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白い死神  作者: 夜白@白い死神
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組織案内

早く戦闘シーンが書きたいと思っている今日この頃。今回は組織の案内がメインとなる話です。


リーダーに呼び出され、組織加入を認められた日の翌日。


私は、朝の支度を進めていた。髪の先端が肩にかかる髪を首付近で簡単に縛る。

着替えは部屋に元々置いてあったパーカーとハーフパンツ使わせてもらう。


今自分の着ている服を脱ぎ、パーカーを羽織る。そしてチャックを閉める。

下もハーフパンツに履き替える。


格好としては、朝ランニングをしている人に見えるだろうか。かなり動きやすい。

一応、短剣を隠し持つ。そうこうしているうちに、扉の外から声が掛かる。


「夜白ちゃん、起きてる?」


ラウラの声だ。


私は、扉を開ける。


「お、起きてたんだね。朝の準備も終わってるみたいだし。その服はどうしたの?」


ラウラは普通に話しかけてくる。昨日狼狽えていたのが嘘みたいに。


「・・・クローゼットに入ってたのを使った」


「クローゼットに入ってた?ここは、夜白ちゃんが来るまで誰も使ってなかったはずだけど。」


「んー、ま、いっか。夜白ちゃんこれ、もしよかったら使って」


ラウラは黒と白のパーカーを差し出してくる。


「・・・これは?」


「それね、私が前に使ってたんだけど、もう着れなくなっちゃってさ。捨てようかな

って思ってた所に夜白ちゃんが来たからあげようと思って」


微笑みながらラウラは話す。


「あ、要らなかったら無理に貰わなくてもいいよ。嫌々使う位なら、使わない方がいいし」


少し声が小さくなったような気がする。


「・・・服、あまり無かったから助かった。ありがとう」


私はラウラからパーカを受け取る。


ラウラの表情は嬉しそうに見える。


「私、今から朝ごはんなんだけどさ、夜白ちゃんも一緒にどう?」


断る理由はないしむしろ好都合かな。何処に何があるか分からないし、ついで

に教えてもらおう。


「・・・ん・・食べる・・・」


頷きながら答える。


「よし、そうと決まったら食堂に行こうか。この時間帯なら、人が少ないはず。」


まぁ、朝4持から食堂にいる人なんてそうそういないか。私は、母さんが起きたら

起きるって生活をしてたから、この時間になると自然と目が覚めてしまう。


・・・そう考えると、なんでこんな早い時間から、ラウラは私の部屋に来たんだろう。


・・・考えてもわからないか。とりあえず、早く食堂に行こう。お腹すいた。昨日

何も食べずに寝たから余計に。


私は、ラウラの後に続いて歩く。


「そうだ、今日の夜白ちゃんの予定を教えておくね。」


ラウラは、私の隣に着いて歩く。


「朝食を食べ終わったら、私がここの案内をします。そのために早くから起こそう

と思ってたんだけど、とっくに起きててびっくりしちゃった」


「ここの案内が終わる頃には、訓練が始まる時間帯になるから、そこでの指示を

聞いてね。」


「しばらくは訓練だけの生活になると思うけど、そのうち時間が空くと思うから、

そのときに外の案内もしてあげる」


そういった話をしているうちに食堂らしき所に着いた。


「ここが食堂。メニューは日によって違うの。」


「普通、食堂って聞いたらいくつかメニューがあって、その中から選ぶっていうのを

想像すると思うけど、そんな予算はないからそういうのはないの」


「でも、味は保証する。おばちゃんの作る料理はとってもおいしいんだから!」


ラウラは幸せそうな表情をして話す。


「あら?ラウラちゃん?こんな早くから来るなんて珍しいね、どうかしたの?」


厨房からエプロンを着た60代位の女の人が声をかけてくる。


「おばちゃん!うん。昨日新しく入った子に、ここの案内をしてあげようと思って、

早めに朝食を摂ろうと思ったの。」


「あら、そうだったの。そこにいる子が新しく入ってきた子?」


おばちゃんは私の方を見て話す。おばちゃんは優しそうな表情をしていて、

まさに、”おかあさん”って感じの人だ。


「・・・夜白です。・・・お世話になります。」


「夜白ちゃんね。私はこの食堂の料理を作ってるウメです。気軽におばちゃんって呼んで。お腹が空いたらいつでも来てね。」


笑顔でおばちゃんは言う。


「おばちゃん、今日は何を作ってるの?」


「生姜焼きだよ。みんないっぱい食べるから、たくさん作らないと」


おばちゃんは厨房で言う。確かに生姜焼きの良い香りがする。・・・まずい、

お腹が空き過ぎて、目眩がしてきた。


「はい、お待ちどう様。冷めないうちに食べてね」


おばちゃんは厨房から、二つの生姜焼きの載ったお皿を差し出してくる。


「ごはんは自分でよそってね。」


「ありがとう、おばちゃん」


ラウラは自分の分のお皿を受け取る。私もそれに習って、お皿を受け取る。


ご飯の入った炊飯器は私達側にあり、それが何台も並べられていた。

私は、お皿いっぱいにご飯を載せる。それを見たラウラは驚いた表情をしていた。


「夜白ちゃん、そんなに食べれる・・・?」


「・・・問題ない。」


私はご飯をよそった後、近くのテーブルに腰をかける。ラウラが来るまで、少し待つ。


「おまたせ、じゃ、食べよっか」


ラウラが席に座る。私は手を合わせる。


「何してるの?」


ラウラが不思議そうに聞いてくる。


「・・・食べる前の挨拶。」


「食べる前に挨拶なんてするの?」


「・・ん。これを作ってくれた人への感謝を込める」


「ふーん。・・・その挨拶私にも教えてくれない?」


「・・・ん」


私はラウラにいただきますのやり方を教える。


「・・・それじゃあ、一緒に」


「「いただきます!」」


私達は、おばちゃんの作ってくれた食事を食べ始める。


おばちゃんの料理は、味付けが絶妙で、濃すぎないし薄すぎない味だった。

私は、その味を堪能しながら、食べ進める。


それは、ラウラも同じのようで、とてもいい顔で、食べていた。


それからしばらく経って、私達は、それらを食べ終える。


「・・・ごちそうさまでした」


「それも、挨拶?」


「・・・そう。これは食後の挨拶」


「そっか、じゃあ私も。ごちそうさまでした」


私たちはお皿を片付ける。


「じゃあ、行こうか。」


私とラウラは食堂を出て、雑談をしながら歩き始める。


私が最初に案内されたのは、シャワー室だった。シャワー室が使えるのは、午前

5持から午前0持まででそれ以降は使えないらしかった。


次に、この建物の主要となる部屋を案内された。その部屋は全部で3つあって、昨日私がリーダーと話した部屋もその一つで、会議室と呼ばれているらしい。


会議室では、定期的に組織のリーダーと幹部が集まって、

話し合いをしているらしい。幹部は5人いるという。


2つ目に大ホールと呼ばれる場所。ここでは組織に在籍している者を全員集めて

作戦の説明などを行うという。だが、そういったことで、使われることは少なく、

組織の頭脳と呼ばれる者達が議論の為に使用している事が多いらしい。


3つ目に各訓練所の案内をされた。訓練所は使う武器によって分かれていて、

組織に加入したばかりの者は自分に合う武器を探すためにそれぞれの訓練所

を巡るという。


「さて、と、細かい所は案内できてないけど、知っておいたほうが良いところは、ほとんど案内できたかな。」


「まだ、もう少し時間あるし、どこか知っておきたい所があったら案内するけど

どうする?」


ラウラは私に聞いてくる。ん~知っておきたい所か。・・・そうだな、この建物がどういうものか外から見ておきたいかな。回りがどうなっているのかも見ておきたい。


「・・この建物を外から見たい」


「了解、それじゃあ行こうか」


私とラウラは外に向かう。途中でリアンと出会う。


「あれ、ラウラに・・夜白?こんな時間にどうしたんだ?」


リアンは尋ねてくる。ラウラは表情を引き締め、先程とは口調を変えながら・・・いや

昨日と同じ口調で答える。


「夜白にここの案内をしてたのよ。それで、一通り中の案内をしたから、今度は

外に行こうと思ってたところなの。」


「そうだったのか。もうそろそろ、訓練が始まるから案内してやるなら

急いだほうが良いぞ。」


「分かったわ、ありがとう」


リアンは訓練所の方に向かっていった。


「・・・ふぅ、この喋り方は本当に疲れるなぁ」


ラウラの表情はリアンと話す前に戻り、口調も気楽なものになっていた。


「・・・なんで、口調変えてる?」


私は思ったことを聞いてみた。


「んーとね、私って一応、部隊の隊長をしてるんだけどさ、今の口調だと、

威厳みたいなのがないから部下に舐められるよって前に言われてね」


「それじゃあ、威厳のありそうな口調を練習しようと思って、私より上の人以外

にはあの口調を使うようにしてるの」


「でも、最近はあの口調を使うと疲れるようになっちゃてね。おばちゃんと私の

師匠のエシアさんと夜白ちゃんにしか素の口調で話せなくなっちゃった。」


ラウラは微笑みながら話す。


「でも、仕方ないよね。私は隊長なんだから」


ラウラは声を小さくして言った。


隊長だから仕方ない、か。・・・私はラウラじゃないから分からないし、そういう経験

もない。けど、それで無理をするくらいならしないほうが良いと思う。

私が言った所で説得力なんてないけどね。


「夜白ちゃん、ここを抜けたら外だよ」


私とラウラは歩き続ける。少しすると、ラウラの言うとおり外に出れた。

私は外に出て少し歩いた後、建物を見る。


私がいた建物は、かなり大きかった。高さは二階建ての民家程で、縦横共に長い建物だった。窓の数は少なく、あったとしても内側、つまり中庭側が見れるようになっているものがほとんだ。


私が今いるのは中庭側だ。残念ながら、この建物の回りの様子はわからなかった。


「・・・大きい」


「ね、私も最初来たときは驚いたよ。」


本当に大きい。でも同時に疑問に思う。こんな建物がスラム街にあったら、嫌でも

分かる。それほどこの建物の存在感は大きい。


それなのに、私を含めるスラム街にいた人達はこの建物の存在に気づいていなかった。そこから考えられるのは、ここがそもそも、スラム街ではないということ。

もう一つは、この建物付近の人々は皆、組織に属しているということ。


でも、重要なのはそこじゃない。この建物は誰が提供したかだ。

考えられるのは、穏便派が提供したという線。一応組織と穏便派は協力関係に

ある。活動の拠点としてここを提供された可能性が高い。


でもこれにはリスクがある。穏便派が提供したということは、向こうがこの建物の

詳細な情報を握っている可能性がある。


例えば、攻め込まれたときに一番脆くなる場所、いざというときに逃げるための

ルート、そういった場所を絞りこめる情報を向こうは持っている。


これが穏便派ならまだいい。でももし、穏便派を操っているのが過激派だったら?

穏便派が知らないうちに過激派に操られていたとしたらそれはもう最悪だ。

だって、この建物の弱点となる情報を向こうが持つことになるのだから。


私のこの考えが合っていて、過激派が攻め込んできたら、私達はかなりの

被害を被ることになる。


それに、あまり考えてこなかったけど、この組織に過激派と繋がる内通者がいる

可能性がある。リーダーは小さい子供を集めて戦力増加を図っているけど、

その子供が別の組織もしくは過激派の内通者だったらという可能性もある。


そう考えたら、この組織はかなり危ない状態だ。それは組織の頭脳と呼ばれる人達も

分かっているはず。その為の対抗策を何かしら講じているのかもしれないけど、

それが、何処まで持つか・・・。


「夜白ちゃん!」


「・・・!」


ラウラが大声で私を呼んでいる。


「やっと反応してくれた。さっきから呼んでるのに反応してくれないから、

物理的に目を覚まさせようと思っちゃったよ」


「夜白ちゃんは無表情だから、反応してるかしてないかも分かりづらいしね」


ラウラは笑いかけてくる。


「そろそろ、訓練の時間だから訓練所に向かおうか」


わたしは頷く。


「よし、じゃ、しゅっぱ~つ!」


ラウラは歩きだす。私もそれに続く。


もし、過激派が攻めてきたとしても、私は黙ってやられるつもりはない。

自分の身は自分で守る。そのために、訓練を頑張らなければ。


この建物の構造を把握しておく必要がある。いざという時のために。

訓練が終わって、夕食を食べて、汗を流した後、この建物を散策するか。


「あ、そうだ、夜白ちゃん。」


「・・・?」


「言い忘れてたんだけど、訓練所を初めて使う人はみんなに自己紹介

しないといけないの。」


「訓練が始まる前はみんな一つの場所に集められるから、そのときに

自己紹介してね」


「・・・分かった」


それから少し歩いて訓練所入口前まで来る。私とラウラが一番最後のようで、

他のみんなは教官らしき人に向かって、整列している。


「私達が最後みたいだね。夜白ちゃん準備はいい?」


私は頷く。


「よし、行こうか」


私とラウラは訓練所に向かって歩き始めた。

読んでくださりありがとうございました!

誤字脱字ありましたら報告お願いします。

次回もよろしくお願いします!

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