幕間0
改稿にて話数も変更…
「アイオロス……」
そうつぶやきながら、男は何やら書き記していた。
多数の書籍に囲まれた、荘厳な部屋。
その中にあって、ひときわ存在感のある机があった。
その男の雰囲気は、この場所をも圧倒するようなものだった。
「おそばに控えておりますれば……」
影から声が聞こえてきた。
「今、何者かの気配がしたのだが、すぐに消えた。なにかあったか?」
男は書類から目を離さずに静かに尋ねる。
「いえ、わたしにはなんとも……」
それっきり声は沈黙した。
男の書く音だけが、この世界で唯一の音だった。
「そうか」
男は一瞬筆を止め、しばしの思案の後、部屋の隅に視線を向ける。
そこには初老の執事がいた。
「ところで、森のほうはどうなっている」
男の眼は怪しい光を帯びていく。
「現在残りの精霊石を捜索しております。大半は破壊していますので、かの者の力は大きくそがれておりましょう。しかし、残りはなかなか見つからず……」
主人の目的が達成できていないことに、初老の執事は頭を下げた。
「ふん、彼奴め、なかなかしぶといな。おまえでも探せないのだ、しかたあるまい」
男は不機嫌そうに鼻を鳴らしていた。
「しかし、いつまでも時間をかけてもいられまい。何か手を考えなくてはな……」
男は再び書類と向き合い、そう言いながら筆を走らせていた。
主人が再び自分に用事がないことを確認すると、初老の執事は頭を下げていた。
「確かめてまいります。」
そう言い残すと、陽炎のように、その場から姿を消していた。
大幅改稿です。申し訳ございません。