光精霊のノルン
ミヤが珍しく自己主張します。
「ミミルお願い」
ミヤがミミルにお願いしたことは無い。
ミヤが誰かにお願いすることなんてなかった。
考えられなかった。
ミヤはそうして存在を続けていた。
出来ることはする。できないことは逃げる。
だから、あの時も逃げた。
でも、逃げられなかった。
だから……。
あきらめた……。
でも、ヘリオスに出会ってから、ヘリオスに助けを求めてから、ミヤは変わったと思う。
ミヤができない事は、頼んでいい。
ヘリオスはミヤを助けてくれる。
だから、ミヤはお願いする。
ミヤの唯一の知り合い。
あの子を助けるために。
「でもさ、あの子「ここがいい」って言ってたわさ。ミミル的には無理に引き離したくはないんだけどねー」
ミミルはあまり乗り気じゃなかった。
「でもさ、ミミちゃん。あの子、自分の意志でいるというのならいいけど、封印球のなかだよ?出られなくて、あきらめてるんじゃないのかな?」
シルフィードは、ミヤの味方をしてくれていた。
たぶん、あの子以外で、ミヤが話しやすい子。
「んーでも、このヘリオスじゃ無理だしさー」
ミミルはそれでも渋っていた。
ミミル。ミヤ、何か悪いことした?
何で、聞いてくれないの?
「だからミミルに頼んでんじゃない」
ベリンダは不機嫌だった。
まじめなベリンダ。
ちょっと苦手。
でも、嫌いじゃない。
「んーじゃあさ、あのヘリオスに聞いてみるわさ。それでだめだって言ったらあきらめてよね」
ミミルはヘリオスに丸投げすることにしたようだった。
ミヤはそれをお願いしてる。
ヘリオスなら、きっとミヤの気持ちをわかってくれる。
ミヤと同じように、あの子のことを助けてくれる。
だから、ミヤがお願いする。
「ミミル。ミヤがはなす」
ミミルを通して話せば、ヘリオスと会話できるのはすでに確認ずみ。
ミヤ達は順番にヘリオスと話してる。
毎日、かわるがわる。
ミヤ達はあのヘリオスとおしゃべりする。
ミヤの番はもう少し先だけど、やっぱりミヤがお願いしたい。
「えーこれも疲れるんですけどー。それに、今日はミミルの番だしー」
ミミルは意地悪だった。
なんで?
ミミルはミヤが嫌いなの?
どうしてそんな意地悪言うの?
ミミルは精霊女王さまの化身だという。
精霊女王さまの記憶を持っているという。
ミヤ、何か悪いことしたかな?
でも、今はそれどころじゃない。
ミヤはヘリオスにお願いするんだ。
「大丈夫。明日、ミミルにすればいい」
ミヤの順番はあげない。
でも、一日ずれるのは我慢できる。
「明日はわたしなんだけど……」
シルフィードはちょっと残念そうに抗議した。
しかし、ミヤがヘリオスと話すことには反対じゃないみたい。
やっぱりシルフィードはミヤをちゃんと応援してくれた。
「じゃあやるさね。おーいヘリオスー。今いいかな?」
ミミルはどこか投げやりだった。
ねえ、ミミル?
ミヤ、なにかした?
***
「ん?ミミル?どうした?今日はずいぶん早いね。今は大丈夫だよ」
俺はミミルからのメッセージを聞いた時は、すでに寝る用意をしていた。
明日は休日なので、ゆっくりとヘリオスのことを見ておこうと思っていた。
「なんかね、ミヤが話したいことがあるって。かわるからねー」
どこか投げやりなミミルが気になったが、俺はミヤに意識を向けた。
「ヘリオス。お願い。たすけて」
ミヤのいう事はそれだけだった。
でも、それで十分だった。
何をどうとは言わなかった。
ただ、俺に助けを求めていた。
その声の調子から、ミヤにとってとても重要なことだとわかっていた。
ミヤは、基本的にお願いなどしない。
自分の意見をいう事もない。
自分にできることはするけど、基本的にそれだけだ。
あきらめることは、ミヤにとってあたりまえのことだった。
知り合って、それは少し変わったと思うが、それでもミヤは何も言わない。
そんなミヤが、俺に助けを求めている。
しかも、声の様子から、とても悲しそうだった。
俺は意識をミミルに向けていた。
「ミミル。お願いだ。すぐにそっちに呼んでくれるかい。話はそっちで聞く。それと、ミミルが心配してくれるのはうれしいけど、僕の体は大丈夫だから。前みたいに保護しなくてもいいよ。ちょっと考えがあるから」
俺は首に携帯と保険証をぶらさげて、部屋のかぎを開けた。
不用心だか仕方がない。
そうして、119に電話した。
この方法なら、きっと助けが来るはず。
大家さんに発見される以外の方法を、俺は考えていた。
意識がもうろうとする中、「たすけて」といいながら、俺は意識をなくしていた。
***
「ミヤ、わかったからまず話を聞かせてくれるかい。それとミミルありがとね」
俺は起き上がって、ミミルの頭とミヤの頭をなでていた。
ミミルはやはりぐったりしている。
ミヤは俺にしがみついていた。
前と同じようにして、ミミルを先ず回復させた。
コツをつかんだから、みんなに手伝ってもらわなくてもできた。
ただ、力は少しだけもらったが……。
しかし、ミミルの状態はやはり深刻だ。
簡単にこっちに来ることはやはりできないな……。
俺の体を保護するだけじゃないんだ。
俺をこっちに呼ぶだけでも、ミミルは相当無理している。
それでもミミルは俺を呼んでくれた。
俺の頼みを聞いてくれた。
この想いは無駄にはできない。
ミヤの願いを先ず聞いて、できるだけ短時間で……。
そしてシルフィードとベリンダに顔をむけて挨拶した。
「ただいま」
言っている俺がうれしかったが、みんな笑顔を向けてくれた。
「おかえりなさい」
ただ、その言葉が心地よかった。
*
それぞれ事情を聞き、とりあえず問題の神殿に行ってみることにした。
そこは以前見た通りの場所だった。
しかし、見ていたのと、自分で感じるのでは全く違う。
この空間には、特殊な気配が漂っていた。
何だろう?
俺はここにいる存在を感知した。
「これは……。あの柱からか」
神殿前の広場にある柱の上に光源としておかれているものに精霊が封じられているようだ。
「巧妙に気配を分散されているね。なぜだろう?」
飛翔を唱えて、光源に近寄った。
その中には、たしかに精霊がいた。
しかし、なぜか違和感がある。
その封印球を軽く叩いてみた。
「おーい。おきてるかい?」
何となくそう思って声をかけてみた。
中でごそごそしている感じがして、返事が返ってきた。
「……ねむいわ」
本当に寝てたのか……。
いや、眠らないといけなかったのか?
俺は少し戸惑っていた。
この空間といい、この精霊の対応といい、なにかここは変だ。
とりあえず、この子のことを聞かないと。
「僕の名はヘリオス。君はなんの精霊だい?あと、名前を教えてくれるとうれしいな」
俺はそう言って反応を待つことにした。
しばしの沈黙。
俺はちょっとミヤの時を思い出していた。
もう一度同じように話しかける。
今度は無理やりでも答えてもらうという意思を込めた。
「……。ウチは光の精霊、名前はノルンよ。何か御用かしら?強引なる人の子……。ちょっと、あなた人よね?」
光の精霊は、俺と会話することにしたようだった。
どうやら俺の存在に興味がわいたようだ。
ちょっと安心した。
このまま無視されたらどうしようかと思ってしまった。
「ここから君を解放したいんだ。あと、僕の大事な友達から聞いたんだけどね。君はそんなことをしなくてもいいって言ったらしいね」
俺はミミルから聞いたことをノルンに告げていた。
相変わらず俺の腕にしがみついているミヤの手に力がこもっていた。
おおよその状況はみんなから聞いて理解はしているつもりだった。
ノルンと名乗ったこの子は、光の精霊。
なぜ、この場所に居続けると言ったのだろう?
それはノルンに聞かないとわからないことだった。
「けど、なぜそこがいいんだい?そこは君の力を吸い取っているんだろ?大丈夫なのかい?」
まずは、そのことが気がかりだった。
もうずいぶんその力を吸われている気がする。
存在する力を失った精霊は無に帰す。
それが心配だった。
「ウチはもう何にもしたくないの。ここでこうしていれば、とりあえず役に立つみたいだしね。寝て過ごして、役に立つなんて、ウチにとっては最高。だから、まあこのまま力尽きてもいいのかなっておもってるんよ。あはは。まだ先の話だけどね」
そう言うノルンから、再び寝ようとする気配が伝わってきた。
「ちょっとまってよ!」
この状況はかなりまずい。
力を吸われて無気力なのか、もともとそういうキャラなのかわからないが、この状況は何とかしないといけない。
「でもさ、ここってもうだれもいないよ?ここをこないだ解放したから、また誰か来るかもだけど、こんな辺ぴなところは封印して終わるような気がするよ。そうなると君はただ存在を吸われるだけになるかもしれない」
少し、ノルンが動揺した気配がした。
自分のしていることが無意味というのは、やはり精霊の本質にかかわるのだろう。
精霊はそこにいるのが当たり前だが、何かのためにそこにいる場合は、また違う存在になるようだ。
それが意志ある精霊と意思のない精霊の違いでもある。
この子は意志のある精霊だ。
だから、その存在価値を低くはしない。
「それに、ここから出たって、寝て過ごすことはできるよ。なんだったら、僕と一緒にきたらいい。この首飾りは温泉付だという話だしね。ただ、みんなと仲良くできることが条件だけどね」
ここは最後の一押しだ。
俺は、ミヤを見る。
俺の意志を感じたミヤは、俺から離れて、封印球に近寄っていた。
「ノルン。でてくる。ヘリオスやさしい」
封印球に語りかけるように、優しく叩いていた。
「うーん。温泉昼寝付。ミヤもいるし悪くない条件ね。いや、ここよりいい条件かも。しかたないなー。じゃあでるわ。よろしくね」
ほっと胸をなでおろす。
ようやくノルンの同意が得られた。
しかし問題はこの特殊な封印球だった。
これを強引にこじ開けるには条件が必要だろう。
「ノルン、君をここに封印した手順とか道具とか、わかるかい?」
ノルンならたぶん知っているだろう。
何となくそう思っていた。
「しかたないなー。自分で考えてほしいとこだけど、特別に教えたるわ。この場所に封印の壺があるから、そっちでこの封印球にその壺の口をつけてくれる?そうしたら、その壺に移動できるんよ。そのあとは解呪でその壺の封印を解けばええわ」
この封印の壺と封印球はセットの封印具のようだった。
俺は精霊の気配が分散していたわけを改めて考えた。
「ところで、その壺って、このあたりにあるの全部かい」
よく見ると、ここかしこに封印の壺が放置されていた。
放置というか、乱雑に打ち捨てられた感じがする……。
「いや、うちのはこんなとこにあるんやないよ。そこらのは、先代たちのやわ」
ノルンはさらりと深刻な問題を言っていた。
これだけの数の封印の壺が先代?
ということは、これらの壺に精霊が一人閉じ込められてたのか?
その事実に愕然とする。
しかし、今はそれを気にしている場合でもなかった。
俺は魔法の背負い袋に入っている壺を取り出す。
まずはノルンを解放することが先決だ。
少なくとも、先代と一緒にならない意思は確認できている。
ならば、俺がすることは、それしかなかった。
「これでいいかな」
宝物と共にあったあの封印壺を見せいていた。
この神殿がいつからあるのかわからない。
これだけの封印の壺。
その数だけ光の精霊がその存在を消費されていた。
その事実に、俺は言い知れない怒りを覚えていた。
精霊は道具じゃないんだ。
「うん、それやね」
ノルンの声が、俺の意識を引き戻す。
言われたとおりにやってみると、あたりが急に暗くなった。
ノルンが解放されたからだろう。
このままでも特に問題はなかったが、一応魔法の明かりをともしておいた。
手元に壺を、そのまま解呪すると、目の前に光の精霊がでてきた。
その姿は銀色の短めの髪に、白いワンピースのような服を着た少女の形をとっていた。
「ああ。あかん。ウチもう……」
一気に存在を消費したノルンをあわてて首飾りに封印した。
「あーなんやここ?極楽やん!」
ノルンの気持ちよさそうな声が聞こえてきた。
ミヤが俺にギュッと抱きつくと、自分も首飾りに入って行った。
なんだか視線を感じて、振り返る。
そこには指をくわえたシルフィードがいた。
本当にかわいらしい。
手招きすると、すぐに飛んできてくれた。
俺はぎゅっと抱きしめる。
「えへへ」
シルフィードはそう言って首飾りに入っていった。
同じようにベリンダも手招きする。
ベリンダは照れた様子だったが、素直にやってきた。
そして同じように首飾りに入って行った。
頭の上のミミルをなでながら、俺はなんだか楽しい気分になっていた。
たぶん中で自己紹介とかしてるんだろうな。
そんな風に考えていると、ミヤが突然現れた。
ただ、じっと俺を見つめている。
「あはは」
俺はミヤを抱きしめていた。
この子たちは本当にかわいらしい。
「ん」
満足そうな笑顔で、ミヤは帰って行く。
まだ、話しも途中なのだろう。
古い知り合いと言ってたから、積もる話もあるに違いない。
一仕事を終えた感じがして、ほっと息吐きだした。
そして帰ろうと思った時に、目の前にノルンが両手を広げて待ち構えていた。
「ウチも」
ただ、短くそう言っていた。
この短期間で、よくも回復したものだ。
この首飾りは予想以上にその効果を発揮しているようだ。
本当にいいものを手に入れた。
バーンとシエルの顔が浮かんだが、今は会いに行っている時間はない。
出会いが何かをもたらしてくれる。
ノルンとの出会いが不幸な結果にならなくてよかった。
目の前で待つノルンをじっと見つめて、そう考えていた。
そしてゆっくりと抱きしめる。
本当にありがとう。
俺はその想いをノルンに伝えていた。
「よし、ミミル帰るよ」
そう言って俺は瞬間移動を発動し、部屋に戻っていた。
そしてミミルに自分の存在力をほんの少しだけ分けてから、意識を閉じていく。
「みんな、なかよくね。そしてまたね」
薄れゆく意識の中で、俺はそう伝えていた。
***
首飾りの中で、温泉につかりながら、ウチらはお互いのことを確認していた。
ミヤのことは知っているが、あとの二人とはそれぞれ自己紹介していた。
「しっかし、こんな場所があったなんて、ミヤがうらやましい」
ウチは温泉の中で自分の力が回復しているのを実感していた。
「で、今この首飾りつけてるのと、さっきのはどういう関係?」
そこは押さえておかないといけない。
ウチは前に一度この子にあっている。
その時自分でもわからないが、なぜか警告を発していた。
どうせ聞こえないと思っていた。
しかし、この子はそれを感じていた。
でも……。
ただ、それだけだった。
ウチの存在には全く気が付いてないようだった。
それにこの子は古代語魔法をかなりつかっていたが、さっきのは精霊を完全に感知していた。
それどころか人化もしていない存在に触れることさえできていた。
普通の人間とは違う。
どちらかと言えば、精霊のような……。
そう思うと、その感覚に心当たりがあった。
久しくあっていない女王を思い出していた。
「ヘリオスはヘリオス。この子もヘリオス。さっきのもヘリオス。でもミヤはさっきのヘリオスがいい」
ミヤは相変わらず自分にしかわからないことを言う。
しかし、今ので、なんとなくわかった。
「精霊女王様がかかわっているのよね?」
ベリンダを見てそう尋ねていた。
「今はまだ言えない。大事なことだから。でも信じて」
ベリンダは苦しそうにそう告げていた。
おそらくウチはこの中でも最古参の精霊だ。
ミヤが生まれたときに、たまたまそばを通りかかった縁でミヤを知っている。
それまで多くの精霊の生まれと進化をみてきたウチは、今の状況に何となく勘が働いていた。
「なるほど、ミミルって子が鍵なのね。わかったわ」
大体は事情が理解できた。
ウチがあの球の中で過ごしている間、世界はいろいろ変わっていたようだ。
「ま、うちは昼寝温泉付で移住しただけだから。基本手伝うくらいで、じゃまなんかしないわよ。それは信じてくれていいよ」
しっかし、さっきは気持ちがよかった。
あんなストレートに想いをぶつけられたら、ウチも赤面してしまう。
かわいい子だ。
どことなくあの子を感じてしまう。
もう、はるか昔に旅立ってしまったあの子。
「しかし、ヘリオスか。いい男ね。久しぶりに真剣な加護を与えてみたくなったわ」
光の精霊の加護、それは特別なんだぞ。
しかし、その呟きはほかの三人を刺激したようだった。
「こればっかりはゆずれないよー」
シルフィードが威嚇してきた。
「ライバル」
ミヤは決意の目で見た。
この子がこんな顔するなんて、思いもしなかった。
「まあ、そういうことだから」
ベリンダは挑戦的な言葉で締めくくった。
「あはは。わかったよ。うちもがんばるわ!」
楽しい。
こんなに楽しい気分は久しぶりだった。
よろしく、未来の英雄さん
また会えるのを楽しみしてるわ。
それにしても、いいわ。
この温泉。
ヘリオス温泉ってのはどうかな?
***
「ここは……家か?」
目が覚めたとき、家にいた。
携帯の日付を見ると、翌日昼過ぎになっていた。
救急車を呼ぶ方法はどうやら失敗だったようだ。
これは危なくて使えない。
しかし、この時間の関係はやはり変化している。
自分が存在する力を向こうにおいてくるからそうなると考えた方がしっくりくる。
時間にして約16時間以上の経過。
向こうにはたかだか2時間程度だ。
向こうの時間以上に、こちらの時間が経過するのは、こちらの存在が希薄しているからだと考えている。
平たくいうと、向こうに多く存在すると、こっちでの存在が薄れる。
そして、なぜか行くたびに、俺の存在を置いてるような気がする。
それは、こっちでの生命活動、つまり寿命を一気に消費していると見ていいだろう。
まして、存在力をそのまま渡すと、こっちの寿命がどんどん消費されるという感じだろう。
今回意識的に自分の存在量を仮定しておいてその1割をミミルにわたしていた。
こっちでの寿命が分からないから、正確にはわからない。
でも、今までは、向こう側の時間が早く、こちら側が緩やかだった。
しかし、あの時を境にして、どんどんそれは縮まっている。
ついには、今日みたいに逆転している始末だ。
向こうに俺が存在することと、こちらに俺が存在することは、やはり無理があるのだろう。
俺は無理やりそう仮定した。
しかし、渡した力がどうなっているのかが謎だった。
ミミルに渡した場合は、おそらく精霊たちに還元されていると考えればいいが、ヘリオスの中に入っている間、ヘリオスはどうなっているんだろう。
精霊たちはヘリオスの中に、俺を感じると言っていた。
あれはいったいどういう事なのだろう……。
訳が分からなくなってきた。
「まあ、向こうは夢の世界、別世界だ、魔法だってあるし、ある程度不可思議なことはあるとしておこう。ただ、こちらの影響も最小限にとどめておかないと……」
やはり今迄通り慎重にいこう。
行くとしても短時間。
その短時間で、できる限りのことをやれるだけ、やり遂げなければならない。
ヘリオスも強くなっているが、やっぱり子供だし、俺がしっかりフォローしなくちゃな。
あらためて、そう決意した。
光の精霊が仲間になりました。ヘリオスの首飾りも定員ちょうどになって、にぎやかになってきます。




