀彦、お前の時代は今日この場所で!この俺が終わらせてみせる!!」


「……舐めた口を叩くなよ、引きこもり風情が!!天に等しき権限を“永遠の王”から与えられた私に、貴様如き地を這う虫けらの行為など微塵も及ぶことはないと知れ!」


 そう言うと、天津は颯爽と宙へ浮かび上がる。


 刹那、世界の法則が瞬時に塗り替わり、空中に爆発的な流星群のきらめきが浮かび上がっていく――!!


「直接貴様の存在に介入する事が出来ない、というのなら間接的に他の情報を変質させ、その攻撃で貴様をなろう的に葬り去れば良いだけだ……天に仇為したその愚行、その命を以て贖うが良い……!!」


 存在の情報改竄によって、突如天空に出現した権威の星々が、天から降り注ぐブクマ外しとなりて戦人へと放たれる――!!



「ッ!?グアァァァァァァァァァァ!!」



 喧嘩など人生の中でロクにしたことがない戦人だったが、それでも今の猛攻によって、自分が唯一書き上げたエッセイから、他者からのブックマークが全て消失した事を感じ取っていた。


 ……今となっては、あれがロクでもないモノだったという意識もある。


 だが、それでも人生で初めて書き上げた作品からブックマークがなくなった事実は、戦人にとって単なる数字の減少では済まされない拭い難い喪失感をその胸中に刻み付ける事となっていた。


 だが、そんな戦人の心情とは対照的に、天津が高らかに声を上げる。


「クハハハハハハッ!!貴様のような駄文を書き連ねるような愚物でもブクマを失う事は堪えるか!?だが、あんな何の価値もない敗者の戯言程度の事しか書けない貴様が、この先“なろうユーザー”として活動したところで日の目を見ることはないのだから、早めに現実を知れて良かったではないかね?」


「……何だと、テメェ!!」


 直撃を何とか回避していた戦人が、“なろうユーザー”として残っていた矜持を込めて天津へと激昂する。


 だが、天より睥睨する天津 紀彦という王の代理人は、自身の発言に何ら恥じ入る事はない、と言わんばかりに堂々と宣言する。


「当然の事だろう?何故なら、この世界で徹頭徹尾唯一価値があるのはこの私、“天ぷら☆ハフハフ”こと天津 紀彦が執筆した作品のみなのだからな!!……あぁ、そうだ。私は目先の人気欲しさにありきたりな異世界テンプレに走ることもなく、勝負する事を諦めマイナージャンルに逃げた連中とは一線を画し、貴様のように他者の足を引っ張る事しか出来ん下らんエッセイなどというジャンルに現を抜かすことなく、ひたすらに己が導き出す最高傑作の作品を送り出してきた……!!」


「……」


「……だが、この“小説家になろう!”というサイトにいる者達は、私が渾身の力を込めて書き上げた作品に見向きもしなかった……そのときに分かったのだよ。私が本当の意味で小説家として大成するためには、この“小説家になろう!”というサイトとそこにいる輩を一掃し、もっと広大な世界において飛翔しなければならないのだとな……!!」


 だが、書籍化どころかなろう界隈において底辺ワナビに位置し、“相互クラスタ”に属して組織の力を得る事も選べなかった天津 紀彦というなろう作家は、自分にはそんな現実を変える力はないのだと、苦悩する日々を送ることとなる。


「……そんなときだった。あの方が私に語りかけ、盟約を結んでくださったのは!!」


 ある日、精神が追いつめられ錯乱していた天津が意識を失うと、いつの間にか見知らぬ奇妙な空間へと辿り着いていた。


 天津はその場所で、七つの頭を持つ巨大な獣の前で鎮座する高貴な存在――“永遠の王”と出会い、絶大な権威の担い手である彼と盟約を結ぶことによって、天津は世界の根源アカシック・テンプレートに介在する権限と“堕淫朱隷武ダイン・スレイブ”や“十六の災禍フレンズ”のような異形の軍勢、そして“永遠の王”の尖兵として、己の世界を王のもとに支配する使命を与えられたのである――。


「私の魂を真に救ってくださったのは、絶大な権威たるあの方のみだった……ゆえに私は、この世界からあらゆるジャンルの“なろう作家”達を消し去り、“唯一無二のなろう作家”として、この“小説家になろう!”というサイトを筆頭に世界を王の統治下にまとめあげる責務がある……!!この“小説家になろう!”というサイトには、混迷を深める現行世界を“権威ある未来”へと先導していける希望の箱舟としての役割がある。……そんな重大な船出の最中に、方向を一つに定められないような船頭が何十万人も意味のない雑音を各々好き勝手に喚いたところで、暗礁にしか乗り上げないのは分かりきっていることだろう?」


「……その理屈で言うなら、お前の言う“意味のない雑音”を出すこともなく、慎ましやかに自分なりにサイトを楽しんでいた“読み専”の連中に罪はないはずだろう。……なのに、何故そいつらまで一緒くたに化物共に襲撃させてるんだ!?」


「論外だな、黄泉瓜よみうり 戦人ばとらよ。……“読み専”とされる者達は、“永遠の王”に出会う前の私に何のブックマークや評価ポイントもつけることはなかった。……そんな連中を同じ船に乗せて見ろ。私に賛同することもなく常に叛心を抱えるような奴らなど、いつ寝首を掻いてくるかも分からないではないか。……絶対的な権威のもとこの世界を統治していく以上、僅かな瑕疵かしも許される事ではないのだよ……!!」


 翁の面の下、戦人は先程まで見せた怒りとは違う深い哀れみを込めた瞳で、天に昇りつめ勝者となったはずの男を見上げていた。


 この男は、自分の精神を極限まで追い詰めたからこそ、“永遠の王”がいる領域にまで足を踏み入れ、絶大な能力を得る事が出来るようになったのかもしれない。


 だが、ここまで人間として壊れてしまうくらいならば、例え負け犬の遠吠えや気まぐれな現実逃避に過ぎない内容だったとしても、エッセイを書くくらいの心のゆとりがある方が遥かに人間としてマシなのではないだろうか。


 天津と言う人間を哀れに思うのと同時に、“エッセイ”というジャンルにあったあれほどの嫌悪感が自分の中から雲散霧消している事に軽い驚きを覚える。


 そんな戦人の心境に構うことなく、天津が「もはや、話すことはない」と言わんばかりに、この勝負を終わらせるための闘気を飛躍的に上昇させていく――。


「――“永遠の王”よ、我が呼びかけに応じたまえ!!――野卑たる大衆の穢れを、ここにて薙ぎ払う力を我に与えたまえらんかし!!」


「――ッ!?」


 戦人の足元から、奈落を連想させる巨大なうろが発生したかと思うと、そこから這い上がってきたいくつもの腕が戦人に纏わりつき、作品についていた評価ポイントを一斉に薙ぎ払っていく――!!


「グ、グアァァァァァァァァァァァァァァッ!!」


 身が引き裂かれるような激痛のイメージが、戦人に走る――!!


 だが、地獄はそれだけで終わらない。


 大きく口を開けた洞から、全てを凍てつかせる風が吹き荒れてくる――!!


 風は瞬く間に猛吹雪となり、辺り一面は無限氷河地獄コキュートスを連想させる光景へと変貌を遂げていた。


 例外は、宙に浮かびながらその様子を観察していた天津のみであり、超人的な能力を得た戦人ですら、自分の肉体となろうのアカウントごと完全に凍結させられる事態に陥っていた。


(な、何だと……まさか、奴は運営に等しき権限まで有しているというのか!?)


 驚愕の事実を前に戦慄している間にも、戦人の身動きは為す術もなく封じられていく――!!


「これで終わりだ……と言いたいところだが、貴様には何度も驚かされることとなっているからな。念には念を入れて確実に葬り去ることにしよう……!!」


 天津が氷漬けの戦人に向けて右手を翳し、掌に高出力のエネルギーを集約させていく。


 あと一瞬で全てが終わりを迎える……と思われたそのときである!!



 パキィィィッ……ン!!


 何と、僅かではあるが戦人を覆っていた氷が突如避け始めたのだ。


「ッ!?」


 マズい、と判断した天津が瞬時に掌からエネルギー弾を撃ち放つ。


 派手な爆発と破砕音のあとに煙が立ち上っていく。


 視界が開けた先には、戦人の姿は影も形もなかった。


 天津の渾身の一撃によって、死体すら残すことなく消失してしまったのだろうか。


 ――否、そうではない!!



 ――ブブブブブッ……!!



 蠅の羽ばたきを連想させる飛翔音が天津の背後から聞こえてくる。


 瞬時に天津が振り向いた先にいたのは、スーツの背後から蠅を連想させる羽を拘束で動かしながら飛翔する戦人ばとらの姿があった。


「貴様、飛行能力まで有していたのか!!」


「……ふっ、今の俺は地を這う虫けらなんかじゃない。この無限の可能性に満ちた世界を自由に羽ばたき、険しい嵐の中も翁の面で突っ切る事が出来る五月蠅(さばえ)る戦士だ!!」


「……くそ、まさかそこまで自身の能力を使いこなせるようになっていたとは……だが、それだけではないな!?アカウントまで凍結し、“なろうユーザー”としての貴様は最早絶命していてもおかしくないはず……なのに、何故!!貴様は平然としていられるんだ!!」









 叫びを上げながら、今まで以上にないほど激しく取り乱す天津。


 ……俺にしてみれば、用心のためとはいえ、天津がアカウントを凍結した俺に対してトドメの一撃を放ってきた事の方が意外なんだがね。


「……確かに俺が“なろうユーザー”の作家として権能に目覚めていたのなら、あの猛吹雪以前に流星の段階で結構生命の危機に瀕していただろうな。……だが、俺に宿ったこの力はそういう“小説家になろう!”に根差したモノじゃないんだ」


「“小説家になろう!”に根差した力ではない、だと……?ならば、その力は一体何なんだ!?まさか、このくだらない現代社会の搾りカスともいえる化学兵器などとほざくわけではないだろうな!」


 激昂しながら、声を荒げる天津。


 俺の力はどこまでも天津が創り出した“荒ぶる螺旋翁”と“五月蠅さばえる悪食の王”をもとにしたモノであり、天津が言うような現代社会の科学兵器などでは断じてない。


 ただ、天津が思っていた通り、確かにこの2体の魔物は“小説家になろう!”で活動していたユーザーの情報をもとにしているのかもしれないが、その根底に潜むのは普遍的ともいえる人間の悪意といった原初的な感情だった。


 そんな魔物達をベースにした力である以上、俺は自作品のブックマークや評価ポイントを減らされ、アカウントを凍結されたところで精神面以外でのダメージをそれほど負う事はなく、遂に天津の領域へと接近する事に成功していた。


 “小説家になろう!”というサイトを絶対視して生きてきた天津あまつ 紀彦のりひこという人間には、人の感情が生み出す力の在り方など認められないようだった。


 だが、それでもこの世界を支配する存在として、ここで終わるわけにはいかないと言わんばかりに俺へと相対する。


黄泉瓜よみうり 戦人ばとらよ、貴様は俺と同じ側の人間のはずだ……!!この世界に守るべきモノなど何もなく、他者になど大して関心を持つことはない。……そんな貴様が何故、“なろうユーザー”側に立ち陛下の御偉徳を阻むような真似をする?……背負うべき権威への責任も、描くべき理想の形も持たない貴様に、戦うべき理由などないはずだろう……!!」


 それはどんなに間違っていたとしても、この天津あまつ 紀彦のりひこという男が導き出した真実の言葉。


 “エッセイ”というジャンルを心底憎んでおきながら、その行為の全てが過ちだった、と認めてしまった今の俺にはもう、コイツのように何かをひたむきに追い続けることは出来ないのだろう。


だけど、そんな俺にも譲れない道がある――。


 俺は天津が背負った理想の重さを理解しながら、それでも眼前に立ちふさがる事を選ぶ。


「確かに俺にはお前と違って何の責任や理想もないさ。……けどな、そんな何もなかった俺のような人間でも、奪わせちゃいけないモノがこの世界にはたくさんある事に気づけた。……天津あまつ 紀彦のりひこ、お前は間違いなく最強に掛け値なしの“本物”に違いないが、たったそれだけの事・・・・・・・・・で俺達の存在をゴミのように踏みにじる理由にはならないんだよ!!」


 誰が否定しようとも、天津 紀彦の自身の人生を全て擲ってでも権威と理想を追い求めてきた信念は、人間として尊ぶべき部分なのかもしれない。


 けれど、それがどれだけ偉大な事だったとしても、何もかも正当化して許されてしまって良いのか?


 天津の理想達成のために踏みにじられた人達は、何の信念も価値もない紛い物だなんて本当に言い切れるのか?


 努力や信念はとても大切なことかもしれないけど、それは自分を成長させるための手段であり、人を安易に傷つける道具なんかで終わらせてちゃいけないはずだろう?


 俺はロクに勉強もしてこなかった引きこもりだから難しいことは分からない。……だけど、お前の崇拝している“権威”の旗は、そんな弱いモノいじめの尻ぬぐいにしか使えないようなダサくて薄っぺらい代物じゃないはずだ。


 語りたい言葉は無数になるけれど、俺が今この瞬間にすべきことは唯一つ。


天津あまつ 紀彦のりひこ、お前が無意味な存在と断じ踏みにじってきた俺達“なろうユーザー”の存在がどれほどの力を持つのか………とくと見せつけてやるぜ!!」





 空中で対峙する天津あまつ 紀彦のりひこ黄泉瓜よみうり 戦人ばとら


 先に動きを見せたのは、今度は自分の番だと言わんばかりに闘志をみなぎらせた天津であった。


「………その御大層な“なろうユーザー”とやらが、今更私に何をもたらすというのだ?数十万人もサイトの利用者がいながら、誰にも読まれず絶望の淵にいたあの頃・・・の私を救い上げたのは、“永遠の王”ただ一人だった……!!」


 ゆえに、と天津は言葉を続ける。


「……貴様等がどれだけ自分の価値を誇ろうが、“永遠の王”の権威を貶めることになろうが一切関係ない。……私は己の意思のもと、貴様等この世界に蔓延る“なろうユーザー”共をジャンルも知名度も関係なく、一人残らず消し去ってみせるッ!!」


 ……それは、あれほど魂の拠り所にしていた“永遠の王”の権威を、都合の良い正当化のための道具にする事を辞めた天津あまつ 紀彦のりひこの魂からの叫びであった。


 だが、それは忠実な臣下である事を辞め、自身の激情のままにこの世界を野卑なる獣の如く蹂躙する事を選択する、という“永遠の王”への決別の意思表示に他ならない。


 パキィィィィン……!!という破砕音と共に、“永遠の王”から与えられた世界の根源アカシック・テンプレートへと干渉する権限が天津のもとから剥奪されていく。


 ……だが、殻を破って新たな命が生まれ出ずるように、“永遠の王”の権能を自身の意思のみで打ち破った天津は、それを上回るほどの神に等しき“ことわり”に目覚めていた。


「……これぞ我が唯一無二の理:“逢魔必滅”。……例え、暗き夜が終わりを迎えようとも、我が威光を阻む不埒な輩に、未来あすが訪れることなど永劫に無いと知れッ!!」


 神に等しき権能によって、今までより高くに上昇していく天津。


 その背後には、天津以外の者がこの世に存在する、という事を微塵も許さない“逢魔必滅”の理を宿した巨大な白き太陽が出現していた。


 天津によってこの世界に姿を現した灼熱の天意は、地上に生きる様々な命や社会の中で育まれる多様な在り方すら、煩わしい雑多で不浄なモノにしか過ぎない、と言わんばかりに鏖殺おうさつの光を以て余すところなく照らしていく――。


 超常的な力を得たとはいえ、間近にいた戦人ですら例外ではない。


 太陽に向かうイカロスの翼が如く、蠅の戦士としての羽も焼け落ちていき、戦人は地上へ墜落していく――!!


 間一髪ですぐに体勢を整え、すぐに戦人も“神魔逆転”の理を発動させるが、“逢魔必滅”の光によって、足元に生成した領土がひび割れ、チョコチップのように砕かれていく……。


 戦人がこのまま為す術もなく、自身の“理”で創り出した領域を全て破壊されれば、守る術もなくなった戦人は抵抗する間もなく瞬殺されることになる。


 さりとて、このまま一番天津のもとに手が届く場所にいるはずの自分が何もしなければ、“堕淫朱隷武ダイン・スレイブ”と交戦している最中の“なろうユーザー”達だけでなく、この世界に生きる全ての命があの“逢魔必滅”の発動によって死に絶えることになる。


 ……そんな現状を分かってはいるが、今の自分は天津のもとまで飛翔するための羽を失い、対抗するための理すらも単なるその場しのぎの効果しか発揮出来ない状態で、無残に剥がし落とされていくのをただ黙って見つめることしか出来ない。


 戦人は、それでも諦めるわけにはいかない、と自分を奮い立たせる。


「……ようやく、俺はここまで来たんだ。何度も心が挫けかけた、堪らなく怖かった、それでも、俺はここまで来たんだよ!!……今更、一つや二つ打つ手がなくなったくらいで全てを諦めて逃げるような簡単な性格なら、俺は最初から引きこもりになんかなってないんだよッ!!」


 だが、戦人の叫びも虚しく、現実は非情とばかりに最後の領土を焦がしつくし、殺意の光が彼の身を貫こうとしていた――。





 “神魔逆転”の理が完全に敗れる間際、戦人の内部ではある大きな変化が起ころうとしていた。


 戦人の中には現在、“荒ぶる螺旋翁”と“五月蠅さばえる悪食の王”の2体の魔物がその力を彼に貸し与えるために共生している。


 この人知の理解を超えた超常的存在達は、天津がある人間達の悪意をもとに世界の根源アカシック・テンプレートを通じて創り出した存在だったのだが、現在戦人のひたむきな感情によってその在り方を大きく変化させようとしていた。


 もっとも、顕著な変化を見せ始めたのは“五月蠅さばえる悪食の王”と呼ばれていた大型の蠅の姿をした魔物である。


 ――キリスト教において、暴食の大罪を司る悪魔の王として名高い蠅の魔王:ベルゼブブは、もとは『気高き王』という意味を持つ“バアル・ゼブル”という尊称で呼ばれる高位の雷神だった。


 このバアルという神は時代が降るごとに教義や国の垣根を超えて、その在り方を蠅の魔王ベルゼブブなどに見られるような他の神や悪魔の王として変質させていく事となる。


 現在戦人の中に宿る“五月蠅さばえる悪食の王”はそんな伝承を示すかのように、戦人の人間としてのひたむきな感情と結びつき、悪意で出来た衣を脱ぎ捨てながら、かつての神性を取り戻すかのように“雷鳴轟かせる至高の王バアル・ゼブル”へとその在り方を変質させていく――!!


 そして、嵐を纏いながら回転する“荒ぶる螺旋翁”も同調するかのように、自身の存在を“雷鳴轟かせるバアル・至高の王ゼブル”へと取り込ませていく。


 “荒ぶる螺旋翁”の猛々しい風の属性を取り込んだことにより、“雷鳴轟かせる至高の王バアル・ゼブル”の存在は、究極の戦闘神へとさらに神化することとなる――!!





 それは“逢魔必滅”の光が戦人の身を貫こうとしていた――まさにそのときの事だった。


 突如、翁の面を皮切りに蠅のフォルムをしたライダースーツがひび割れ始めたかと思うと、戦の身体から強烈な雷光が迸り、凄まじき嵐が吹き荒れる――!!


 ……そして姿を現したのは、先程までとは比較にならない武骨ながらも神性さを感じさせる闘争の神へと変貌を遂げた戦人ばとらだった。


 そんな戦人のもとに、どこからか様々な眩き光の粒が集まり結晶になったかと思うと、次々に彼の体内へと取り込まれていく。


(感じる……これは、このまま勝手に終わらせられたくない、と感じる“なろうユーザー”を始めとするみんなの願いだ……!!)


 志や思想の違い、生者や死者の区別すらなく、“小説家になろう”というサイトで生きてきた者達の『無意味な存在としてこの世界から消し去られたくない』という想いが、戦人の中に流れ込んでくる――。


“ファンタジー”。


“アクション”。


“恋愛”。


“SF”。


“歴史”。


“ヒューマンドラマ”。


“推理”。


“童話”


“エッセイ。


……そして、“読み専”。


 失くしてはならないこの世界の宝物達が、十の輝ける紋章となって戦人の身体から浮かび上がる――!!


 この姿こそが、バアル・ゼブルという神が変質を遂げた中でも、最も戦闘に特化した最強の神性の現身:“天地開(バアル・)闢の覇王神マルドゥーク”。


 この力を得た事により、“逢魔必滅”の極光にすら負けないほどの全てを包み込むような温かな黄金の光を全身から放っていた戦人ばとらだったが、その内の輝きが空へと一段、一段と集まり出し、空からこちらを睥睨へいげいする天津へと届く階段を作り出す。


 戦人は、この“天地開(バアル・)闢の覇王神マルドゥーク”に至るための力を与えてくれた全ての者達の想いに報いるために――応報の拳を届かせるために、天津へと至る階段を泰然とした足取りで一歩ずつ踏み出していく。









「“人は十の数に、王の影を見る”……あのときは、その言葉の真意がまるで分からなかったが、まさか“永遠の王”は最初からこの事態を読み切っていた、というのか……?」


 旧世界を廃滅しようとする破壊神を倒すために、十の輝きを宿した新たなる神がこの地に顕現する。


 もしも、それが全て“永遠の王”の筋書き通りの展開だったとしたら、最初から選ばれた存在だったのは権威の従僕として尽くしてきたこの天津あまつ 紀彦のりひこなどではなく、あの黄泉瓜よみうり 戦人ばとらという取るに足らなかったはずの青年だったことになる。


 既に世界の根源アカシック・テンプレートへ接続する権限を失っている以上、それを王に確認する術はない。


 ……だが、このときの天津の胸中に、“永遠の王”に対する恨みやこれまでの忠誠が無駄に終わってきた事に対する後悔、といった負の感情が沸き起こることはなかった。


 彼に去来したのは、言葉にならない不思議なくらいに落ち着いた“納得”の感情であった。


(“見捨てられた”などとは言うまいよ。……“永遠の王”がどのような意図を持っていたとしても、私があの方に救われたことは紛れもない事実なのだから)


 それだけで、自分はこれまでの日々を駆け抜けることが出来た。


 そこに“怒り”や“後悔”が紛れ込む余地などあるはずもなく、結果として王から離反することになっても自分の意思でこの世界を滅ぼす、という覚悟を持つ事が出来た。


 ゆえに、“永遠の王”よ――不忠の輩なれど、貴方には心からの礼賛を送らせて頂く。


「……あとは、貴方に背を向けた者の最低の流儀として一切の妥協なく、貴方に献上すべきだったこの世界を滅ぼし尽くし、新世界のために生まれたあの神すら殺してみせましょう。……そうして、貴方の描くシナリオを永遠に潰し続ければ、宿敵という形で貴方とどこまでも傍にいる事が出来る……!!」


 絶対の権威に背を向けた以上、今更忠義の士としてなど生きられない。


 されど、“永遠の王”を慕う気持ちに嘘はないのだから、どのような形になったとしても王の傍にあり続けたい。


 今や天津あまつ 紀彦のりひこにとって、あれほど重要視していた“小説家になろう!”というサイト、そしてこの世界を壊すということは、“永遠の王”の宿敵になるために行う手始めの課題、という程度の認識になっていた。


 そうとなれば、最早この世界で“唯一無二の書籍化デビュー”とやらにこだわる必要はない。


 あとは、それを妨げる障害である黄泉瓜よみうり 戦人ばとらという邪魔者を排除するために、階段を上がってくる彼に向けて、全力の“逢魔必滅”による極大光線を撃ち放つ――!!









 天上に位置する天津から、これまで以上に凄まじい亡滅の光が放たれ、俺の身体を貫いていく。


 だが、確かに激痛がこの身を走るが、それらの攻撃で俺を焼き滅ぼすことは出来なかった。


「“天地開(バアル・)闢の覇王神マルドゥーク”は究極の太陽神とも呼べる存在……生半可な攻撃くらいで倒せるだなんて思うなよ!!」


 単に太陽の属性に対する耐性がある、というだけの話ではない。


 この“天地開(バアル・)闢の覇王神マルドゥーク”の神体は、“生きたい”という人々の真摯な祈りが収束した光と、“荒ぶる螺旋翁”を取り込んだことにより得た好戦的な嵐の属性。そして、前身ともいえる“雷鳴轟かせるバアル・至高の王ゼブル”の強力な雷の加護によって構成されている。


 太陽、嵐、雷という3つの強大な属性を内包したこの神の力を凌駕するには、それこそ、新たな世界を開闢かいびゃく出来るような桁外れな権能と神力が必要と言っても過言ではない。


 更に速度・威力・数量が増した光線が、散弾銃のように俺のもとに降りかかってくるが、それらを以てしても、俺や黄金色の輝きで出来た階段を消し去ることは出来ない。


 ここに至るまでの軌跡に想いを馳せながら、俺は一歩一歩階段を踏みしめていく――。


「……本当なら、この場にいるのは俺なんかじゃなく、もっと強くてド派手にかましてくれそうな奴や、余裕綽々で困難を乗り越えていけるような奴の方が適任だったはずだ。場違いだって事は自分自身でよく分かっている……!」


 それでも、ここまで来ることが出来た。


 その一歩は確かに、自分で決めた事がきっかけだったが、――決して、それだけなんかじゃなかった。


「俺だけの力だったら、絶対にここまで辿り着くことは出来なかった。……でも、お前が見下してきた色んな存在が、俺をこの領域へと引き上げてくれた……!!」


 戦えない人達に代わって“堕淫朱隷武ダイン・スレイブ”を惹きつけてくれている歴戦の“なろうユーザー”達。


 俺への悪意から生まれながら、頼みに応え力を貸してくれた“荒ぶる螺旋翁”と“五月蠅さばえる悪食の王”と呼ばれる2体の魔物達。


 ……それに、現状にくすぶっているだけだった俺の背中を押してくれた姉貴の存在。


 いつも悪態ばっかりついていたし、内心では“低学歴”とか“フリーター”とか馬鹿にする事もあったけど、今となっては感謝の気持ちしか湧いてこない。


 そして――こんな俺に、自分達の希望を託してくれたたくさんの人々の祈り。


「――それらの全てが、俺をここまで導いてくれた!!……それが全部“無意味”だなんて、誰にも言わせない!!」


 光線の猛攻を耐えしのぎ、階段を昇りきった先。


 何度も挫けかけ、命を落としそうになりながらも、俺は遂に天津あまつ 紀彦のりひこのもとへとたどり着く。


 自分と同じ領域に昇りつめた俺の姿を見て、驚きの表情を浮かべながらも、どこか喜色が交じった声音で天津は俺へと語り掛けてくる。


「……大した力だな、黄泉瓜よみうり 戦人ばとら。それだけの力があれば、貴様が救世主として、この終わりかけた世界を統治していく事も可能やもしれぬな……!!」


「やめてくれ、これは俺だけの力じゃない。何か一つ、誰か一人でも欠けていたら絶対に成り立たない奇跡的な綱渡りの末に掴み取ったモノなんだ。俺一人がそれを使って好き勝手に振る舞って良いわけがない……!!」


 例え、この世界を再興させるためとはいえ、俺が絶対的な支配者として君臨するなら、それは天津が言っていた“永遠の王”の支配と何ら変わりはないはずだ。


 俺がここに立っているのは、天津の代わりにこの世界の支配者的存在に成り代わることじゃなく、この世界に生きる人達を踏みにじるコイツの蛮行を終わらせるためだけだ。


 何があっても、自分の中でそこだけは間違えちゃいけないはずだ。


「……天津あまつ 紀彦のりひこ。お前だってどこかで踏みとどまっていれば、“みんな”とは無理だったとしても、“だれか”と共に生きていくことが出来たはずなんだ」


 社会にはいろんな意見を持ち、様々な境遇を抱えた人達が暮らしている。


 そんな中で、全ての人達を味方にするなんて洗脳のような手段でも使わない限り、神様にだって不可能に違いない。


 だけど、それだけに色々な人達がいるのだから、例えたくさんの人達から避難されたり、見向きをされなかったとしても、どこかで自分の事を認めてくれる人達に出会えたかもしれないんだ。


「――――――ッ!!」


 俺の言葉を受けて、天津が無言のまま固まった表情でコチラを見つめている。


 天津、お前は確かに自分を救ってくれた“永遠の王”という存在に出会えたかもしれない。


 でも、そいつの絶対的な権威に追いすがり、それ以外の他者を“理想を達成するための道具”に貶めてきたから、お前の中には人と真剣に向き合うための言葉がどこにもないんだ。


 ……だけど、それすらも俺の独りよがりなのかもしれない。


 天津は自分を認めてくれた“永遠の王”のためにこの世界を滅ぼし多くの人々を抹殺しようとし、俺は自分をここまで支えてくれた全ての者達のために世界を救おうと天津を倒すための拳を振るう。


 どこかで一つでもボタンの掛け違えが起きていてもおかしくないくらいに、俺達は互いに自分の大切なモノのために全力で戦ってきただけなのだと気づく。


 ……だから、そういう事を踏まえたうえで、俺は自分を支えてくれたモノ達と同じくらいに、俺とは異なる道を選んだ似た者同士の天津あまつ 紀彦のりひこという人間がいたことも、決して忘れたりはしない……!!


「ウオォォォォォォォォォッ!!」


 言葉を失くした天津が、自身の中に残された神力を“逢魔必滅”の理で出来た太陽へと注ぎこんでいく。


 ……あれが爆発でもすれば、この“天地開(バアル・)闢の覇王神マルドゥーク”の神体どころか、この地球そのものが跡形もなく消え去るに違いない。


 俺は、天津と言葉を交わす機会を永久に失ったことを残念に思うのと同時に、それでもせめて踏みにじられた者達の応報の意思を伝えるための神の力を、拳に込めて握り締める――!!


「……天津あまつ 紀彦のりひこ、こんな出会い方じゃなかったら、俺達は気の合う友人として、別の関係を築けたかもな。……だけど、互いにどうしても譲れないモノがありすぎて、遂にここまで進んできちまった。……なら、最後くらいは他の誰でもなく、アンタが等身大の人間だった事を知るこの俺が、引導を渡してやる!!」


「……黄泉瓜よみうりィィィィ、 戦人ばとらァァァァァァァァァァッ!!」


 それが、天津の放った人間としての最後の叫びだった。


 怒りか嘆きか、あるいはそれ以外の感情なのか。


 アイツがあの絶叫にどんな想いを込めたのかは分からない。


 それでも、せめて奴の全力に報いようと、『二倍の応報』の権能が込められた“天地開闢の(バアル・覇王神マルドゥーク”の拳を天津の身体へと打ち放つ――!!


 “天地開(バアル・)闢の覇王神マルドゥーク”としての拳は、これまで俺が受けてきた全ての攻撃を倍にした威力が秘められており、直撃した瞬間に破壊神と化した天津の肉体を消し飛ばした。


 その攻撃の余波は、凄まじき神力を秘めた暴威と化しており、そのまま減衰するどころか全てのモノを呑み込む勢いで、天津が全力で創り出した“逢魔必滅”の太陽を削り取っていく――。


 全ての存在を消し去ろうとした白き殺意は、蛮行を叱りつけるかのような凄まじき嵐と、真に高潔なる者の在り方を示すかの如き気高き雷鳴、そして全てを包み込むようなまばゆき黄金の輝きに抱かれながら、怒りを収めていくかのようにしぼんでいき、内包したエネルギーを分散させながら爆発することなく静かに消失していった――。









「ただいまー。……頼まれてたチョコチップ味のアイス買ってきてやったぞー」


「んー。どうでも良いけど、アンタ帰ってくるの遅すぎー。もう冬になってんじゃん。……まぁ、あとでコタツに入りながら食うから、冷凍庫ん中入れといて」


 ……数カ月ぶりに帰ってきた上に約束を守ったにも関わらず、コイツは変わることなく自分勝手な事を抜かす。


 だが、それでも良いか、と思い直す。


堕淫棲隷武ダイン・スレイブ”達は、天津が“永遠の王”の臣下である事をやめ破壊神と化した時点で天津からの力の供給がなくなったことにより、俺が駆けつける必要もなく、歴戦の“なろうユーザー”によって一網打尽となっていた。


 ……だが、天津あまつ 紀彦のりひこが死んだところで、甚大な被害を受けた世界が完璧に残るはずがなく、いたるところで悲惨な爪痕が残されることとなった。


 そこで俺は、自分の中に宿った“天地開(バアル・)闢の覇王神マルドゥーク”の力をありったけ使い、世界を出来るだけ復元することにしたのだ。


 全部をしたら迷惑極まりないので、復元するときに世界のあちこちをチョコチップ色にしたので、一応家を出る前の宣言は守れたといえるだろう。


 世界の修復活動のために数カ月もの時間を使っただけでなく、俺の中に宿った“天地開(バアル・)闢の覇王神マルドゥーク”という強大な力が失われることとなったのだが、後悔はない。


(引きこもっていただけのあの頃の俺とは違う……何故なら、今の俺は自分の意思で未来を選ぶことの意味を既に知っているからだ!)


 天に届くための羽も、神すら砕く圧倒的な力も既にない。


 だけど、俺には未来を踏み出すための足と、理想ユメを掴むための拳がある――!!


 こんな世界だったとしても、何かを諦める理由なんてどこにもないんだ――!!


「……といっても、この先どうなるか分かんないのも事実なんだよなぁ……」


 天津あまつ 紀彦のりひこという世界すら滅ぼしかねない存在を倒したことで、俺に目をつける勢力が出てくるかもしれない。


 それに今は消失しているとはいえ、一度神ともいえる力が宿っている以上、俺の身体にどんな変化があるのか分からない。


 何より、天津の無限氷河地獄コキュートスによって、なろうのユーザーアカウントが凍結された以上、今後なろう作家として復帰する事が出来るのか不安しかない。


「まぁ、それでも……きっと、何とかなるよな!」


 未来や世界のことが分からなくても、自分に出来ることから、一つ一つ始めていこう。


 そう決意した俺は、まずは今まで行かなかった高校へ向かうための一歩を踏み出すのだった――。





~~Fin~~

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