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夢の世界の中で僕は  作者: あきのななぐさ
決戦イングラム帝国
145/161

要塞VS人 その2

帝国側の様子です。

「やった! やったぞ!」

「おお、すごい……」

「おい、あれをみろ、跡形もないぞ!」

「帝国万歳! 皇帝万歳!」

口々に司令室内の兵士が騒ぎ始めた。

さながら、歓喜の渦といったものに飲み込まれたというところだな。


「やったであります。サルマカク様」

副官のキャンディでさえ、興奮した声で報告している。


「んー。ちょっと静かにするのねぇ」

しかし、サルマカクは映像を凝視していた。


それは、全く意外な光景だった。

この男がたぶん一番歓喜していてもよさそうなものだが……。

ふと、その横顔を覗き見る。


「サルマカク、どうした?」

そう聞かずにはいられなかった。

凝視していると思ったが、目を瞑っていた。


「おお、サルマカク様の心眼です。皆、静かにするであります!」

キャンディの号令一下、司令室には静寂が訪れていた。


この司令室には確かな指揮系統が存在し、サルマカクを中心としてしっかりとした組織が出来上がっている。


これは、思わぬ収穫だ。

サルマカク。

言動はおかしなやつだが、部隊を率いるのに必要な資質を持っているようだった。


「皇帝陛下。どうやら、まんまとだまされましたねぇ」

サルマカクは、自分で映像を切り替えて、その人物を映し出していた。

一体どうやって見つけたのかわからないが、正確にその場所を映し出している。


ヘリオス。

空中に浮かんでいる奴は、先ほどとは服装が全く異なっていた。


「おのれ、まんまとしてやられたというわけか。しかし、今度こそ奴を仕留めろ!」

感情のまま立ち上がり、腕を真横に振るう。

俺の命令に反応して、サルマカクが瞬時に命令を発していた。


「皇帝陛下の勅命である。標的はあの者。ただの人とおもってはいけませんねぇ」

何を思ったのか、サルマカクは直接砲手のところに降りていた。


「さあ、あの者の動きを探るのですねぇ。速射砲でおいこむのですねぇ」

砲手の肩をたたきながら、指示している。


「キャンディ。微速前進。右から追い込みつつ。速射砲、各自の判断で撃つのですねぇ。その間にミョルニルを充填するのですねぇ」

再び元の位置に戻りつつ、キャンディに命令している。


サルマカクを中心として、司令室全体に確かな連携を生み出していた。


司令室内の兵士たちが、己の役割をはたしていく。

命令と応答。

報告とさらなる命令。

流れるような作業の中、一度止まった要塞が、再び動き出す。

その時、再び動き出す喜びを表すかのように、要塞が大きく揺れていた。


「キャンディ。ちょっと横になるのですねぇ。後は頼んだのですねぇ」

俺の足元で横になるサルマカク。


台無しだ……。

移動要塞司令官が、早くも乗り物酔いしている。


「さあ、みなさん。サルマカク様の仇を撃つであります!」

キャンディは、ますます興奮した様子で命令していた。


「キャンディ。まだ、死んでないのですねぇ」

サルマカクは吐きそうになりながらも、必死に抗議していた。


前言撤回だ。

こいつらはここでしか務まらないだろう。


俺の期待をかえせ。


この移動要塞とゆかいな仲間たちのような雰囲気に、だんだん嫌気がさしてきた。


次は6時です。

次はヘリオス君の方ですね。

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