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夢の世界の中で僕は  作者: あきのななぐさ
皆が笑顔でいられる世界のために
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どこか知らない世界の中で

月野君。どこかに浮かんでさまよっています。

なんだろう?

ここはいったい?

それに、これは?


誰?


私は?

僕は?

俺は?


誰だ?


わからない……。

でも、それを考える気持ちはなかった。


なんだか大切なことを、忘れちゃいけないことがあった気がするけど、思い出す手がかりもない……。


さっきまでいた、あの人はどこかに消えていた。


ここには一人しかいない。

だけど、なんだか分かれているようにも感じる。


一人だけれど、一人じゃない。

一人じゃないけど、一人だ。


私は?

僕は?

俺は?

なんだろう……。

この感じ。


それに、ここはどこだろう……。

立っているの?

浮いているの?

沈んでいるの?


わからない……。

まあ、いいや……。

大切なことがあった気がするけど、思い出さなきゃいけない気がするけど、わからないから、しょうがない。


ただ……。

こう、ぽっかりと何かがなくなっている。

まるで、真っ黒な穴があいたような気分だ。

わからないのは仕方がないけど、この気分だけは何とかしたいな……。


でないと、なんだか飲み込まれそうだ。


でも……。

それもいいのかもしれない。


わからないのに、考えても仕方がないし、飲み込まれるのであれば、飲み込まれた方がいいのかもしれない。


でも、何かが引っ掛かっている。


私は考える。意味がないことは考えても仕方がないと。


僕は考える。何か忘れてはいけないことがあるのではないかと。


俺は考える。帰らなきゃと。



そこで私は不思議に思う。

帰るってどこに?

忘れているのに、忘れてはいけないって何?


そこで僕は考える。

帰るってどこに?

意味がないことを考える必要がないのかな?


そこで俺は考える。

帰らなきゃいけないってどこに?

何を忘れてしまったのか?

仕方がないことなのだろうかと。


そして、たった一つ。

一致した意見があった。


帰るってどこに?


そして俺は考える。


なぜ帰るんだ?

忘れたのはそのことか?

仕方がないことなのか?


俺は問いかける。

忘れたこと、分からない事はどんな気分かと。


私は答える。

いい気分じゃない。でも仕方がないのだと。


僕は答える。

いい気分じゃない。嫌な気分だと。


俺は答える。

いい気分じゃない。極めて嫌な気分だ。


これで気分も一致した。

それは、いい気分じゃない。


私は仕方がないと納得した。

僕はそれでいいと納得した。



俺はさらに問いかける。

忘れた何かを取り戻す手段はあるのかと。


私は答える。

それは無い。


僕は答える。

わからない。


俺は答える。

探してない。


これはまとまらないな……。

でも何だろう……。


こうしていると、少しずつ何かが分かるような気がしてきた。

少しずつ、何かを取り戻しているような気持ちがしてきた……。


ただ、一つだけ明らかになった。

何もないこの場所で、たった一つだけ共通するものがあった。


何もわからないけど、どこかに帰るのだということだけは刻み込んだ。


帰るんだ。


ただその気持ちだけが、ここに存在する者にとって、唯一同じ感覚だった。


つぎは23時。精霊たち10よろしくお願いします。

クライマックスに向けて進みます。

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