王子様は猫でした
久しぶりの連載小説です。
不定期更新ですが、週一の更新を最低目標に。
今回は完結させたい。
今までと作風をかなり変えてます。
初のラブコメです。
『俺、2年前に君が助けてくれた猫の生まれ変わりなんだ。』
それは余りにも突然で、私の人生を大きく変える一言だった。
『今日もミューちゃんは可愛いね、はいご飯だよ。』
季節は10月、ここは緑町第二公園のトイレ裏、人が余り立ち入らないこの場所で、猫にキャットフードをあげながら、独り言を言っているのは私、根岸愛子。
今、私が餌をあげている猫は、この公園に2年前から居ついている野良猫のミューちゃん。
ミューちゃんという名前は、この猫の鳴き声がミューに聞こえることから私が名付けた。
私は猫が小さい頃から好きで、昔から毎日夕方になると、この公園のトイレ裏に居つく野良猫を愛でるために、キャットフードを持って現れていた。
この場所が狭いからか、猫は群れるのを好まないからか、ここには一匹ずつしか野良猫が居つかず、ミューちゃんは私が知る限り3代目だ。
先代の野良猫は、ミャオ君と呼んでいたが、2年前に突然姿を消してしまった。
誰かの家に拾われたのか、保健所が持っていってしまったのか今となっては分からないのだが、突然消えてしまったことに私は悲しみを隠せなかった。
猫が居ない間も私は、毎日この場所に通い続けた。
その数ヵ月後、新しい猫がここに居るのを見たときはとても嬉しかった。
今日もミューちゃんを愛でて満足した私が帰ろうとしたとき、突然『ねぇ』と声を掛けられた。
私はかなり焦った、何故ならこの公園では禁止されておらず、今まで咎められたことは無いものの、今の時代野良猫への餌やりは、良いイメージを持たれていないからだ。
私は、恐る恐る振り返ると、そこに立っていた人物を見た。
『み、宮尾君?』
なんとそこに立っていたのは、私と同じ緑町高校1年6組で、みんなからプリンス宮尾と呼ばれている、クラスの王子様、宮尾和真君だった。
私は他人に猫に餌をやってるのを見られたのと、クラスの人にここに居るのを見られた二つの焦りからすぐに早口で言葉を続けた。
『み、宮尾君はなんでここにいるの?』
私がこの質問をした後、何故か宮尾くんは焦りだし、沈黙がしばらく続いた後、衝撃の一言を言った。
『俺、2年前に君が助けてくれた猫の生まれ変わりなんだ。』
え?