想う力
ユノはルナをハンナの店に連れて行きました。
「じゃあ、カール、紅茶ありがと。ルナ、いくわよ」
おいしい紅茶も堪能できた。
あとは、ルナと約束したお買い物だ。
今日はハンナの店に行く約束をしている。
しかし、ルナの調子がいまいちだ。
ルナは最近調子を崩している。
最初の傲慢さは鳴りを潜めている。
それはそれでよかった。
しかし、おとなしいと言うにも限度がある。
特に私の前では、いえ、カールと私の前ではおとなしいというより、呆然と言った感じだった。
それでも、控えめでおしとやかになっている。
どこからともなく、そういう噂になっていた。
噂と言えば、よくわからない噂もあった。
噂と言うのは元来そういうものだと言われたら、それまでだけど……。
うわさは、私がそういうユノをかわいがっているというもの。
確かにそうだけど、なんだか違う意味も含まれている気がする。
そして、ルナを今のようにおしとやかにしたのは、聖騎士カールの偉業だという噂もあった。
中にはルナはカールに夢中なのだという噂まであった。
カールに?
その噂を聞いた時には、吹き出してしまった。
とかく噂の絶えないルナだったが、たしかにカールに手を取られたときは、放心状態になることが多かった。
今もそうだ。
とにかく、ルナは話題の人だった。
そんな状態でも、体はきちんと動いてくれる。
受け答えも、緩慢ながらこなしている。
よくわからないが、そんな状態だった。
学士院には、しっかり来ているらしいが、私たちの前だとこうなる。
全く危なっかしい。
絶えず、ルナを支えながら歩かないといけなかった。
そうして、やっとハンナの店にやってきた。
「いらっしゃいませ。ユノ様。今日はどういったものをお探しですか? あら? お連れのお客差は……」
アネットは半ば放心状態のルナをみていた。
というよりも、ルナの胸にあるブローチを見ていた。
「どうしたの? アネット」
アネットの様子が変だ
いつもなら、尋ねないうちに、いろいろおすすめ商品を案内するところだ。
しかし、今はルナを見ている。
いや、やはりブローチを見ている。
それだけ見れば満足かしら?
ようやく顔をこちらに向けてきた。
「ああ、アネット。こちらはルナ=フォン=モーントさんよ。よろしくね」
特に意味はない。
アイツとの関係を隠したかったわけじゃなかった。
ただ、何となく、アイツの顔がそれを望んだように思えた。
そう言えば最近会ってない。
また、魔道具作りに専念しているのだろう。
納得した私の前には、目を大きく見開いたアネットがいた。
ルナという名前を聞いたとたん、アネットは小さく息をのみこんだのはわかっていた。
アイツとの話で、知ってたのかもしれないと流したが、そんな感じではなかった。
それは自分の予想が当たったという顔だ。
口に手を当てて、しばらくそのまま動かなかった。
この子にしては、かなり珍しい。
何か思案しているのだろう。
私はそのまま見守ることにした。
「アネット……?」
ずいぶん長い間、そのままだった。
さすがに少し心配になり、アネットの肩に手を置いた。
「すみません、ユノ様。あの、こちらの方、ルナ様の胸にあるのと同じものをご購入された方のことを思い出しておりました」
アネットは商売の基本、顧客名を出さずに話しはじめた。
「その方はとても優しく、無実の罪で投獄されたスラムの子を救いだし、友達だといって私に紹介してくださるような方です。その方には妹がいらっしゃいましたが、自分の不注意で、その方の心に大きな傷をつけてしまったことを後悔されていました。しかし、そのことを謝罪したり、償いをしたりすることもできなかったそうです。そして話をすることさえも周りの方から妨害されていたと聞いています。そのせいでまた、その妹は心に大きなおもりを背負い込んでしまったと言ってました」
アイツのことを言っている。
カールから聞いたから間違いない。
「その方は、もうすぐその妹とこの王都で会えるとおっしゃっていました。そのお祝いに何かを探しておいででしたので、弟がこれと同じブローチを勧めておりました。その方はそのブローチをお気に入りになったご様子でしたので、私はその方にこの花、スズランの花言葉を教えて差し上げました」
そう言ってアネットは一呼吸置き、自分の感情を落ち着かせていた。
「その花言葉は――再び幸せが訪れる――です」
そしてアネットは深呼吸をして、自分の気持ちを落ち着けているようだった。
まだ続きがある。
しかも、アネットにとってはかなり重要なことだと思えた。
それにしても、やはりアイツは知っていた……。
アネットが何を話そうとしているのかはわからない。
ただ、私は知らない。
聞き逃さないように、その続きを待っていた。
「それを聞いたその方は、涙を流されていました。そして、こうおっしゃいました。『たぶんその花言葉は僕の望みだよ』と……」
アネットはそこで小さく息を吐き、言葉をつづけた。
「その方は、ブローチというよりも、その花言葉を自分の気持ちに込めて贈りたいとおっしゃっていました。このことは私の中で忘れられない出来事です」
思わず口元を抑えていた。
アネットも同じように必死に抑えている。
アイツはそんな気持ちでこのブローチを私に託したんだ……。
自分で渡せない気持ちは、さぞかし残念だろう。
自分の想いは伝えられない。
それでも、贈らずにはいられなかった。
アイツの気持ち、そこまで深いと考えてなかった……。
「ちょっ、ルナ!?」
何となくルナを見ていた。
この子の顔が気になったから、その変化に気づくことができた。
「にい……さま……」
ルナの目から涙が零れ落ちていた。
その瞬間、崩れるように倒れたルナ。
何とか支えが間に合った。
「アネット、どこか休ませるところない?」
慌てるアネットに尋ねる。
早く横にさせてあげたかった。
「奥に」
アネットはそう言って、奥へと続く廊下を指し示していた。
私達は、お互い無言でルナを運んでいた。
***
あれからの私……。
いつもどこか違うところから、自分とまわりの世界を見ていた。
手足は拘束されて、身動きが取れなかった。
見ること、聞くこと、思う事だけが私のすべてだった。
しかし、最近になって、時折手足の拘束が緩むときがあった。
それは決まって、聖騎士のカール様に右手を触られたときだった。
正確にはカール様の右手が私の右手に触れた時だ。
そのたびに私は自らの拘束を解き放つべく準備をしていた。
少しではあるが、着実に拘束は弱く、そして脆弱になっていた。
もう少し、あと少し。
もう一人の私に気づかれないように、私は準備をしていた。
あと少しと思える時に、ハンナの店に連れてこられていた。
アネットの話を聞いていた私は、その客がヘリオス兄様であることに気が付いた。
見ると自分の胸にはスズランのブローチがついている。
「その花言葉は――再び幸せが訪れる――です」
兄様はルナの幸せを望んでいる。
「それを聞いたその方は涙を流されていました。そして、こうおっしゃいました。『たぶんその花言葉は僕の望みだよ』と」
こんな私のために、私の幸せを思ってくださる。
私の幸せ。
それは兄様のそばにいることだわ。
「ブローチというよりもその花言葉を自分の気持ちに込めて贈りたい」
その言葉を聞いた瞬間、ヴィーヌス姉さまの言葉が頭の中で響き渡る。
「ルナ、あなたは本当に強い子ですね。でも、どうしようもなくなったとき、そのときはヘリオスを頼りなさい。あの子はたとえどんな状態であっても、必ずあなたの味方でいてくれるでしょう。そしてあなたを必ず助けてくれます」
スズランのブローチ。
カール様の右手にはめられている無骨な指輪
そしておそらくこの方たち
ああ、私はなんて幸せなんでしょうか。
これほどまでに、ヘリオス兄様の愛情に包まれている。
瞬間、私の拘束が音を立てて崩れ落ちた。
自由になった私の前に、もう一人の私が現れていた。
「やられましたわ。まさか指輪の効力を徐々になくしていく手段をとっていたとは……。さすがヘリオス兄様。そして、極めつけは先ほどの言葉ですね」
そう言ってもう一人の私はお手上げだというしぐさを見せた。
「しかし、覚えておいてください。私はあなたです。この私は決して消えはしない。なぜなら、私はあなたの心にいるヘリオス兄様に対する戒めだから。私はヘリオス兄様に私のせいで兄様を不幸にしないというあなたの意識そのもの」
そう言ってもう一人の私は目をつぶり、覚悟の表情を見せていた。
「でも、今はあなたの方に分があるわ。私たちの心は、ヘリオス兄様に対する愛情と感謝があふれているもの。だからこの体の優先権はあなたのものよ。でもわすれないで、あなたが私を認識した時、私は必ずあなたにとって代わるわ。この指輪は、簡単に外れないようにできています。今度は私が見せてもらいます。あなたを」
そういうともう一人の私は意識の奥に沈んでいった。
兄様……。
私の心はヘリオス兄様に対する感謝でいっぱいだった。
けれど、このことは誰にも明かすことはできない。
今まで通りの自分を演じなくてはいけない。
幸い、今まで見続けていたので、簡単に思えた。
なるべく話さない。
不本意だけど、ヘリオス兄様に近づかない。
エーデルバイツの皆様とは仲良くする。
この三つが重要だわ。
あと、問題はアイオロスだけど、最近は外出が多いから問題ないでしょう。
さあ、私。こんどは私がもう一人の私を演じるの。
*
「ここは?」
目を覚ましたふりをする。
意識ははっきりしているけれども、混濁した感じを出さなくてはいけないわね。
「ルナ、気が付いたのですね。ここはハンナの店の奥よ。あなた、倒れたのよ。わかる?」
私を覗き込むようにしてみるユノ様は、そう言って状況を説明してくれた。
ありがとうユノ様。
本当に感謝しています。
「……ありがとうございます」
それでも、平坦な口調でそう告げなくてはいけない。
「どういたしまして」
ユノ様は、その物言いに特に不満は無いようだった。
よかった。
良くないけど……。
「ところであなた、とくに、その……。気持ちの上で変化ない?」
ユノ様のためらい……。
その気遣いは痛いほどうれしかった。
そして、その期待を裏切るようで、ごめんなさい……。
「いいえ、特には……」
感情を殺してそう答えていた。
本当はあるんです。
そう声に出して言いたかった。
ヘリオス兄様に今すぐ会いたかった。
でも、それは言えない事。
決して口にしてはいけない事。
けど、どうにかして会うことはできないかしら……。
「そう……」
ユノ様は明らかに落胆した感じだった。
こういう顔を見ていたんですね……。
今更ながら、兄様の心の強さが分かる。
私は耐えられそうにない。
どこか一人になれる場所。
そう思うと、兄様の居場所に心当たりがあった。
しかも、そこは今のわたしにとってもうってつけの場所。
「今日はもう帰る?」
ユノ様は、心配そうにそう尋ねてくれていた。
「いえ、もう一つ寄りたいところがございます。魔導図書館上位パーティ専用室に行ってみたいです」
兄様に早く会いたかった。
話はできない。
態度も出せない。
しかも、私は自分の目でまだ一度もヘリオス兄様を見ていなかった。
自分でない感覚でしか見ていなかった。
それも最近は全く会っていない。
だから、自分の目で自分の感覚で、兄様を感じていたかった。
「……わかったわ」
ユノ様はそういうと、店の方に向かっていった。
その後ろ姿を見送りながら、私はもう一度、気持ちを引き締めた。
*
「では、ここからは大丈夫ですので。本日は本当にありがとうございました」
淡々とした言い方。
今日のお礼。
そして、今までのお礼。
感謝の言葉と共にユノ様に告げていた。
それだけは、本当の気持ち。
でも、心からいうわけにはいかなかった。
そして、ここからは自分一人で入るという強い意志を見せていた。
その意志を尊重してくれたのかどうかはわからない。
でも、ユノ様はあっさりそのことを認めてくれていた。
もう一度会釈して、扉の前に立つ。
エーデルバイツの認証で、扉は簡単に開いていた。
部屋は薄暗く、静かだった。
奥の方に進んでみる。
自然とつばを飲み込んでいた。
人がいない……。
そう言う感じの部屋だった。
最近、ほとんど人がいないと聞いている。
ここに来るのは、変わり者しかいないという話だ。
でも、そこには兄様がいた。
ヘリオス兄様は長机に端に座っていた。
窓側の一番端の席で、何やら書き写しているようだった。
その場所は、周りより少し明るい。
この部屋の薄暗さは、何かを書き記すには不向きに感じる。
しかし、ヘリオス兄様の周囲は違っていた。
カーテンで調節された光が、ヘリオス兄様の周りを明るく取り巻いているようだった。
この薄暗い世界にあって、そこだけが暖かな光の世界を作り出していた。
手じかな本を取り、そっと対角線上の位置に座る。
ゆっくりとページをめくり、読むふりをした。
時折ページをめくる。
行儀が悪いと言う人はいない。
頬杖をつき、不自然じゃないように、視界にヘリオス兄様をいれていた。
思い出したときに、ページをめくる。
私はこの目で兄様を見ている。
私はこの時間を堪能していた。
けれど、気持ちの高鳴りを抑えきれない。
私は目の前の本に意識を向けていた。
ゆっくりと日は沈み、窓からその明かりが部屋の奥にさしこんでくる。
私の前にヘリオス兄様の影がゆっくりと伸びてきていた。
ちらりと窓に目を向けると、ヘリオス兄様の銀色の髪が夕日の光を受けて、とてもきれいに輝いていた。
ダメ……。
私はもう一度本に意識を向ける。
ペラッ
私達二人のページをめくる音だけが、この部屋で唯一の音だった。
互いのペースでめくる音は、それぞれを主張している。
見なくても、兄様を感じることができる。
そのまま、兄様を見ないようにして、兄様を感じていた。
兄様のめくる音。
私のめくる音。
その間隔はだんだん縮まっていく。
本の内容は頭に入ってこない。
ただ、文字を追っているだけ。
それでも、それをよみながら、兄様と同じ時、同じ場所を味わい続けた。
私達は自分たちのペースで本を読んでいる。
ページをめくる音が、その足跡。
いつしかそれは重なり、一つの音になっていた。
ああ、私はこの幸せのために、ここにきたんだわ。
兄様ありがとうございます。
この時間をルナは忘れずにいます。
兄様とルナだけのこの時間を。
もうこれ以上抑えきれない。
そう思った私はそっと席を立ち、部屋を後にした。
「ありがとう、兄様……」
扉を背に、我慢していた言葉を小声でそっとはきだした。
***
俺はその姿を横目で見て、静かに目を閉じていた。
ルナ、俺もだよ。
決して聞こえないその言葉をはきながら、瞬間移動を発動させていた。
「みんなありがとう、どうやら作戦第一弾は成功のようだよ」
部屋に帰った俺は、ソファーに座りながら、精霊たちに感謝を告げていた。
精霊たちは俺の周りで人化した。
「ミヤ、君の想像通り、ルナは演技を続けているようだね」
左手にしがみつくミヤに尋ねる。
「問題ない」
ミヤはいったん俺の手を離し、じっと俺を見つめている。
思わず笑顔になる。
ミヤが言うなら心配ない。
その頭をなでながら、俺は次の行動に移ろうと考えていた
「王都中に例の魔道具の設置はおわったよね」
後ろに顔を向けて、ベリンダにそう尋ねた。
「そのようですね、ヘリオスも一人でよく頑張りました」
若干非難めいた感じを受ける。
その気持ちはよくわかる。
ヘリオスも頑張ったからいいが、俺も少し残念だった。
しかし、それを愚痴っても仕方がない。
ベリンダの気持ちは俺の気持ちの代弁なのだろう。
その気持ちは素直にうれしかった。
「そうか……少し残念だけど、まあそれでもいいか。それと、それをベリンダが気にすることじゃないよ。僕の代わりにありがとうね」
ベリンダの照れた様子がかわいかった。
「シルフィード、学士院内の様子はどう?例の噂は広まってる?」
右側に顔を向けて、何か動きはないか尋ねた。
故意的に流した噂。
いずれルナの役に立つだろう。
カールにはあらかじめ謝っておいたし。
ユノには……。
また今度謝ろう。
「うん、今はないよ。カール、ユノ、ルナのことでもちきりだね!」
シルフィードは楽しそうだった。
「あはは。カールも大変だ」
ごめんカール。
でも、それでもぶれないカールの逞しさに俺は感動していた。
そして、正面をむく。
「ノルン……なんか……成長した?」
なんだかさっきから一人、大人の女性がいるが、見ないようにしていた。
顔は、ノルンだ。
たぶん。
大人になったノルンだ。
ノルンが成長したらこうなるだろうなと言う感じだが、見ないようにしていた。
しかし、ここぞとばかりに視界に入ってくる。
もう、限界だった。
「うちは本来、仮の姿はこれや。ちっこいのが好みならそうする」
そう言って出会った時の姿に戻ったノルンは真剣な目を向けていた。
「いや、なんか違和感があっただけだよ。君の好きにしたらいいよ。まあ、あれだと一人だけ場違い感があるかな……」
正直言うと目のやり場に困る。
そしてそれを認めると、全員が同じようにしそうで怖かった。
「わかったわ。ヘリオスの前ではうちはこの姿にするわ」
そう言って俺に背中を預けてきた。
右にシルフィード。
左にミヤ。
後ろにベリンダ。
前にノルンといった感じで座っている。
ミミルは頭の上で寝そべっていた。
「ミミル、最近は連続でごめんね。いろいろ仕込んどかないと心配でさ」
ミヤとシルフィードに手を離してもらい、頭の上のミミルに両手をむける。
そうすると両手に飛び乗ってくれる。
そのまま顔の前にもってきていた。
「ミミル的にはつかれるけど、前よりもコツを覚えたし。大丈夫だし」
顔をそむけたミミルは少し照れているようだった。
まあ、その分、ヘリオスには心理的なダメージを負ってもらったが、許してくれるだろう。
かわいそうだが、今はやむを得ない。
こうしないと、ミミルの負担が大きすぎる。
全部ヘリオス、君のためだけど、許してくれとは言わない。
ただ、認めてほしい。
この気持ちは届かないけど、俺は強く念じていた。
「ありがとね。ミミル」
再び、笑顔でそう感謝していた。
ミミルを頭の上に戻すと、そのまま次のことを考えはじめた。
問題はこれからだ。
マルスの陰謀に、王都の異変。
それとデルバー先生から聞いた、各地の蠢動は見過ごせない。
目がいる。耳がいる。
何が起きているか知る必要があった。
この子たちと穏やかに過ごすためには、周りの世界に干渉せざるを得ない。
ヘリオスの世界を安定させてこそ、俺は本当に安心できる。
まずは、ルナだ。
あれが何かをするのは明らかだ。
全く貴族と言うのは度し難い。
とりあえず、王都限定で目を張り巡らせた。
後は組織。
俺がいなくても、機能する組織。
それを作り出さなければならない。
また、デルバー先生にお願いしよう。
全身に精霊たちを感じながら、俺は自分のすべきことを整理していった。
一人一人と目が合う。
精霊たちは何も言わず、ただ、それぞれ俺と言う存在を堪能しているようだった。
静かな空間にミヤの楽しげな鼻歌が心地よい調べとなってながれている。
それを聴きながら、もう一度心に強く誓っていた。
自らの呪縛を取り除くことに成功したルナ。しかし、再びそれにとらわれないように必死に頑張るルナでした。




