表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/161

塔の少女

ヘリオスは、無事ユノを見つけています。

部屋の中央でユノは窓を眺めていた。

その窓の外の景色だけが、今の彼女にとって唯一の変化だった。

太陽が昇りくる時間。

その窓は、最初にその来訪を告げるものだった。


「これさえなければ……」

自ずと首に手を当てる。

そこには金の鎖で編んだ首輪があった。

悲嘆の表情を隠そうとせず、ただ窓の外を眺める。


「いっそこのままこの窓から落ちることができたなら……」

彼女はそっと窓に近づき、それを開けて体を突き出す。


その瞬間、外からの風で中に押し戻されていた。

そして窓は何事もなく、自らを閉めている。


「落ちることもできないのね……」

落下防止魔法がかけられた窓は、体を乗り出さなければ、普通の窓だ。

しまった窓から下を見ると、ところどころにあるかがり火がみてとれた。


「たかいわね……」

力なく、そうつぶやく彼女の瞳には、まだあきらめの色はなかった。


「大丈夫」

彼女はその胸のブローチに向けてそうつぶやいていた。

「大丈夫」

再び言い聞かせるようにその言葉を繰り返す。


その時、いつもよりも早い時間、その窓は明るい光の存在を告げていた。


「ながれぼし……」

思わず祈るようにその手を合わせ、目を瞑る。

彼女の祈りにこたえるかのように、スズランのブローチはその光をうけて輝いていた。


次回、ド派手な入国をしたアポロンは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ