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12話 「意志疎通」


 謎の兵士達の尋問を受け須賀は肉体と精神が疲れ果てていた。一般人ならここで廃人となるだろう、しかし須賀は自衛官である。

 

 まだ途中ではあったが厳しいレンジャー訓練に絶えれる程の肉体と精神を持ち合わせており決してここで挫けることはない。

 

 今は耐えて体力を回復させるべきだ。

 

 そう冷静に判断して眠りについていた。

 

 ⎯⎯⎯

 

 ザッザッザッ。

 

 ん、何だ?

 

 誰かが地面を歩く音に体が反応して俺は目を通して醒ました。

 

 回りを見渡す。

 

 ここは捕虜収容所を兼ねた天幕の中だ。気がつけば俺の隣でアオコが眠っていてさらに隣では久我が胸にゼリーを抱きながら眠っている。

 

 バサッ。

 

 天幕の入り口が開くと同時に見張りの兵士達が入ってきた。

 

どうやら兵士達は食事を持ってきたようで食事を無言で地面に置くと去って行く。

 

 「何だこれは?」

 

 食事のメニューは丸いパンと大豆によく似た豆が入っているスープだ。

 

 「貧相なメシだな、でも食えないよりかはましか」

 

 隣で寝ているアオコの顔を叩いて起こす。

 

 「おいアオコ、起きろメシがきたぞ」

 

 パシパシッ。

 

 「んっ、痛い……痛っ何だ?」

 

 「メシだ、隣の久我も起こせ」

 

 「……人間、よくもわたしの顔を叩いたな?」

 

 「ふん、胸を揉まれて起こされないだけましだと思え、そこで寝てる久我ならそうするぞ」

 

 「なっ!?」

 

 アオコは胸を隠す動作をするとジロリと隣で気持ち良さそうに寝ている久我を睨みつけながら起こす。

 

 「小太郎……起きろ小太郎」

 

 チッ、アオコのやつ何で久我の野郎だけ名前呼びなんだよ……何かイラつくな。

 

 「ん、なに……おはようアオコちゃん」

 

 久我は寝ぼけているのかアオコの胸に向かって手を伸ばす。アオコはそれを弾く。

 

 「おい、久我バカなことしてんじゃねえよ」

 

 「ん、もしかして嫉妬してんのか須賀?」

 

 久我がニヤニヤしながら尋ねてくる。

 

 こいつぶっ○してぇ。

 

 久我を無視してメシを食べようとするとアオコが尋ねてくる。

 

 「おい人間、これは餌だろ? どうやって食べればいいんだ?」

 

 「は? そんなの適当に口に放り込めよ」 

 

 アオコはパンを掴むとそのまま口に詰め込んだ。

 

 「んぐっ!? んーん!!」

 

 こいつバカだ。

 

 アオコがパンを口に詰まらせたので背中を叩いて吐き出させてやる。

 

 「はぁはぁ、何だこの口は? 丸のみできないぞ」

 

 「あ、そうかお前元は蛇だったもんな」

 

 蛇は獲物を丸のみしてゆっくりと消化する、アオコは人間に為ったばかりなので人間の食事の仕方を知らない。

 

 「噛んで小さくして食べるんだ」

 

 まさか食事の仕方を教えなくちゃいけないとはおもわなかったぜ。

 

 アオコはパンを両手で持ち小さく噛みつくと口をモゴモゴする。そして何とも言えない表情をする。 

 

 「ゼリーちゃんごはんだよー」

 

 久我はもはやペットと言っていい謎のゼリー状の生物にパンをちぎって与える。

 

 プルプルプル……シュバッ!

 

 ゼリーのプルプルした丸い体から突然細い触手が飛び出しパンを掴み取るとそのまま体内に引っ込んで取り込む。

 

 ゼリーは体が透けているので体内でパンを消化しはじめているのが見えた。

 

 こいつはいったいなんなんだろう……まぁ俺達に危害を加えないようだからいいか。

 

 ……。

 

 あっと会う間に食事が終わる。

 

 ザッザッザッ、バサッ。

 

 足音と共に天幕の入り口が開く。

 

 「うわっこいつらは!」

 

 入ってきたのは見張りを引き連れたローとさらに尋問中に俺の64式小銃をぶっぱなし脅してきたイーヴァという女だ。

 

 今度は何をするつもるだ?

 

 イーヴァが背中に黒い四角い形をした無線機のようなものを背負っていたので警戒する。

 

 「アオコ下がっていろ……久我、アオコをたのんだぞ!」

 

 そう言って後ろを振り返ると久我はアオコと抱き合って震えていた。

 

 この野郎!

 

 「てめぇは何抱き合って震えてんだ!? それでも自衛官か!」

 

 「そんなこと言われてもこいつら容赦なく銃を撃ってくる奴等だぞ!? 怖くてたまんねぇよ」

 

 ローとイーヴァを無視して久我の胸ぐらを掴みに行く。すると見張りの兵士達が俺を止めに入る。

 

 「あなた達やめなさい! それと今は銃を持っていないから安心して」 

 

 聞き覚えのない女性の声が聞こえたので動きを止めて声の主の方を向く。

 

 「あ、言葉が通じる見たいね……ほらローうまく意志疎通できるわ!」

 

 「あ、ああ……どうやらそのようだな(ただのガラクタだと思ったのに)」

 

 「あなた達、もう捕虜を放していいわ」

 

 イーヴァの指示で俺を掴んでいた兵士達が手を放す。

 

 「おわぁ、これはすごい美人な軍人さんだなぁ、はじめまして俺は久我小太郎と言います」

 

 久我がイーヴァの前に行こうとすると見張りの兵士達が止めに入る。

 

 「ふん、これだから雄は……おい人間お前も小太郎見たいにあの雌と交尾したいと思うのか?」

 

 アオコが不機嫌そうに俺に尋ねる。

 

 「お、お前は突然何をいいだすんだ時と場所を考えろ!」

 

 イーヴァは顔を赤くしローと他の兵士達は顔を青ざめさせている。

 

 「ん、私は何か変なことを言ったか?」

 

 「お前はもう黙れ」

 

 アオコは元は野生の蛇なので生殖関係については余り恥じらいがない。だが自分の胸に等を見られるのは抵抗があるらしくもしかしたら人間に変化したことで今後は考え方が変わるかも知れない。

 

 「ごほん、えーと言葉が通じるから改めて質問させてもらうわ、貴方達はいったい何者なの?」

 

 気をとりなおしたイーヴァが質問する。

 

 「ちょっと待ってくれ、あんたら最初は英語を話してたのに何で今は日本語を話してるんだ?」

 

 「今質問しているのは私よ、早く私の質問に答えなさい」

 

 「……うっ」

 

 イーヴァの有無を言わさぬ態度に俺は思わず後ずさってしまう。

 

 ⎯⎯⎯

 

 「(見てロー、今の私はできる司令官でしょ?)」

 

 「(あぁ、そうだな)」

 

 捕虜にばれないようにドヤ顔をしてくる幼馴染みにローは苛立ちを覚えつつも目で肯定する。

 

 これで情報がききだせそうだ。

 

 ⎯⎯⎯

 

 「俺は須賀凌駕だ」

 

 「久我小太郎」

 

 「……アオコ」

 

 俺達は自分の名前を言う。

 

 「そう名前は分かったわ、あなた達はカタラの兵士なの?」

 

 「カタラ? いや違う、俺達は二人は陸上自衛隊だ、けどアオコは一般人だ」

 

 「りくじょうじえいたい? 何なのそれはどこの組織?」

 

 「俺達は日本と言う国の組織で……」

 

 「にほん? 聞いたことないわ……もしかしてあなたデタラメを言ってるの?」

 

 だんだん回りの空気が悪くなる。

 

 なんだよこれ、結局言葉が通じても状況が変わらねぇ。

 

 久我とアオコが不安そうに俺を見てくる。

 

 「コマンダーこの捕虜はやはり怪しいです……ここじゃない別のところでより詳しい話を聞きましょう」

 

 ローがそういうと回りの兵士達がまた俺を掴んでいくる。

 

 「待ってくれ俺達は迷いこんだだけなんだ話を聞いてくれ!」

 

 兵士達が俺を連れて行こうとした時だ。

 

 ウーーー!

 

 サイレンの音が響きわたる。

 

 敵襲!! タタタタタっ パンパンっ。

 

 叫び声と銃声が響く。

 

 「え、いったいどうしたのロー少尉?」

 

 「分かりませんコマンダー、とりあえず今はあなたが指示を出し対処することに集中しましょう」

 

 「え、ええそうね」

 

 まさか!? イーヴァはここで一番偉いのか?

 

 俺が驚いていると兵士達が俺を放して外へ出ていく。

 

 ……。

 

 「うわあああ! ぐぇえええ」

 

 外に出て行ったと思った兵士の一人が驚きの声と苦しそうなうめき声を出しながら再び天幕の中へ入ってくる。

 

 「コマンダー下がってください、こいつはモンスターの襲撃です!」

 

 ローの叫ぶ声が聞こえる。


 天幕の入り口をみる。すると長い舌を兵士の首に巻き付けて喉をならしながら二足歩行で歩く蛙の化物が侵入してきた。

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